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「日本航空医療学会総会」でみちびきを紹介

2016年11月17日

「第23回 日本航空医療学会総会」が埼玉医科大学総合医療センター高度救命救急センター長である杉山聡教授を会長として10月28・29日に埼玉県川越市で開催されました。2日目の29日には、航空医療に関する最新技術や動向を共有するための「ITからドローンまで~最新テクロノジーと航空医療~」と題したパネルディスカッションが行われ、この中で日本電気株式会社(NEC)準天頂衛星利用推進室兼パブリックビジネスユニット主幹の村井善幸氏が、みちびきの概要を紹介し、航空医療分野への適用可能性について言及しました。

NECの村井氏

NECの村井氏

山間部での測位や「QANPI」との連携に有効

航空医療分野への適用事例

航空医療分野への適用事例

村井氏は、みちびきが航空医療分野に役立つ事例として、高仰角に位置する測位衛星を使用するため、山間部などにおいてヘリコプターの位置を安定的に、正確に把握できることを挙げました。災害時には多くのヘリコプターが災害現場に集結し、密集して飛行してしまいますが、みちびきの高精度測位を活用すれば、機体同士の異常接近や衝突を回避できます。これにより、狭隘な地域でのヘリコプターの安全運航につながります。

衛星安否確認サービスの連携

衛星安否確認サービスの連携

もう1つの事例として紹介したのは、衛星安否確認サービス「QANPI」との連携です。災害発生時に、避難所ごとに異なる避難物資の充実度や避難者ケアの必要有無などの情報を正確に把握すると共に、地域ごとの救難状況を迅速に把握することで、“空振り出動”が回避でき、効率的な救難活動の実現が期待できます。さらに、現在JAXAが開発を進めている災害救援航空機情報共有ネットワーク(D-NET)との連携により、従来よりも高度な災害救援システムを構築できるとしました。

パネリスト一同

パネリスト一同

このほか、鹿児島県立大島病院 救命救急センターの服部淳一氏が、離島・僻地におけるUAV(Unmanned Aerial Vehicle、無人航空機)活用の取り組みの中で、みちびきを使った実証実験でGPSとの軌跡精度を比較したことも紹介し、精度向上やオートパイロットに対する期待を語りました。

また、衛星測位に関する事例として、社会医療法人仁愛会 浦添総合病院の八木正晴氏が、GPSとIP無線ボイスパケットトランシーバー(モバイルクリエイト社製)を活用した位置動態監視システム「モバロケ」を導入して、ヘリコプターやドクターカーの動態の可視化を実現したと紹介しました。

座長の小林氏、小倉氏

座長の小林氏、小倉氏

さらに、JAXA(宇宙航空研究開発機構)航空技術部門の小林啓二氏が、D-NETの概要を紹介しました。小林氏は発表の中で、現在使用している陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)や超高速インターネット衛星「きずな」(WINDS)などの衛星にみちびきも加えてより良い環境を構築したいと語りました。

東京五輪をきっかけに受信機のニーズが増加

パネルディスカッションでは、固定翼型ドローンを活用した上空からの映像伝送と災害時通信確保について登壇した情報通信研究機構(NICT)の三浦龍氏から、「小さなドローンに搭載できるような『みちびき』対応受信機はどれくらいまで開発が進んでいるのか?」という質問が村井氏に寄せられました。

村井氏は、「サブメータ級対応の受信機であれば、スマートフォンよりも軽い約60gで5cm角くらいのサイズの受信機がすでにあり、バッテリーの技術革新が進めばさらに小型化が可能」とした上で、センチメータ級の受信機については、「2周波の電波を受ける必要があり、どうしてもアンテナが大きくなるが、現在は10cm角まで小型化が進んでいます」と回答。「2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは、海外の観光客が多く訪日し、衛星測位のニーズが高まり、受信機の需要も高まるため、『みちびき』対応受信機の小型化・低価格が進むと思われます」と語りました。

また、「GPSは太陽風の磁気嵐などが原因で誤差が増えると言われますが、『みちびき』は何か対策を行っていますか?」との質問には、「『みちびき』の高精度測位機能は、地上に基準局を置いて、そこで今どれくらいの誤差があるのかを計測し、それをフィードバックして高精度を実現します。すなわち、電離層の影響を補正する仕組みを保有しています」と答えました。

パネルディスカッションの様子

パネルディスカッションの様子

最後に、座長の一人である岐阜大学大学院医学系研究科の小倉真治氏は、「今日お話しされた方は、それぞれ自分の理想とする世界が頭の中にあり、そこに向けてさまざまなシステムを構築していますが、今後も『その理想を実現する上で何がボトルネックとなるのか』を明確にし、産官学医の4者で手を携えてより良いものをつくっていただきたいと思います」と締めくくりました。

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