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用語集

IRNSS

「NAVIC」の項を参照してください。

アルマナックとエフェメリス

衛星の軌道半径や離心率、軌道傾斜角など衛星固有の「軌道情報」は、適切な構造を持ったデータセットとして提供されており、測位衛星におけるデータセットの一つがアルマナックと呼ばれるものです。またGPSであれば、1機の衛星が放送するアルマナックにはすべてのGPS衛星の軌道情報が含まれるため、大まかな位置の推定が可能で、初期捕捉にかかる時間を短縮できます。アルマナックと共に、より精度の高いエフェメリスも送信されており、受信側ではその情報をもとに、ある瞬間における衛星の位置をより正確に求めることができます。これらの名称は、英国の王立グリニッジ天文台が18世紀後半に発刊し、航海に利用されていた”The Nautical Almanac and Astronomical Ephemeris”に由来しています。

AGPS

衛星測位では、信号捕捉や軌道情報の計算などに一定の時間がかかります。AGPS(Assisted GPS、補助GPS)は、あらかじめ計算処理を行って衛星配置などを求め、モバイルネットワークなどを通じてその結果を送信することで、端末(受信機側)の負担を軽減する手法です。測位開始時間を短縮し、たとえばスマートフォン端末などの省エネにつながるメリットもあります。

衛星測位システム

利用者の正確な位置を求めるため、1)複数機の測位衛星、2)衛星を管理する地上局、3)利用者の受信機、で構成されるシステムのこと。最低4機以上の衛星から電波を受信し、その伝播時間から衛星と利用者間の距離を求め、計算により位置を求めるのが基本です。また、利用者は測位と同時に正確な時刻を得ることもできます。
衛星測位システムは、英語のGlobal Navigation Satellite Systemの頭文字から「GNSS」と表記されます。GNSSの代表格は米国のGPSですが、ロシアのGLONASS、欧州のガリレオ(Galileo)、中国のBeiDouなどが整備されつつあり、これらを総称する時、GNSSの語が使われます。日本のみちびきは、アジア・オセアニア地域のみを対象とするためRNSS(Regional Navigation Satellite System)に分類される場合もありますが、インドのNAVICと共にGNSSに含まれる場合もあります。

SBAS

Satellite-Based Augmentation Systemの略。補強信号を送信するための静止衛星を含む一連のシステムのことで、日本ではMT-SATシリーズ(運輸多目的衛星)にこの機能が備えられています。静止衛星を利用するため、緯度が高いほど仰角が低くなり、ビルや樹木などの障害物による遮蔽やマルチパスなどの影響が大きくなります。

ガリレオ(Galileo)

欧州連合(EU)が整備を進める衛星測位システム。2005年に最初の試験衛星が打ち上げられ、2016年暮れに初期サービス開始が宣言されました。命名はイタリアの物理学者ガリレオ・ガリレイにちなみます。

擬似距離

電波伝播時間から求められる「衛星と受信機(利用者)間の距離」は、電離層や大気の影響を受け、さらに受信機そのものに起因する誤差も含みます。衛星測位では、まず大まかな位置を求め、誤差を補正しながら計算を行い、より確からしい値を求めます。この計算の出発点となる、誤差情報も含んだ距離のことを擬似距離と呼びます。

仰角と方位角

仰角とは、衛星と地平線のなす角度のことです。天頂が90度で、天頂に近いほど「高仰角である」と言います。「衛星の高さ」と表現する場合もあり、高いほど受信条件が良くなります。また方位角は、真北を0度、真東を90度とした場合の衛星の方角を示します。衛星の天球上の見かけの位置は、方位角と仰角で表現されます。

GLONASS

ロシアの衛星測位サービスで、全地球航法衛星システムの略称。独自のシステム、波長で運用されているため、GPSとは互換性がありません。

原子時計

原子固有の性質を利用した、きわめて高い精度を実現できる時計です。国際的な「1秒の長さ」の定義にも使われており、定義によれば1秒は「セシウム原子の状態が91億9263万1770回変化する時間の長さ」となっています。セシウムのほか、ルビジウムや水素、ストロンチウムなどを使うものもあります。

GNSS

「衛星測位システム」の項を参照してください。

CDMA方式

デジタル無線方式の一種で、メッセージに特定の数列(コード)を掛け合わせて送信し、受信側で同じコードを使って復元する方式です。同じ周波数を複数機が同時に利用できる、ノイズに強い、秘匿性が高い、などのメリットがあるため、現在の携帯電話や無線LANを支える代表的な無線通信方式となっています。衛星測位では、送受信に使うコードを衛星の識別に使うと同時に、電波の到達時間の精密計測にも役立てています。

GPS

Global Positioning Systemの略。米国によって運用される衛星測位システムです。常時30機を超えるGPS衛星が地球全土をカバーするように周回しています。

GPS時

GPSでは「週と秒」だけで時刻を表現します。年月日や時、分を使わないこの時刻体系は「GPS時」と呼ばれています。GPS時はUTC(協定世界時)1980年1月6日午前0時を起点としており、60万4800秒(=60秒×60分×24時間×7日)で1週間が繰り上がります。週数のカウントは1024週(=約20年)でゼロに戻り、1999年8月22日から2巡目に入っています。さらに2019年4月7日(日本時間では同日午前9時)から3巡目に入ります。この「週の繰り上がり」をロールオーバーと呼びます。UTCでは時折「うるう秒」を挿入する補正が行われますが、GPS時にうるう秒はありません。UTCとGPS時のズレが何秒あるかの情報が送信されており、これをもとに簡単な計算でGPS時からUTCを得ることができています。

