コンテンツです

国土地理院の年次報告会、テーマは「くらしを守る」 [結果レポート]

2016年06月14日

国土地理院は6月8日、東京・大手町の日経ホールで第45回国土地理院報告会を開催しました。

国土地理院院長の越智繁雄氏

報告会はまず、国土地理院院長の越智繁雄氏から「われわれが力を注いでいる技術・広報・教育に関する最新の取組状況をお知らせしたい」との開会あいさつの後、今年のテーマ「くらしを守る ── 被害を最小限とする社会を築く──」に沿って同院職員が報告を行いました。当日のプログラムから、衛星測位に関連する話題を選んでご紹介します。

電子基準点は、地理や測量に興味を持つ身近なきっかけ

総務部長の山本健一氏は「国土地理院の広報リーディング・プロジェクト」と題して報告しました。

電子基準点を設置して いる学校への出前授業

山本氏は、公共用地に設置されている約1,300カ所の電子基準点のうち、約600点が学校の敷地内に設置されているため、これを足がかりに学校へ職員を派遣、電子基準点とは何で出来ていて、どんな役割を担っているかを児童生徒や保護者・教職員に説明していく取り組みを行っていると紹介。

山本健一氏

「中高生はまだしも、小学生向けに電子基準点を説明するのは、たいへん難しいチャレンジ。でも電子基準点は、お子さんたちにとって地理や測量に興味を持つ身近なきっかけになってくれるはず」と取り組みへの意欲を語りました。

石岡が電子基準点の位置を決め、日本の位置を決める

測地部宇宙測地課長の宮原伐折羅(ばさら)氏は「石岡測地観測局が完成 ── 石岡が世界の中の日本の位置を决めます ──」と題して、今年の5月1日から本格運用を開始した、石岡測地観測局の設備と運用について報告しました。

石岡測地観測局

同観測局は、つくば市の本院に設置されているこれまでの設備に比べて直径は32mから13mと小さくなるものの、幅広い受信帯域と高速の信号記録、高いポインティング性能を持つ世界最高水準の設備です。つくばから石岡への移転は、設備老朽化のほか、つくば市での上下方向の年周変動、2GHz帯の電波干渉などが理由で、筑波山の安定した岩盤に位置していることから決まりました。
ここでは遠方の銀河からの電波を受信するVLBI観測を高い精度で行います。同様の設備を持つ欧米の3局の測地観測局と協調観測を行うことで、日本の位置を1mmの精度で決定できます。

宮原伐折羅(ばさら)氏

「日本には約11万点の三角点があります。これらの位置は1,300点の電子基準点をもとに決められており、石岡測地観測局はそれら電子基準点の位置の基準、つまり日本の位置の基準となるわけです。

敷地内にある2つのGNSS観測設備は、この場所の上空の大気や電離層の状態を把握するなどの目的で設けられており、電子基準点として番号を付与され、運用が始まる予定です」(宮原氏)

電子基準点網は、この20年の地震を詳細に記録

測地観測センター地震調査官の檜山洋平氏は「電子基準点で国土を測る ── さらに役立つ位置情報インフラを目指して ──」と題して、電子基準点の整備と運用の状況について報告しました。

熊本地震の地殻変動

1995年の阪神・淡路大震災を契機に整備が進んだ電子基準点網は、国土の位置を決める役割を果たすと同時に、この20年間に起きた地震を詳細に記録してきました。今回の熊本地震では「長陽」「熊本」などの変動をいち早く公開しています。

檜山洋平氏

また東日本大震災後に東北大学と共同で進めてきた、津波予測支援のための情報システムで断層モデルの推定などを行った取り組みを紹介しました。さらに太陽電池による独立電源で運用可能な可搬型のGNSS連続観測設備「REGMOS」など、衛星測位技術を防災・減災に役立てようとする取り組みについても紹介しました。

特別講演も行い、盛況のうちに終了

報告会ではこの後、関西大学社会安全研究センター長で、人と防災未来センター長の河田惠昭氏による「国難災害を迎撃できるか?」と題した特別講演や、中学校・高校過程での地理教育に対する支援、防災・減災への地理空間情報利用、UAVを利用した測量や災害状況把握など取り組みについて報告が行われ、盛況のうちに終了しました。当日の報告会の講演要旨や発表資料(スライド)は、下記の国土地理院ウェブサイトで公開されています。

関連情報