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みちびき活用の春山除雪実証、知床横断道が開通

2019年05月07日

昨年(2018年)11月から積雪による冬期通行止めとなっていた国道334号線の知床峠が、4月26日に開通しました。先月も当ウェブサイトでお知らせしたとおり、世界遺産の知床半島を横断する斜里(しゃり)町から羅臼(らうす)町に至るこの区間では、国土交通省 北海道開発局が、みちびきを活用したロータリ除雪車を使って除雪作業の省力化自動化を目指す実証実験を行っていました。今回は、その取り組みを紹介します。

投雪作業の様子

投雪作業の様子

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取得した点群データから、2種類の高精度3Dモデルを作成

3Dマップを作成した区間

3Dマップを作成した区間

北海道開発局は2017年3月、産学官が広く連携して除雪現場の省力化を目ざす「i-Snow」という取り組みをスタートさせました。このi-Snowの最初の実証実験として行われたのが、知床峠の春山除雪です。

i-Snowでは2017年度、実証実験に先立ちモービル・マッピング・システム(MMS=Mobile Mapping System)を使って同区間の点群データを取得しました。それに基づき、ダイナミックマップ基盤データに準拠した「3D道路データ」と、ICT施工にも活用可能な周辺斜面の「TINモデル(地形データ)」の2種類の高精度3Dモデルを作成しました。「3D道路データ」は運転ガイダンスに、「TINモデル」はバックホウによる先導除雪やロータリ除雪車の投雪作業(左右の投げ分け)などに役立てられます。

画像上:3D道路データ 画像下:地形モデル

画像上:3D道路データ 画像下:地形モデル

続いて2018年度は、4月と10月の2度にわたり衛星測位による実態調査を実施。遮蔽やマルチパスの影響を評価するなどして、今回の春山除雪に向けた準備を行ってきました。

センチメータ級測位補強サービスに対応した新型ロータリ除雪車

今年3月20日から行われた実証実験には、みちびきのセンチメータ級測位補強サービス対応の受信機を搭載した新型ロータリ除雪車が投入されました。車両には、みちびきの信号と3D道路データを活用した、運転ガイダンスと投雪作業の自動化を統合したシステムが構築されています。実証実験では、除雪作業中のみちびきを始めとする衛星測位データのほか、除雪装置可動部のセンサーデータや、ドライブレコーダーなどのデータが取得されました。

新たに導入されたロータリ除雪車

新たに導入されたロータリ除雪車。視認性の高い北海道開発局のオリジナル色であるフレッシュグリーンを基調に、コックピットの周囲は、みちびきと宇宙をイメージさせるミッドナイトブルー(濃い紺色)をアクセントに使う、ツートーンでカラーリングされている

将来は一般道で1名のオペレーターでの除雪作業を目指す

3mを超えることもある知床峠の積雪

3mを超えることもある知床峠の積雪

ロータリ除雪車での除雪作業は通常、オペレーターと助手の2名体制で行われます。オペレーターは車両操作と機器操作を担当し、助手は機器操作補助と人や一般車両の安全確認を担当、周囲の障害物や道路施設などに気を配りオペレーターに注意を促す役割を担います。
今回実証実験が行われた春山除雪では、道路設備が雪で覆い隠された状態からスタートするため、周囲に除雪車両以外はおらず、安全確認の負担は小さくなります。その分、新たに導入した機器やシステムが、オペレーターの負担軽減にどう役立っているか、より詳細な評価が行える訳です。北海道開発局では、現在は2名が必要なロータリ除雪車を、将来的には一般道でも1名で作業が可能となるよう、システムを進化させたいとしています。

ロータリ除雪車のコックピット

ロータリ除雪車のコックピット。オペレーターの負担軽減を目的に操作レバーの数を減らし、メーター類も液晶画面などに統合されている。ガイダンス画面には、リアルタイムの受信衛星数も表示される

来年度は一般道での実証へ

北海道開発局の国島英樹氏(事業振興部 機械課 課長補佐)は、「詳細な評価はこれからですが、現在までに除雪車の制御システムの状態は概ね問題ないと確認しています。今後は作業負担の軽減度評価のため、実際に担当したオペレーターと共にドラレコ映像を確認する場を設けることも考えています。それらの詳細な解析を行い、来年度からの一般道での実証実験に向け準備を進めます」と話しています。

知床峠とロータリ除雪車

世界遺産として人気の観光地・知床。白樺の林を抜けた峠からは、晴れれば周辺の島々をきれいに眺めることができます。

(取材・文/喜多充成・科学技術ライター)

参照サイト

※ヘッダ及び本文画像提供:国土交通省 北海道開発局