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富士山の環境保全に向け、GPS端末で登山者の動態調査

2015年10月07日

2013年の世界遺産登録で登山道の受入能力を検討

2013年に世界文化遺産に登録された富士山。審査機関のイコモス(ICOMOS=International Council on Monuments and Sites、国際記念物遺跡会議)は、その際の「富士山の登録は適当である」との勧告にいくつかの条件を付記しました。
中でも重要な条件の一つが「保全状況報告書」の提出です。2016年2月を期限に、「登山道の受け入れ能力(収容力)を研究し、その成果に基づく来訪者管理戦略を策定すること」など、将来にわたる富士山の環境保全に向け、実効ある対策を盛り込んだ報告書の提出を求めているのです。

これを受け、山梨、静岡両県は有識者による「富士山世界文化遺産学術委員会」を組織し、報告書作成に向けた準備を進めています。その具体的なアクションの一環として、今年7~8月にかけて「入山者の動態調査」を実施しました。その結果の一部を速報でお伝えします。

富士山世界文化遺産協議会のウェブサイト画面

5回の調査で計1,619件の端末を回収

調査は、GPS衛星を利用して移動経路を記録する端末「GPSロガー」を、登山道入口で登山者に渡し、下山時に回収するというものです。平日に2回、週末に3回の計5回にわたり、4つの登山口(富士宮、御殿場、須走、吉田)で実施しました。
サンプル調査は1登山口で2日間実施され、初日は朝6時~深夜24時に配布と回収を、2日目は朝6時~夕方15時の間に回収作業を行います。下山時に返却を忘れた場合でも郵送等で返却できるようにしたことで、合計1,619件の端末を回収できました。

データ解析が進むに従い、登山者の動向が浮き彫りになりつつあります。「時間帯別の山頂滞在者数」は、ご来光が見られる午前5時前後がピークとなっています。その時間帯に山頂にいた人たちの登山開始時刻の分布をみると、もっとも多いのは前日の日中10~14時台ですが、夜の20~22時台にも小さなピークがあります。5合目を夜間に出発し山小屋で休憩をとらず一気に山頂を目指す、いわゆる「弾丸登山」の登山者も一定数いることがGPS端末によるサンプル調査からも裏付けられたわけです。

山梨、静岡両県では、こうした調査結果と分析をイコモスに提出する報告書の作成に役立てるほか、2018年夏の登山シーズンが始まるまでに「登山道ごとに1日当たりの登山者の目標数を設定」するとしています。

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