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横浜で行われたMWE2017で、みちびき関連のワークショップ

2017年12月25日

マイクロ波や高周波技術における産学官の最新技術や研究発表の展示会と、専門家によるワークショップを大きな柱とする「2017 Microwave Workshops & Exhibition(MWE 2017)」(主催:電子情報通信学会 APMC国内委員会、後援:総務省)が11月29日~12月1日の3日間、横浜市で開催されました。今年のテーマは「新時代の幕開けをいざなうマイクロウェーブテクノロジー」で、2日目の11月30日、マイクロ波・ミリ波技術の最新応用セッションとしてワークショップ「衛星測位技術の最新技術」が行われました。

「準天頂衛星システムの概要と整備状況について」

── アクシス株式会社:曽我広志氏

アクシスの曽我氏

みちびきの地上設備構築に関わってきたアクシス株式会社の曽我広志氏は、今年打ち上げた3機を含めた4機すべてが、11月までに運用会社である準天頂衛星システムサービス株式会社に移管されたことを報告しました。高精度測位や災危通報(災害・危機管理通報サービス)、Q-ANPI(衛星安否確認サービス)などサービスの概要と、今後15年間にわたり安定してサービスを提供する基盤となる総合システムの概要、そして総合システム検証などの最新状況を解説しました。

「市販受信機を利用した数cm級高精度測位実験の報告」

── 東京海洋大学:久保信明氏

東京海洋大の久保氏

長年にわたりGNSSの精度検証や向上手法の研究を行ってきた東京海洋大学の久保信明准教授は、ITS(高度道路交通システム)とADAS(先進運転支援システム)について、自身が都市部や高速道路で実施した測位実験の結果と併せて紹介し、「近未来のITSにおいて、高精度に初期位置や絶対位置が得られるGNSSの役割はたいへん重要」と位置付けました。また、マルチGNSS化で測位に利用可能な衛星数が増えており、「昨今はローコストの測位衛星受信機に勢いがある」と言及したほか、みちびきを2機利用した場合のRTK法(=固定点の補正データを移動局に送信してリアルタイムで位置を測定する)による測位結果や、GPSとみちびきを3機利用した単独測位の結果なども紹介しました。

「マスマーケット向けGNSS技術の動向変化」

── U-blox AG:Mr. Peter Fairhurst

Mr. Peter Fairhurst

ユーブロックス(U-blox)社で無人機部門・市場開拓マネージャーを務めるピーター・へアーハースト氏は、ドローン、農業用トラクター、自動車分野などにおける高精度測位のニーズと課題を解説しました。こうした移動体が高精度測位の際に必要とする補強情報を地上の無線通信ネットワークで送信する場合、スケールの拡大と共にネットワークに大きなストレスを与えると指摘。そのために必要となる補強情報配信の別の新たな通信手段として、みちびきのセンチメータ級測位補強サービスに言及しました。また、高精度測位補強信号の配信サービスを担うべく、同社がボッシュ、GEO++、三菱電機株式会社と合弁で設立したサプコルダサービス(Sapcorda Services)社を紹介しました。

「モービルマッピングシステムと高精度3次元地図」

── 三菱電機株式会社:角谷卓磨氏

三菱電機の角谷氏

三菱電機株式会社の角谷卓磨氏(ITシステム部 空間情報システム課 1チームリーダー)は、同社が開発したモービル・マッピング・システム(MMS)を紹介しました。走行しながら道路周辺の3次元空間位置データを高精度で効率的に取得するシステムとして、従来から販売してきた車両一体型に加え、新たに機器を集約して車両への取付けを容易にしたタイプもラインナップに加わりました。これにより、ユーザー自身で運搬、装着ができ、海外でも車両の通関手続き等にわずらわされることなく、高効率・高精度の3次元空間位置データの取得が可能となりました。
また、1秒間30万点の高精度モード(通常は5万点)で取得したデータに、カラーカメラで取得した画像を重畳したデータなども紹介。「道路、トンネルなど社会基盤の維持管理を通じて安心・安全の向上に貢献すると共に、自動走行向けの高精度3次元地図作成におけるグローバルなプラットフォームとしてMMSを発展させていく」と説明しました。

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