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超小型衛星「WNISAT-1R」がGNSS反射波のデータ取得に成功

2018年01月23日

株式会社ウェザーニューズは、同社と株式会社アクセルスペースが共同で開発した独自の超小型衛星「WNISAT-1R」(2017年7月14日打ち上げ)がGNSS反射波(GNSS-R:Global Navigation Satellite System - Reflectometry)のデータ取得に成功したと発表しました。これは英国のSSTL(Surrey Satellite Technology Ltd.)、米国のNASA(米国航空宇宙局)に続く世界3番目の事例で、日本では初めての成功事例です。

GNSS反射波で、地球表面の状態を観測

GNSS反射波とは、地球表面で反射した測位衛星の電波であり、これを受信し、解析することで「地球表面の状態」を観測できます。測位衛星からの電波を利用するため、自ら電波を発する必要がなく、大きな電源を持たない小型衛星に向いています。雲の有無や明暗に左右されずに観測でき、複数の測位衛星の電波を用いることで広域のデータを取得できます。

GNSS反射波の概念図

GNSS反射波の概念図

ウェザーニューズは、雲や昼夜に左右されない新たな気象・海象観測に挑戦するため、GNSS反射波を受信できるアンテナを実験的に「WNISAT-1R」に搭載し、このたびその受信波からGNSS反射波の特徴であるDDM(Delay Doppler Map)を生成し、GNSS反射波のデータ取得に成功したことを確認しました。

WNISAT-1R搭載のGNSS反射波とGPSの受信アンテナの位置

WNISAT-1R搭載のGNSS反射波(左)とGPS(右)の受信アンテナの位置

DDM(Delay Doppler Map)は、横軸にGNSS反射波を受信するまでにかかった時間、縦軸にドップラーシフト周波数(=反射点と受信点で周波数が変化する「ドップラー効果」によってシフトする周波数の量)を用いて描画したグラフで、受信時間とドップラーシフト周波数の広がりの大きさなどを見ることで、地球表面が平らな状態なのか、それとも粗い状態なのかを推測できます(=表面が乱れているほど乱反射する割合が多くなり、受信時間が遅くなる電波が増加します)。

これにより、反射点が海面であれば海面の乱れが分かり、風の強さと波の相関関係から海上の風を推測することも可能となります。

DDMの図版

位置が異なる2機の測位衛星からGNSS反射波の受信に要した時間とドップラーシフト周波数を用いて生成したDDM。Aは、受信時間や周波数に広がりがなくコンパクトで、反射点の表面が比較的穏やか、Bは両方に広がりがあり、海面が乱れていると推測される

GNSS反射波の特徴

GNSS反射波の原理

上DDMグラフの「B」に対応したGPS(左赤)とWNISAT-1R(右青)の位置(2017年8月17日)

GNSS反射波の原理

GNSS反射波の原理

上DDMグラフの「B」に対応した反射強度、等距離線、等ドップラー線の図

上DDMグラフの「B」に対応した反射強度(左)、等距離線(中央)、等ドップラー線(右)

地表面で反射した測位衛星の反射波を用いることで、光学カメラでは観測できない夜間や曇天時でも地球表面の状態を捉えられるため、光学カメラとの併用で新たな監視の目となることが期待されています。同社は今後、観測事例を増やして比較学習を重ね、海面の波や風の強さ、海氷の情報を航海の安全に寄与できるか海運会社と協力して確認していく予定です。

参照サイト

※ヘッダおよび本文画像提供:株式会社ウェザーニューズ