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東北大学のサイバー救助犬「レスキューロボドッグ」

2016年02月22日

訓練を受けた救助犬がカメラや無線機を背負い、瓦礫(がれき)の下の行方不明者を捜索するサイバー救助犬「レスキューロボドッグ」の研究開発を、東北大学 未来科学技術共同研究センターの大野和則 准教授の研究グループが進めています。

GPSなどを装備した救助犬用「行動計測スーツ」を開発

大野准教授のグループは、GPS、慣性センサ、気圧センサや無線機などを装備した救助犬用の「行動計測スーツ」を開発しています。救助犬の目線からの映像や、行動経路の情報をタブレットに伝送・表示させて救助チームで共有し、より効率的で効果的な捜索活動に役立てようとするものです。

救助犬とロボット技術を組み合わせるメリットについて、大野准教授はこう語ります。
「たとえば瓦礫の下の行方不明者を見つけるのに、ニオイは重要な手がかりとなります。高感度のセンサで化学物質を検出することはできますが、機械にはそのニオイが要救助者のものか救援隊のものかを判別するのが難しい。しかし救助犬は当然ながら、容易にそれを区別します。訓練を受けた救助犬の動きも、今のロボット技術がすぐに追いつける水準のものではありません」

改良を重ねた4号機で、長時間の活動や動作が可能に

東日本大震災後の2011年4月から研究資金を得て開発を進め、現在のモデルは4号機。システムの重量や形状について改良を重ね、「レスキューロボドッグ」として長時間の活動や動作が可能となりました。

「研究や調査を重ね、救助犬にイヤがられないようにするコツが分かってきました。撮影などに動物を貸し出す動物プロダクションの方に衣装の着せ方のコツを聞いたり、バイオロギング(野生生物の行動記録)の研究を通して得られた “体重の5〜10%” という知見を生かして機器の重量を抑え、イヌの身体の筋肉に応じた装着位置や重量配分、さらには胴体の丸みにフィットするよう3Dプリンタで機器ケースをつくるなど、工夫を重ねました。最初の頃は装着して5分で露骨にイヤな顔をされていましたが、今では1時間半程度の訓練や試験でも、普通にこなしてくれるようになりました」(大野准教授)

“ニオイを拾う”動作をキャッチして捜索効率をアップ

東北大学のサイトには訓練動画も公開されています(上は、キャプチャー画像)

救助犬は行方不明者を発見した際、立ち止まって吠えるなどしてそれをハンドラー(指示者)に知らせますが、疑わしい兆候を見つけた際は、行動や歩き方に変化が生じるといいます。

大野准教授は、「ハンドラーの方は “ニオイを拾う” と言いますが、そういう変化をうまく記録し、救助チームで共有することで、捜索の効率を上げられれば考えています」と、犬と人とロボット技術の融合を目指した研究活動への意欲を語ってくれました。

TRCロゴ

開発にはNPO法人「日本救助犬協会」(本部:東京・中野区)から体重30kg前後の大型犬3頭が参画し、機器は現在4号機まで製作されています。製作中の5号機では、みちびきを始めとするマルチGNSS対応の受信機を装備し、体重15kg前後の中型犬にも装着可能な、より軽量のシステムを目指すとしています。

※このシステムは、ImPACT TRC、MI CREST、 KAKENHIの支援のもと研究開発が行われています。

参照サイト

※ヘッダ及び本文画像提供:東北大学