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みちびき利活用への糸口を探るSPACシンポジウム2015

2015年12月06日

11月27日、東京・お台場の日本科学未来館での「G空間EXPO2015」において、一般財団法人衛星測位利用推進センター(SPAC)が「SPACシンポジウム2015」を開催しました。

岡部篤行・SPAC理事長

SPACの岡部篤行理事長

冒頭、挨拶した岡部篤行・SPAC理事長は、みちびきの実証実験は実用段階に入っており、このシンポジウムはその利活用に向けた糸口となると力強く開会を宣言しました。

衛星測位をどこまで自動走行に利用できるかを検証

特別講演は、アイサンテクノロジー株式会社 研究開発知財本部の細井幹広 部長が「SIP自動走行システムにおけるGNSSの可用性調査」として、内閣府のSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)自動走行システム推進委員会での取り組みを紹介しました。

アイサンテクノロジー株式会社 研究開発知財本部の細井幹広 部長

アイサンテクノロジー 細井幹広 部長

SIPでは、2017年度までにGPS・センサー・地図を組み合わせた位置標定精度向上技術を検証するため、その基礎研究として「衛星による測位精度の把握」を行っています。これはつまり、衛星測位をどこまで自動走行に利用できるかということであり、精度検証のため、東京・お台場地区で高精度受信機を搭載した車両で走行計測調査を行いました。

細井部長は、その結果から得られた課題として、BeiDouやGalileoも補強対象の衛星システムに加えるべきであり、マルチパス対策や、高架下や両側に建物があるような測位不可区間の補完対策が必要になるとしました。

衛星測位が重要な役割を果たすバリアフリーの提言

NPO法人ココロのバリアフリー計画の池田君江 理事長

ココロのバリアフリー計画 池田君江 理事長

一般社団法人フラットスタイルの荻野千登勢 代表

フラットスタイルの荻野千登勢 代表

続く「小特集」では、NPO法人ココロのバリアフリー計画の池田君江 理事長と一般社団法人フラットスタイルの荻野千登勢 代表が「ココロのバリアフリーとは」と題して、自身の経験をもとに、車いす・ベビーカーや高齢者が出かけやすい社会を実現するには、ハード面のバリアフリーだけでなく、お店や場所の具体的なバリア情報が公開され、「何か手伝えることがないか」と積極的に声掛けできるココロの意思表示が大切と訴えました。

青山学院大学 地球社会共生学部の古橋大地 教授

青山学院大学の古橋大地 教授

また、青山学院大学 地球社会共生学部の古橋大地 教授は、「市民が作るオープンなバリアフリーマップ(Wheelmap.org)」について語りました。

自ら作成に携わっている「オープンストリートマップ」は誰でも自由に紙に印刷して使える地図であり、多くの企業に使われていると紹介。その地図データの属性タグに「車いす(Wheelchair)」を入れれば、バリアフリー状況が分かる地図になるとして、これを「ホイールマッププロジェクト」と名付けて取り組んでいるとしました。

後半は、実用段階に入った実証実験の事例3件

後半は、実際に実証実験の試みを行っている3氏が登壇し、その実例を順番に講演しました。

NEXCO東日本(東日本高速道路株式会社)北海道支社 技術部 技術企画課の杉崎幸樹 課長

NEXCO東日本の杉崎幸樹 課長

NEXCO東日本(東日本高速道路株式会社)北海道支社 技術部 技術企画課の杉崎幸樹 課長は、「準天頂衛星を活用した高速道路の除雪等道路メンテナンスにおける運転支援について」と題して、安全・快適な通行の確保のために行う高速道路の雪氷対策作業について説明。

今後の課題として、将来は熟練技術者の確保が困難であり、高齢者や経験の浅いスタッフを活用することなる点、吹雪等の視界不良時の作業車両の位置の把握が困難である点を挙げ、車両位置の正確な把握のため、準天頂衛星を活用した雪氷車両運転支援技術の導入を検討しているとしました。

株式会社ジェノバ 企画経営室の鵜飼尚弘 次長

ジェノバの鵜飼尚弘 次長

株式会社ジェノバ 企画経営室の鵜飼尚弘 次長は、「富士山山頂における補正データの効果に関する基礎的観測」として、8月3~5日の3日間、日本最高峰の富士山山頂における観測を実施し、高低差に応じた測位精度を検証した結果を報告しました。

検証を行った理由は、準天頂衛星が、標高の低い電子基準点で生成された補正データを配信しているため、GNSS測位では参照点と新点に高低差があると測位精度が低下することから、高山地における精度低下が懸念されること。今回、通信インフラが脆弱な標高の高い山間地で高精度な衛星測位を実現でき、今後に資するデータを取得できたとしました。

金沢工業大学の徳永光晴教授

金沢工業大学の徳永光晴教授

金沢工業大学の徳永光晴教授は、みちびきを活用した「外国人向け音声観光案内ツール」開発を目的として9月16・17日の2日間、石川県金沢市の観光地においてみちびきの受信状況を確認するために行った「観光おもてなし実証実験」の結果を報告しました。

当日、各講演で使われた資料は、下記ウェブサイトでPDFファイルとして閲覧できます。