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パーキンソン博士らGPS開発の功労者4氏が、エリザベス女王工学賞を受賞

2019年03月11日

工学分野のノーベル賞を目指して英国が創設し、2013年から2年に一度、人類に多大な影響を与えたイノベーション(個人又はグループ)を表彰している「エリザベス女王工学賞(QEPrize=Queen Elizabeth Prize for Engineering)」の、第4回となる今年の受賞者が発表されました。これまでの3回は「インターネットとWorld Wide Web」「ドラッグデリバリー」「イメージセンサー」などに関わったエンジニア・研究者らが受賞しましたが、今年は、GPS開発の功労者であるブラッドフォード・パーキンソン氏ら4氏に贈られることになりました。

受賞した4氏

受賞した4氏。左からシュワルツ、パーキンソン、スピルカー、フルハーフの各氏

公式サイトに掲載された、各氏の略歴と貢献分野は、次のとおりです。

ブラッドフォード・パーキンソン氏(Dr. Bradford Parkinson)
パーキンソン氏

1935年、米国ウィスコンシン州生まれ。米空軍在籍中にスタンフォード大学で博士号を取得。1973年、米空軍の衛星測位プロジェクト「621B」を前身とするNAVSTAR/GPSの初代プログラムディレクターに就任。複数の異なるシステムをまとめあげ、現在のGPSの基本設計を行いました。“GPSの父”と呼ばれる人物で、2016年にマルコーニ賞、2018年にIEEE栄誉賞を受賞しています。

ジェームス・スピルカー氏(Professor James Spilker)

スタンフォード大学で電子工学の博士号を取得。信号処理や時刻同期に関する技術論文をロッキード社の研究所で量産。パーキンソン氏にリクルートされ、GPSの民生用信号であるL1C/Aの設計に従事。スピルカー氏が提案したCDMA方式は、複数衛星の信号干渉の回避、耐ジャミング性の向上、高精度な時刻同期を同時に実現するもので、GPSの測位精度の核心をなすものとなりました。2000年代に入ってからも、次世代の民生用信号L5や、新たな変調方式BOCの設計に関わり、GPSの測位精度や障害耐性の向上に貢献。2015年にIEEEトーマス・エジソンメダルを受賞しました。

リチャード・シュワルツ氏(Richard Schwartz)

ロックウェル社でGPS衛星プログラムの責任者として、チーフエンジニアのヒューゴ・フルハーフ氏と共に衛星システムの開発に関わり、軌道上寿命を伸ばす衛星設計に貢献。その後、ロックウェル社のロケットダイン部門社長、ATK社CEOなどを歴任しました。

ヒューゴ・フルハーフ氏(Hugo Fruehauf)

サターンV型ロケット第2段の電子システム責任者などを経て、シュワルツ氏と共に耐放射線性をもつ最初のルビジウム原子時計の開発に成功。他社に転じてからも原子時計の小型化など改良を続け、GPSの性能向上に貢献しました。

GPSは「人類全体のためのシステム」

受賞に際しパーキンソン氏は、「当初から私たちは、このシステムは世界にインパクトを与えるものだという確信を持って取り組んでいました。そうでなければ、最初に何事かを成そうとする者が直面する、困難の荒波を乗り越えることはできなかったでしょう」とコメントし、GPSを「人類全体のためのシステム(System for Humanity)」と表現しました。

表彰式は今年後半にバッキンガム宮殿で行われ、賞金100万ポンド(約1億4千万円)とトロフィーがエリザベス女王から授与されます。

参照サイト

※画像出典:エリザベス女王工学賞(The Queen Elizabeth Prize for Engineering)公式サイト