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早稲田大が、GNSSで姿勢を検出するUAV実験を開始

2016年05月07日

衛星測位や自律移動ロボットの研究に携わる、早稲田大学高等研究所・鈴木太郎助教の研究グループが、マルチコプター型UAV(Unmanned aerial vehicle、 自律型無人飛行機)の姿勢検出に測位衛星の電波(搬送波位相)を利用する実験を始め、4月12日、データ取得のための最初のフライトを埼玉県の日本工業大学キャンパス内で行いました。

日本工業大学(埼玉県南埼玉郡宮代町)

試験飛行の準備状況

IMUに加え、GNSS受信機3セットを搭載

実験に用いられたUAVは、本体下部にレーザースキャナーを搭載し、飛行しながら地形や障害物などの3Dデータを取得するための試験機です。飛行姿勢を制御するため、最初から搭載されているIMU(Inertial Measurement Unit、慣性計測装置:加速度や角速度を検知し姿勢を知る)に加え、実験のためにGNSS受信機を3セット搭載しています。UAVの6枚のローターを支える支柱のうち3本の先端に、ちょうど正三角形の頂点をなすように3つのアンテナが設置されています。

GNSS受信機を複数搭載することにより、まずRTK法(Realtime Kinematic、リアルタイム キネマティック:正確な位置が分かっている基準局と移動局の相対位置を、測位衛星の搬送波(電波)の位相をもとに解析し、リアルタイムで位置を測定する方法)による高精度測位の確実性を高めることができます。

さらに3つの受信機のうち任意の1つを基準局、他の2つを移動局とみなし、機上でRTK法による測位を行うことで、機体の姿勢を検出することができます。3つのGNSS受信アンテナはローター支柱の先に固定されているので、互いの距離や角度は変わりません。その条件のもとで相対位置の変化が検出された場合、それは機体そのものの姿勢の変化を意味することになります。

3つのアンテナで作られる三角形の傾きが、機体の傾き(姿勢)を示す

IMUによる姿勢の検出は、得られた加速度のデータを時間積分して得ているため、飛行時間が長くなると誤差が蓄積し、実際の値とのズレが大きくなってしまいます。これが「ドリフト」と呼ばれる現象です。これを避けるためにはIMUに頼らずとも、正確な姿勢を知る手段が必要となります。また、正確な姿勢がいつも分かっていれば、レーザースキャナーで得られた地形や障害物等の3Dデータに対する信頼性も高まります。

ウェイポイントを周回する自律飛行を数回実施

当日の飛行実験は日本工業大学機械工学科制御システム研究室(石川貴一朗助教)の協力のもと行われました。座標値で指定されたウェイポイントを周回する自律飛行が数回にわたって実施され、飛行中の測位衛星からのデータ取得・記録が無事終了(解析は後日)しました。

UAV単独で測量するには10倍の精度改善が必要

鈴木太郎助教

鈴木助教は「UAVは、3軸の加速度や角速度センサ、電子コンパスなどを使って姿勢を検知して自律飛行するが、UAV単独で測量するには10倍の精度改善が必要です。今回の実験を、被災地域へ真っ先に飛んで、3Dによる立体データとして状況を伝えるUAVに向けた基盤技術開発につなげていきたい」と語っています。

関連情報

ImPACTロゴ

※この研究は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の革新的研究開発推進プログラム「ImPACT」のうち、東北大学の田所諭教授がプログラムマネージャーを努める「タフ・ロボティクス・チャレンジ」の一環として進められている研究です。このプログラムは、極限の災害現場でもタフに仕事ができる遠隔自律ロボットの実現を目指し、必要となる基盤技術を研究開発するものです。