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大成建設、ダム建設の発破作業でGNSS活用した新システムを開発

2017年03月21日

大成建設株式会社はこのほど、ダム建設に伴う原石採取工事において、衛星測位を活用して作業工程をICT(Information and Communication Technology、情報通信技術)で一元管理する新システム「T-iBlast DAM」を開発したと発表しました。

孔の位置を3次元座標で管理可能

実証試験における削孔の様子

実証試験における削孔の様子

ダムの本体となるコンクリートの骨材(砕石)は、ダム建設予定地の近隣の山から採取されます。採取作業はクローラードリル(自走式削孔機)が掘って開けた孔(あな)の列に爆薬を詰め、発破をかけて行います。その際、得られた原石の品質評価も重要なポイントとなります。必要な強度を満たした原石を選んで破砕・分級(粒度を揃える)し、コンクリートの骨材として使用することで、巨大な水圧に半永久的に耐えるダム本体が作られるのです。

この「T-iBlast DAM」は、その発破作業から岩石の品質評価までの工程をICT化することで、品質・効率・安全性のアップを一気に実現する新手法です。

「T-iBlast DAM」の特徴

「T-iBlast DAM」の特徴

岩石を採取するために原石山(げんせきやま)の岩盤を破砕する際、1回の発破でどの程度の量と品質の原石が得られるかを正確に予測することは困難でした。この問題を改善するため「T-iBlast DAM」では、以下のデータを取得しながらクローラードリルによる作業を進めます。

1)GNSSによる「削孔位置」の正確な把握
2)ドリルの傾斜と削孔深さの取得
3)岩質の目安となる「ドリルの削孔速度」を連続取得

これらの情報を総合することで、地中の孔の位置や岩質を立体的に把握します。そもそも発破により原石山はどんどん削られていくため、発破前後の孔の位置を衛星測位により3次元空間の座標系で管理できることは、大きなメリットです。測量に相当する作業を掘削中に行えることも、作業効率を大きく向上させるものですし、さらに1列に形成される複数の孔の孔尻(あなじり)の高さを揃えることで、発破断面である切羽(きりは)が美しく平坦に仕上がり、ここでも作業効率や安全性のアップにつながります。

運転席の様子

運転席の様子

福岡県の五ケ山ダムで実証試験

大成建設は、現在は完成し、貯水してダムに問題がないかを確認している福岡県の五ケ山ダムの骨材製造工事で、このシステムの実証試験を実施しました。その結果、システムを導入したことで、コスト低減と原石の品質向上を確認できたといいます。従来行われていたトータルステーションを用いた測量などに比べ、作業性や精度の大幅な向上が見込め、品質を満たさず廃棄される岩石の量も減らせるとして、同社は2017年度以降を目途に、他のダム工事現場への適用を目指すとしています。

(左)ダムの完成イメージ、(右)記念のダムカード

五ケ山ダムは、洪水調節や水道用水などの目的で、福岡県と佐賀県にまたがって建設された重力式コンクリートダム(事業主体は福岡県。堤高102.5m/堤頂長556.0m/堤体の体積 約93.5万立方m[=霞が関ビル2杯分弱]/貯水池面積 約130ha、総容量4020万立方m)(左)ダムの完成イメージ、(右)見学会参加者および来訪者に1人1枚ずつ配布される記念のダムカード(画像:福岡県五ケ山ダム建設事務所ウェブサイトより)

参照サイト

※ヘッダおよび本文画像提供:大成建設株式会社(五ケ山ダムの画像2点は、福岡県提供)