準天頂軌道

衛星が日本上空に長くとどまるように設計された軌道で、その軌跡を地表に描くと、日本からオセアニアを広く覆う8の字に見えます。北半球側(日本側)が小さい非対称の8の字となっているのは、北半球での軌道半径を長くしているからで、日本上空で天頂付近に差し掛かるときにはゆっくり移動するように見えます。軌道周期は地球の自転に同期しており、軌道面は赤道面から約45度傾いています。

静止衛星

人工衛星が、1)地球の自転と同じ方向に回り、2)同じ自転周期を持ち、3)円軌道をとり、4)軌道面が地球の赤道面と同じである時、衛星は地上から静止して見えます。そのような軌道を静止軌道と呼び、静止軌道に投入された衛星を静止衛星と呼びます。見かけ上は止まっているので、受信アンテナの向きを固定でき、通信や放送などに多く利用されています。日本の準天頂衛星システムでは、みちびき3号機が静止衛星となっています。

対流圏/対流圏補正

大気分子や大気中の水蒸気の影響により、電波伝播には遅延が生じます。これをキャンセルするための演算処理を、対流圏補正と呼びます。対流圏とは、地表から高度11km程度までの濃い大気が存在する領域の呼び名です。衛星の仰角が低いほど電波が大気中を通過する距離が長くなるため、補正に際してはその影響も加味する必要があります。

DGPS

Differential GPSの略。地上の固定局で受信・演算した情報をもとに、モバイルネットワークや中波、または衛星による同報送信で端末(受信機側)に伝え、測位精度を向上させる手法です。かつてはGPSの意図的な精度低下(SA)の補正に使われていましたが、現在は電離圏遅延や対流圏補正に関わる情報が提供されています。

DOP

Dilution of Precisionの略で、直訳すると「精度の希釈」となります。測位精度劣化係数とも呼ばれています。衛星測位において、特定方向に衛星が偏ってしまうとDOPの値が大きくなり、測位の精度は落ちることになります。逆に衛星がまんべんなく天球上に散らばっているとDOPは小さくなり、測位の精度は向上します。

電離圏/電離圏遅延

電離圏は、地球大気の上層部にある原子や分子から、電子が分離(電離)した状態(プラズマ状態)にある領域です。電波が電離圏を通過する際は、電子やイオンの影響によって速度が遅くなります。これを電離圏遅延と呼びます。太陽活動により電離圏は変動し、遅延の程度は時と場所によって変わるため、測位の誤差を小さくするには細かな補整が不可欠です。

「電離圏による電波遅延」のイメージ図。

「電離圏誤差低減による測位精度向上」のイメージ図

NAVIC

Navigation Indian Constellationの略。インドが運用する測位衛星システムで、IRNSS(Indian Regional Navigational Satellite System)とも呼ばれています。静止衛星と傾斜対地同期軌道(IGSO)の衛星のみで構成されます。

2周波測位

電離圏遅延の度合いは電波の周波数により異なるため、異なる周波数の電波を衛星から発信し、同時に受信して解析すると、その影響を見積もることができます。こうした手法で補正が可能であることが、1周波の測位に比べ2周波測位でより高い精度が得られる理由の一つとなっています。

搬送波/搬送波位相

高精度測位に不可欠なのが、搬送波位相の情報です。搬送波とは測位衛星から発射される電波そのもののことで、搬送波位相とは、その電波が1周期のうちのどの段階にあるかを示すものです。GPSやみちびきが使うL1信号では、周波数が1575.42MHzなので、波長(山と谷の間隔)は約19cmとなります。衛星と受信機との間の距離は、搬送波の波長である約19cmを単位として「何波長分(整数+小数)に相当するか」で表現できます。搬送波位相はこの表現における小数部分を意味する数値であり、擬似距離を用いるよりはるかに高精度の測位が可能となります。

PRNコード

衛星測位システムでは、複数の衛星から同じ周波数で測位信号が送信されています。PRNコードは、受信した電波がどの衛星からのものかを識別し、そこから情報を取り出すためのビット列で、暗号システムにおける復号鍵に相当します。CDMA方式での通信には不可欠の存在で、衛星固有のコードに付与された番号をPRN番号と呼びます。PRNは、擬似ランダム雑音(Pseudo Random Noise)の頭文字です。

BeiDou

漢字で北斗衛星導航系統(BeiDou Navigation Satellite System)と表記される、中国の衛星測位システムです。BeiDouは「北斗」のアルファベット表記。衛星の世代によってCOMPASSとも呼ばれます。

マルチパス

直接届く電波と、ビルや山などに反射して届く電波が混ざって受信された状態を、マルチパス(複数の経路)と呼びます。反射して届いた電波は行路が長く時間遅れを生じているため、測位誤差を増やす要因となります。

「マルチパス低減による測位精度向上」のイメージ図

以上