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静岡大・浜松キャンパスにRTK高精度測位を実験するGNSS基準局設置

2016年02月27日
屋上アンテナ

2月24日、静岡大学 浜松キャンパスで、RTK(Realtime Kinematic、リアルタイムキネマティック:固定点の補正データを移動局に送信してリアルタイムで位置を測定する方法)による高精度測位の実証実験を行うためのGNSS基準局の設置工事が行われました。設置したのは、同大学 学術院 情報学領域の木谷友哉 准教授を代表とする産学連携のグループです。

情報学部2号館の屋上アンテナ

屋上アンテナ

移動局用受信機のプロトタイプ

移動局用受信機(プロトタイプ)

補正データをGNSS基準局から移動局に送信する仕組み図

補正データをGNSS基準局から移動局に送信する仕組み

RTK法によるマルチGNSS高精度測位を、浜松エリアで実証

木谷 准教授は二輪車を始めとするパーソナルモビリティ(Personal Mobility、1~2人乗りの小型移動機器)とインフォマティクス(informatics、情報科学)の融合や、高度道路交通システム(ITS: Intelligent Transport Systems)への応用を研究テーマとしており、移動体の高精度測位に大きな可能性を感じています。

木谷友哉 准教授

木谷友哉 准教授

そしてGPSだけでなく準天頂衛星「みちびき」やGLONASSなどを使い、基準局と移動局の間で搬送波による干渉測位を行うことで、センチメータ級の測位精度が期待できる「マルチGNSSを使ったRTK法による高精度測位」を、浜松エリアで実証しようとしています。

この取り組みを木谷 准教授は「スズキやヤマハなどが拠点を置き、世界的な二輪車ビジネスの中心地である浜松の競争力を、将来にわたって保ち続けるためのチャレンジ」と位置付けており、そこに地元産業界からも賛同者が加わって、産学連携のスキームで「高精度測位都市・浜松」を目指すプロジェクトがスタートしました。

有効範囲10kmの想定図

円の中央が静岡大・浜松キャンパス。赤い点は地元大企業や参画企業の拠点、フィールド実験候補地など

設置作業の前に木谷 准教授が概要説明

地元のエンジニアリング企業(天方産業株式会社)、GIS関連企業(株式会社 浜名湖国際頭脳センター)も参画

浜松の"やらまいか精神"で成功事例をつくりたい

株式会社シーポイント・野澤浩樹 社長

株式会社シーポイント・野澤浩樹 社長

中心人物の一人で、インターネット・プロバイダ運営などに関わるIT企業・株式会社シーポイントの野澤浩樹社長は、「1990年代に初めてインターネットを知った時と同じように興奮しています。高精度測位が光ファイバー網のようなインフラとなることで、社会の有り様が変わるのではないかと期待し、浜松の“やらまいか精神”で全国に先駆け実証例・成功事例をつくりたい」と語ります。

「ビーコンを多数配置し、将来にわたってその電池交換を行っていくコストを考えたら、宇宙インフラを使う測位は格安ではないか。ゆくゆくは、移動局への測位情報提供に、市内の無料WiFi網を使う途も探りたい」(野澤社長)とのこと。まずは、クローズドな環境で低速走行するパーソナルモビリティとして、公園内を運行するシニアカー(電動車)などに設置し、データ蓄積を始めたいという意向です。

また、かつて静岡大学で木谷准教授とともに研究に関わった、宇都宮大学の羽多野裕之准教授も基準局の設置完了に立ち会ったほか、設置作業前の関係者へのガイダンスでは、タイからの留学生・ティパットさん(修士1年)がシステムの概要を解説しました。

羽多野裕之 准教授

羽多野裕之 准教授

タイ人留学生のティパットさん

地域の活性化にもつながるので、今後とも応援していきたい

久保信明 准教授(右)

久保信明 准教授(右)

東京海洋大学の久保信明 准教授も駆けつけ、基準局立ち上げとそれに伴うパラメータ設定などでアドバイスを行いました。

GNSS受信機は国土地理院の電子基準点なのでも使われる高性能のものを使用しており、久保 准教授は「すでに基準局を設置している首都圏の3大学(東京大、慶應義塾大、東京海洋大)やアジアの有名大学に加え、こういった形で参加者が増えるのはとても好ましいこと。参加する先生方の研究の進展にも、また地域の活性化にもつながる取り組みで、今後とも協力・応援していきたい」と語っています。

最後に記念撮影

「今後は地元自治体も加わる産学官連携のプロジェクトに発展させたい」と意気込むメンバー

参照サイト

※図版資料提供:静岡大学 木谷研究室