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2015年7月1日、3年ぶりに「うるう秒」を実施

2015年07月02日

2015年7月1日、協定世界時と原子時計による時刻のズレを調整するために、1日の長さを1秒長くする「うるう秒」が3年ぶりに世界で同時に実施されました。「うるう秒」が必要になったのは、1秒の長さの定義が太陽の運行、すなわち地球の自転・公転周期を基準にした「平均太陽時」に基づくものから、より正確な原子時計に基づくものに変更されたからです。

現在の時刻の考え方のもとになっているのは、18世紀後半のヨーロッパから広がった「世界時」と呼ばれる考え方で、イギリスのグリニッジ天文台を通る子午線上で太陽が南中する時刻を正午として定め、1秒は平均太陽時をもとにして刻まれます。生活の中で利用する時刻としては、太陽の動きを基準に定めた時刻は人間の生活リズムに合うため、使い勝手が良いのです。

平均太陽時は時間や時刻は地球の公転・自転周期に基づき定められていますが、地球が楕円軌道を描いておりかつ自転速度も少しずつ変化するため、厳密には長さが一定ではありません。一方で、原子時計は厳密に同じ長さで1秒を刻みますが、長い時間の間に平均太陽時を基準とした時刻と原子時計を基準とした時刻はズレていき、不都合が生じます。

そこで1972年、「1秒の長さには原子時の1秒を使いながら、時刻はできるだけ世界時からズレないように調整する」という考え方で時刻を定義する考え方が採用されました。これを「協定世界時」(UTC=Coordinated Universal Time)と呼びます。原子時計による時刻を世界時±0.9秒以内にするために、不定期に原子時計の時刻を調整するのが「うるう秒」で、1秒加えるか減らすかどちらかの操作を行います。うるう秒は1972年以来、今回で26回目の実施となりましたが、全て1秒加える処理となっています。

NICTウェブサイトのキャプチャー画像

うるう秒挿入を告知する情報通信研究機構(NICT)のウェブサイト

日本で標準時を刻む原子時計を維持管理しているのは国立研究開発法人 情報通信研究機構(NICT=National Institute of Information and Communications Technology)です。NICTに設置された日本標準時を示す時計では、2015年7月1日午前9時の直前に1秒が挿入され、「8時59分60秒」が表示されました。この時刻はUTCでは6月30日午後11時59分60秒で、7月1日になる直前に1秒が挿入されたことになります。

NICTでは日本標準時(JST=Japan Standard Time)をUTCと比べて±10ナノ秒(1億分の1秒)の精度を目標に維持管理しています。この精度が必要となる背景には、現在、時刻が時を告げる以上の役割を持っているからです。電子取引を始めとするさまざまな場で使用されているため、時刻が同期されていない場合は不具合が生じる恐れもあり、正確な時刻情報が求められています。

パソコンやスマートフォンの多くは、インターネットや人工衛星を通して定期的に時刻を調整しています。また電波時計についても、電波の受信時に自動的に時刻を調整されます。古いシステムでは事前の対応が必要なケースもあり企業によっては予期せぬ不具合を警戒し社員を待機させる動きもありましたが、今のところ大きな混乱は生じていません。地球の自転速度は不規則なため、いつうるう秒の調整が実施されるかは長期の予測ができず、地球の自転を正確に観測し、監視していく必要があります。

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