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JAXAが来年1月、測位精度向上に貢献する観測ロケット打ち上げ

2015年11月11日

今から5年前の2010年9月にみちびき初号機を打ち上げたJAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)は、みちびき以外にも衛星測位に関連した各種の実験を行っています。来年(2016年)1月12日には「電離圏プラズマ高温度層発生メカニズム」の解明のため、鹿児島県の大隅半島にある内之浦宇宙空間観測所から観測ロケットS‐310‐44号機を打ち上げます。

観測の対象となるのは、冬期に緯度25から32度付近の上空でしばしば発生する「Sq電流系」と呼ばれる環状の空間電流です(下図参照)。この「Sq電流系」は、通常なら北極や南極付近でしか見られないような電子の加速を引き起こすため、電波伝搬に影響を与えます。太陽活動の静穏な日に規則的な地磁気の変化(Sq; Solar quiet variation)が生じることからこの現象が知られるようになりました。

実験イメージ図

実験イメージ図(JAXA提供)

そもそも電離層とは、大気を構成する原子や分子から電子が分離(電離)した状態にある層のことで、電波が電離層を通過する際には、経路に存在する電子やイオンの影響によって速度が遅くなり、衛星測位の精度や短波通信などにも影響を与えます。一方、電離圏とは電離層を含むさらに上空約1,000kmまでの、より広い範囲をさす言葉です。太陽活動などさまざまな要因により電離圏の電子密度は変動するため、そこを通過する電波の遅延量は刻々と変化します。

今回の観測ロケットは「Sq電流系」のメカニズムの解明につながる観測データの取得を目指すもので、さらに研究が進めば衛星測位の精度向上への貢献も期待されています。

観測ロケットS-310の整備風景

今回打ち上げるのと同型のS-310観測ロケット(資料画像、JAXA提供)

なお、JAXAは昨年(2014年)8月にも「スポラディックE層空間構造の立体観測」を目的とした観測ロケットS-520-29号機を、今回と同じ内之浦宇宙空間観測所から打ち上げ、実験に成功しています。スポラディックE層とは、電波の受信障害や異常伝播の要因となる、局所的・突発的に発生する電離層のことです。

参照サイト

※ヘッダ画像は、内之浦宇宙空間観測所(資料画像、JAXA提供)