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東京海洋大で第22回GPS/GNSSシンポジウムを開催 [前編]

2017年11月28日

11月7~9日、都内にある東京海洋大学越中島キャンパスで第22回GPS/GNSSシンポジウム2017(主催・一般社団法人測位航法学会、共催・公益社団法人日本航海学会GPS/GNSS研究会)が開催されました。衛星測位に関わる研究者やエンジニアが一堂に会するシンポジウムであり、今年はみちびき2~4号機の打ち上げがあったことで例年以上に関心が高まり、参加登録者は400名以上に上りました。3日間の会期中に70件を超える研究発表会、講演、ポスターセッション、パネルディスカッションが行われました。前編では、初日(11月7日)に行われた講演からいくつかを紹介します。

みちびきの打ち上げ成功を報告

── 内閣府・坂部真一企画官

内閣府・坂部真一企画官

初日のセッション「準天頂衛星測位システムの現状と動向」では、まず内閣府宇宙開発戦略推進事務局の坂部真一企画官が、みちびきの最新動向について講演しました。みちびき2~4号機の打ち上げ状況や試験サービスの実施状況を説明し、サービスの概要を紹介しました。さらに技術実証実験の映像を見せつつ、自動運転の農業トラクターや建設機械、自動走行システム、観光、スポーツなど幅広い分野で実証実験を行っている点も紹介しました。

みちびき各号機の概要を紹介

── 三菱電機・小淵保幸氏

三菱電機・小淵保幸氏

続いて三菱電機株式会社の小淵保幸氏が、みちびき各号機の機体概要や軌道上ステータス、打ち上げ準備スケジュールなどを説明しました。さらに将来の整備が予定されている初号機後継機の機体概要を紹介し、2~4号機の製造ヘリテージを最大限活用し高品質、工程リスク低減をはかっていくことを説明しました。

みちびきの地上システムと試験サービスの状況を紹介

── 日本電気・矢野昌邦氏

日本電気・矢野昌邦氏

日本電気株式会社の矢野昌邦氏は、みちびきが提供する各種サービスの概要を説明した後、衛星システムと地上システムからなる「総合システム」を解説しました。主管制局や追跡管制局・監視局の配置、システム冗長化の概要など、15年の長期にわたり安定したサービス提供を行うためのシステム整備を説明しました。また、すでに開始されているみちびきの試験サービスの状況、その運用体制について説明しました。

みちびきを利用したSBASサービス

── 国土交通省・田代英明氏

国土交通省・田代英明氏

国土交通省航空局交通管制部管制技術課の田代英明氏は、みちびきを利用したSBASサービスを紹介しました。航空機がGPSを用いて航行する際は、国際民間航空機関(ICAO)が定める補強システムの利用が前提となっており、静止衛星を経由して補強情報を提供する補強システムとしては、一般的にSBASと呼ばれ、地域によってその呼び名は独自に付けられています(米国ではWAAS、欧州ではEGNOS)。日本では現在、運輸多目的衛星(MTSAT)を利用したMSASと呼ばれるSBASがサービスを提供していますが、退役予定のMTSATに代わって、2020年頃からは、みちびき3号機を利用したサービスに移行します。また、GPSの信号を観測する監視局が現在6局ですが、みちびき3号機を利用したSBASでは監視局が13局に増加するため、SBASの性能向上が見込めるとのことであり、性能向上策を進めるための具体的な計画案についても説明しました。

みちびきの利用拡大・推進活動

── 日本電気・神藤英俊氏

日本電気・神藤英俊氏

日本電気株式会社の神藤英俊氏は、産業界にみちびきを利用してもらうための推進事例を紹介しました。内閣府がみちびきに関連して進める事業には「利用拡大・推進」が含まれており、同社は産業界を6分野(ロケーション・ベースド・サービス [=LBS]、道路・交通、鉄道、土木・建設、農業、地図)に分け、それぞれの業界ごとに意見交換、課題抽出などヒアリングを行い、協調領域での実証実験を含む利用推進を行ってきました。約220社が参加する高精度衛星測位サービス利用推進協議会(QBIC)との連携による活動や、受信機器の貸出、衛星配置シミュレーションソフトGNSS Viewの提供などを紹介しました。さらに、みちびき2・3号機打ち上げライブ映像に129団体1万240名がカウントダウンコールで参加した「みんなのカウントダウン」の活動や、農機各社と北海道大学の参加のもと行われた農業用トラクターを自動走行させる実証実験の概要なども提示しました。

スマートフォンによる測位衛星モニタリング活動

── 横浜国立大学・高橋冨士信氏

横浜国立大学・高橋冨士信氏

横浜国立大学名誉教授の高橋冨士信氏は、2011年から継続しているスマートフォンを使ったみちびきを始めとする測位衛星の定点観測を報告しました。この中で「オールジャパンで測位衛星を利用・推進していくには、皆さんが持つスマホでみちびきを受信し、その眼で見る体験が重要」と強調し、将来イメージとして「RAWデータ(搬送波位相情報を含む生データ)を扱えて、さらに日本の大きな強みであるオープンソースのGNSS解析ソフトウェアRTKLIBに対応したスーパースマートフォンが主役となるべき」と訴えました。

(後編に続く)

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