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東京大学で「MADOCA利用検討会準備会合」開催

2016年04月05日

「MADOCA利用検討会」の設立準備会合が3月29日、東京大学 駒場IIキャンパスで開催されました。MADOCA(Multi-GNSS Advanced Demonstration tool for Orbit and Clock Analysis)は、JAXA(国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構)により開発された、GPSやGLONASSなど複数のGNSS衛星の軌道と時刻を高精度に推定するシステムです。

この成果物であるMADOCA暦は随時、インターネットのウェブサイトやみちびきのLEX信号(データ部1.7kbps)で提供されています。MADOCA暦を使った高精度測位(PPP;Precise Point Positioning)をより幅広い地域・分野で利用してもらおうと、今回の会合が企画されました。

(上段左から)柴崎教授、小暮氏、久保准教授、(下段左から)長尾氏、神武准教授、五百竹氏

「高精度測位はこれからコモデティ(日用品)化していく」

 ──── 東京大学 柴崎亮介教授

まず東京大学 空間情報科学研究センターの柴崎亮介教授が登壇。「みちびきが放送インフラだとしたら、MADOCA-PPPは番組コンテンツ。リアルタイム精密測位という魅力的なコンテンツを、いかに安く、グローバルに展開するかが最重要課題であり、高精度測位はこれからコモデティ(日用品)化していくに違いない」と、情勢認識を含めての開会挨拶を行いました。

「幅広い地域をカバーするのだから、より多くの人に使ってもらいたい」

 ──── JAXA 小暮 聡氏

続いてJAXAの小暮聡氏が「MADOCA及びMADOCA-PPPの開発状況について」と題して講演を行いました。小暮氏は「マルチGNSS時代で、とりわけ東南アジア地域は可視衛星数の多い地域となり、ビジネスとしても巨大なマーケット。みちびきをワン・オブ・ゼムの測位衛星に終わらせないためにも、MADOCAの価値ある情報を天頂近くから降らせることが重要と考えている」と開発のモチベーションを明かし、測量などで使われるRTK法並みの精度が、基準局を使わずに得られるMADOCA-PPP-AR(アンギビュイティ解析)の技術を紹介。「地上インフラが未整備でも、洋上でも、精密測位が可能となる技術。せっかく幅広い地域をカバーするのだから、より多くの人に使ってもらいたい」と希望を述べました。

「産学官の産と官をバックアップしていきたい」

 ──── 東京海洋大学 久保信明准教授

さらに「海外の精密測位」との題で、ラオスから帰国したばかりの東京海洋大学 大学院・海洋科学技術研究科の久保信明准教授が講演。タイ、フィリピン、インドネシア、ラオスなど海外の大学でGNSS基準局の設置に協力してきた活動とその狙いや、アジアの大都市圏や洋上での測位実験を紹介。シンガポールで測位衛星を利用した電子式道路課金システムを受注した三菱重工グループの例を挙げ、宇宙インフラを用いた日本企業の海外でのビジネス展開などに期待を示しながら、「技術的にできるということと、サービスとして提供可能であるということはイコールではない。その間を埋める仕事が大学人の役割と思っている。産学官の産と官をバックアップしていきたい」との姿勢を表明しました。

「1方式に対応すれば、グローバルに通用するのはありがたい」

 ──── 本田技術研究所 長尾 朗氏

産業界からは株式会社本田技術研究所の長尾朗氏が登壇し、「MADOCA利用による高精度測位への期待」と題して講演を行いました。大きな政策テーマとなっている自動運転・自動走行について、「協調型か自律型か」「(適用場所は)シンプルか複雑か」という2軸のポジショニングマップを使って自動運転技術の枠組みを解説し、同社のタイの研究所で行った路上での測位実験の模様も紹介した上で「(世界中に自動車を販売する企業として)1つの方式に対応すれば、グローバルに通用するというのは、開発工数の面などからもたいへんありがたいこと」と期待を示しました。

人材育成に関わる「GESTISS」や「G-SPASE 2」の取り組み

 ──── 慶應義塾大学 神武直彦准教授

慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科の神武直彦准教授は、国内外の大学間連携で、宇宙インフラを地上の問題解決につなげられる人材育成に関わるプログラムGESTISSやG-SPASE2の取り組みについて紹介しました。

「日本発・高精度のMADOCA-PPPを世界に広めよう!」

 ──── 日立造船 五百竹義勝氏

最後に、事務局を務める日立造船株式会社の五百竹義勝氏が、今後の検討会の立ち上げスケジュールなどを示しながら、「70機関、100名以上の参加申し込みを得て、このテーマへの関心の高さを改めて認識した。日本発・高精度のMADOCA-PPPを世界に広めましょう!」と訴えかけ、閉会しました。

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