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熊本地震で、国土地理院が5月3-5日に緊急GNSS観測を実施

2016年05月10日

国土地理院は5月3~5日にかけ、今回の熊本地震の震源域となった布田川断層に沿う地域で、緊急GNSS観測を実施しました。この観測は、地球観測衛星による干渉SARだけでは十分に確認できない、地殻変動の全体像を把握するために実施されました。

断層の北側で最大で2.1mの沈降を確認

観測結果の図解

※背景は地理院地図に干渉SARで得られた上下変動を重ねたもの。活断層(赤線)は、おおよその位置

地方自治体が管理する「公共基準点」や国土地理院が管理する「三角点」などの基準点は、地震前の座標値が正確に分かっています。その場所に測量用の受信機を持ち込んでGNSS観測(測位衛星から送信される電波を利用する測位方式)を行ったところ、断層の北側で最大で2.1mの沈降が確認されました。また、複数の観測点で、干渉SARで得られた上下変動量と整合する結果が得られています。

※干渉SARとは、地球観測衛星から行うレーダー観測について、地震や斜面崩壊など事象の前後の観測データを重ね合わせて、衛星から地面までの距離の変化を測る技術です。これにより広範囲の地殻変動を捉えることができます。SAR(Synthetic Aperture Radar)は「合成開口レーダー」のことで、移動しながらレーダー観測を行い、観測データの解像度を向上させる手法です。

観測の様子
観測の様子

観測の様子

国土地理院測地部・測地基準課では、大きな地殻変動が広範囲で生じた東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)と異なり、狭いエリアでピンポイントの観測を行って「干渉SAR」と「GNSS観測」で整合がとれた象徴的なケースであり、これらの観測手法は互いに補完し得るものであることが確認できたとしています。

※熊本地震に伴う基準点成果公表停止について

4月16日18時より、被災地域一帯の基準点(電子基準点、三角点等、水準点)の測量成果(正確な座標値)の公表が停止されています。熊本県では天草市、苓北町を除く全ての市町村で基準点成果公表が停止されており、大分県・福岡県・長崎県・宮崎県を含めると、停止されている基準点は電子基準点38点、三角点等4169点、水準点296点に上ります。今後、電子基準点の成果公表に続き、改測作業などを経て三角点・水準点の成果改定・公表が行われることになっています。

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※ヘッダの画像はイメージです。本文図版・画像提供:国土地理院