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測位航法学会・全国大会を東京海洋大で開催

2018年05月28日

一般社団法人測位航法学会は5月16~18日、2018年度全国大会を東京海洋大学越中島キャンパス(東京・江東区)で開催しました。最終日の18日には研究発表会が行われ、最新のGNSS技術に関する研究開発の事例が示されました。ここでは、その中からみちびきに関連した発表を選んで、概要を紹介します。

東アジアにおけるIGSO/QZSS隆盛の現状

── 横浜国大・高橋冨士信氏

横浜国大の高橋氏

横浜国大の高橋氏

スマートフォンを使って長年にわたりGNSSのモニタリングを行っている、横浜国立大学大学院の高橋冨士信氏(未来情報通信医療社会基盤センター 名誉教授)は、その観測データを紹介しながら、東アジア地域で傾斜対地同期軌道(IGSO)や準天頂軌道が顕著に増加していることを指摘し、各国の戦略について考察を加えました。

GNSS精密測位の公正な分類と座標の主権に関する研究

── SPAC浅里幸起氏

SPACの浅里氏

SPACの浅里氏

一般財団法人衛星測位利用推進センター(SPAC)の浅里幸起氏(技術開発本部開発部長)は、「GNSS精密測位の公正な分類と座標の主権に関する研究」と題して発表を行い、衛星測位の結果が重さや長さなど他の計量と同じく、「取引」や「証明」で使用されるための要件を列挙し、解説しました。

みちびきセンチメータ級測位受信機の開発

── コア・寺尾和洋氏

コアの寺尾氏

コアの寺尾氏

株式会社コアがSPACと共同開発したL6アダプタは、みちびきのL6信号をリアルタイムにRTCM(搬送波位相の情報を含む、GNSSデータ伝送時の標準フォーマット)に変換する装置です。このアダプタを介することで、既存のネットワーク型RTKと同様のシステムで測位演算処理を行えるようになります。コアの寺尾和洋氏(GNSSソリューション開発センター研究開発担当)は、みちびきのセンチメータ級測位補強サービスによる定点での測位実験の結果を紹介しながら、十分な精度を満たす測位解が得られたと報告しました。

ミリメータ級のステップ変位検出手法を紹介

── SPAC・三神泉氏

SPACの三神氏

SPACの三神氏

集中豪雨などによる地すべり被害を減らすには、きめ細かな観測データ取得と信頼のおける手法によるデータ解析を両輪とした「地すべり予測」を行い、避難呼びかけなどの対策につなげていく必要があります。SPACの三神泉氏(専務理事)は、「土木学会の知見では、地すべりの検知には30時間以前に5mm程度の変位の検知が必要とされている」として、みちびきのセンチメータ級測位補強サービスを使いながら、ミリメータ級の変位を検知する手法を紹介しました。これは、1時間程度かけて取得した観測データ(測位誤差データ)に数学的なフィルター処理を施すことで、5mm程度の変位を検知するものです。シミュレーションでは30分程度の時間遅れを伴うセミリアルタイムでの検知に目処が立っているとして、今後の商用化の方針についても言及しました。

専門家向けセミナーや学生の発表なども

この全国大会では初日と2日目に専門家向けのGNSSセミナーが行われ企業のエンジニアや学生が参加しました。また、最終日の研究発表会では、測位航法学会に所属する大学や高等専門学校の学生らも多く登壇し、企業や研究機関の参加者との間で活発な質疑応答が交わしました。

専門家向けセミナー「ソフトウェア無線機によるGNSS信号の解析」

セミナー「ソフトウェア無線機によるGNSS信号の解析」(早稲田大学高等研究所 鈴木太郎助教)

(取材/文:喜多充成・科学技術ライター)

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