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岩手県花巻市が農作業ガイダンス用のGNSS基準局を設置

2016年10月19日

岩手県花巻市は、同市が進める「スマートアグリ推進事業」の一環として、市内3カ所にGNSS基準局を設置し、9月30日より運用を始めています。

このGNSS基準局からは、測位精度向上のためのデータが農業用のデジタル簡易無線で送信されています。これを農機に取り付けた移動局設備で受信し、RTK法(Realtime Kinematic、固定点の補正データを移動局に送信してリアルタイムで高精度に位置を測定する方法)による測位演算を行うことで、センチメータ級の高精度測位が可能となります。同市では、基準局から概ね半径5km以内で受信が可能だとしています。

市内3カ所に設置されたGNSS基準局

市内3カ所に設置されたGNSS基準局(花巻市の資料より)

また10月13日には、市内の圃場(ほじょう)で関係者や報道陣を前に、移動局の設備を備えたトラクターを用いた、自動操舵システムによる小麦播種作業の実演も行いました。

小麦播種作業の実演

小麦播種作業の実演(2016年10月13日)

東北地区の自治体やJAでは初の試み

担い手の高齢化や世代交替で、農業分野では大規模化・省力化・機械化が切実に求められています。田植えや播種(はしゅ)をまっすぐに行うことは、その後の施肥(せひ)や除草、刈り取りなどの一連の作業を機械で行う上でたいへん重要ですが、土や泥の上で農機をまっすぐ走らせるには、高い集中力を長時間持続させる必要があり、作業者に大きな負担となっています。GNSSを利用したガイダンスシステムは、この部分で大きく貢献します。

「北海道で前例は聞きますが、知るかぎり東北地区の自治体やJA(農業協同組合)では初めての試みです。このシステムを使って精密な農機ガイダンスを行うことで、施肥や農薬散布を効率に行い、使う量そのものを減らすこともできます。また広範囲で生育状況を均一化でき、ブランドの信頼醸成に貢献します」(同市農政課 寺林和弘氏)

小麦播種作業の実演

トラクターの車体にGNSSアンテナが取り付けれられている。「たしかに、まっすぐだ」と参加者から納得の声が漏れたという(10月13日)

衛星の信号も、言ってみれば「銀河のしずく」

もともと花巻市は「ひとめぼれ」の産地として知られる土地です。さらに今年からは岩手県で開発された新品種「銀河のしずく」の作付けが始まり、ブランド米としての浸透をねらっています。

「ネーミングはもちろん宮沢賢治の故郷であるからなのですが、宇宙から降ってくる衛星の信号も、言ってみれば『銀河のしずく』であり、それが美味しいお米づくりに役立っているという意味合いも感じてもらえればと思います」(前出・寺林氏)

圃場を耕すトラクター

作業の実演を見守る関係者(10月13日)

同市農政課では、農業従事者に向けた勉強会の開催などの準備も進め、衛星測位を活用したスマート農業を積極的に進めていきたいとしています。

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※ヘッダ及び本文画像提供:花巻市