コンテンツです

MWE2015の位置情報ワークショップで活発な議論

2015年11月30日

11月25~27日の3日間、「快適でやさしい社会を演出するマイクロ波技術」をテーマに横浜市のパシフィコ横浜で開催された「2015 Microwave Workshops & Exhibition」(略称・MWE2015、主催・電子情報通信学会 APMC国内委員会)。

このイベントでは、企業や大学の最新技術や研究発表の展示会とともに、専門家の集まるワークショップが大きな柱となっています。今年はITS(Intelligent Transport Systems、高度道路交通システム)やIoT(Internet of Things、モノのインターネット)と並んで「位置情報」にフォーカスしたワークショップが開催されました。

パシフィコ横浜の外観写真

オーガナイザの柴崎教授が世界各地の事例で話題提供

オーガナイザを務めた東京大学の柴崎亮介教授

11月27日に行われたワークショップ「位置情報サービス技術のフロンティア」のオーガナイザを務めたのは、東京大学の柴崎亮介教授(空間情報科学研究センター)。まずは話題提供として、位置情報利用サービスの世界的な動向を解説しました。

最初の事例は、エボラ出血熱のアウトブレイクに直面したアフリカ・シエラレオネにおける、スマートフォンの位置情報機能を利用した人の流れの解析・可視化の取り組みです。「現在、SIMカードの総発行枚数は70億に達しており、シエラレオネでも多くの人が携帯電話を持つようになっている」(柴崎教授)として、国連の取り組みなどにも触れました。

続いて自動走行車のデモンストレーション映像や、ラグビーなどスポーツ分野でのトレーニング解析システム、国際航行する船舶で使われているAIS(Automatic Identification System、自動船舶識別装置)位置情報を使った物流や漁業の監視システム、「GRABTAXI」というタクシーと利用者のマッチングシステム(配車アプリ)などを紹介しました。

慶應大・大槻教授は、位置推定技術の事例を紹介

慶應義塾大学の大槻知明教授

3人のうち、まず最初に登壇した慶應義塾大学の大槻知明教授(理工学部 情報工学科)は「位置推定技術の研究動向」と題して講演。位置情報をさまざまなサービスに適用していく「ロケーション・インテリジェンス」の取り組みの事例として、ユーザーの位置情報とリンクさせたプッシュ型の情報提供サービス、SNSでの発言を解析してクーポンを配信するシステムなどを紹介しました。

続いて「歩行者デッド・レコニング(位置情報推定)」の最新の手法や、人体による電波伝搬の変化を捉えることで、スマートフォンを持っていないユーザーの室内位置を推定する「デバイスフリー位置推定技術」なども紹介し、侵入者検知や介護施設での見守りに役立てられるのではないかと会場の関心を集めました。

屋内外測位のシームレス化をテーマにした立命大・西尾教授

立命館大学の西尾信彦教授

続いて立命館大学の西尾信彦教授(情報理工学部 情報システム学科)が、「屋内外シームレス位置情報サービスの現在と展望 — 最新技術と今後 —」と題して講演しました。

大阪・梅田の地下街における「G空間誘導灯システム」による避難誘導支援の情報インフラ整備の実証実験(総務省G空間シティ構築事業 採択事業*)や、屋外の衛星測位と屋内測位をシームレスに切り替える研究への取り組みを紹介したほか、無線LAN、BLE・iBeacom、IMES、非可聴音ビーコンなど屋内測位に役立つ技術やデバイスそれぞれの特徴や課題についても触れました。さらに最新のスマートフォンに搭載されつつある気圧センサが、上下移動を思いのほか正確に捉えられることから、屋内地図とのマップ・マッチングの用途での期待も語りました。

海洋大・久保教授は、移動体での高精度測位のデータを紹介

東京海洋大学の久保信明准教授

最後に東京海洋大学の久保信明准教授(海洋工学部 海事システム工学科)が登壇し「移動体における高精度測位技術に関する現在と未来」と題して講演。衛星測位を行いながら車両を走行させる実験を国内外の都市部(東京・江東区〜千代田区、タイ・バンコク)で行った実験データを紹介しました。

特に国内では、GPSのみを利用した場合と、みちびきを追加して利用する場合、マルチGNSSを利用した場合の実験データを提示し、みちびきやマルチGNSSでの圧倒的な効果を紹介しました。さらに「測位に利用する衛星数が11〜12を超えるあたりから、数十ドルのローコスト受信機でも一気に信頼性が上がる」「みちびきの4機体制でどのような効果が出るか期待が持てる」(久保教授)などのコメントもありました。

講演の後の質疑応答の時間も、来場者や講演者から質問が寄せられるなど、活発で密度の濃い討議が交わされ、充実したワークショップとなりました。

参照サイト