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東京・赤羽でOSMマッパーが集まる「SotM Japan 2016」を開催 [前編]

2016年08月23日

衛星測位技術はさまざまな位置情報サービスに活用されますが、サービス自体を安価に提供するには、位置情報を表示する背景地図データのコストの問題や、オフラインで利用可能かといった使い勝手も考慮する必要があります。
こうした中で、近年は地図データに「OpenStreetMap(OSM、オープンストリートマップ)」を採用するサービスが増えてきました。OSMは、自由な地理情報データを市民の手で作成するプロジェクトで、「ウィキペディア」のように誰でも自由に参加して編集でき、地図データの利用も自由です。また、地図データを端末のストレージに保存できるため、携帯電波が通じない山間部や災害時などでもオフラインで使用できます。

OpenStreetMap(OSM)

OpenStreetMap(OSM)

このOSMの日本のローカルカンファレンス「State of the Map 2016(SotM Japan 2016)」が8月6日、東京・北区の赤羽会館で開催されました。当日は、全国から集まった「マッパー」と呼ばれるOSM編集者のほか、OSMのデータをビジネスに利用している企業も参加し、それぞれが持つサービス事例を発表しました。
今回は、その中から位置情報を効果的に活用したサービス事例を2件、前・後編で紹介します。

会場となった赤羽会館

会場となった赤羽会館

1)GPSトラッカーで除雪車の位置をリアルタイム把握

SIMフリーのGPSトラッカーを搭載した除雪車

SIMフリーのGPSトラッカーを搭載した除雪車

株式会社デザイニウムの林竜彦氏

株式会社デザイニウムの林竜彦氏

まず最初は、福島・会津若松市でウェブやアプリ制作、データ分析、オープンデータなどさまざな事業を行っている株式会社デザイニウムの事例です。

同社は、福島県の宮下地区建設業協同組合から除雪システムを受注し、位置を可視化する除雪車輌のシステムを構築しています。同社の林竜彦氏が登壇しました。

このシステムは、定期的に位置情報を配信可能なSIMフリーのGPSトラッカーを除雪車に搭載し、その位置情報をPC上で確認できます。アイコンの種類と位置によって現在の除雪車の状況をウェブアプリ上でリアルタイムに把握でき、地図上で除雪車のアイコンをクリックすると、事前に登録しておいた情報を確認できます。

除雪車に搭載したGPSトラッカー

除雪車に搭載したGPSトラッカー

除雪作業中の除雪車

除雪作業の様子

除雪車の位置を地図上に表示

除雪車の位置を地図上に表示

GPSトラッカーに使うSIMには、IoT(Internet of Things)向けのデータ通信SIM「SORACOM Air SIM」を使用し、IoTデバイスの接続先設定などをクラウドを介して管理できるサービス「SORACOM Beam」を利用しました。GPSトラッカーという専用ハードを採用した理由としては、スマートフォンと違って操作が容易であることを挙げています。

除雪車の管理画面の地図にはOSMのデータが使われていて、地図上では除雪車のほかに、各エリアの主要な地区名や除雪車輌の駐車位置なども確認できます。この管理画面はPCだけでなくスマートフォンやタブレットから見ることもできます。

また、除雪車輌の位置をリアルタイムに表示するだけでなく、期間や車輌を指定して走行履歴を表示させることも可能です。なお、OSMを採用した理由には、福島県はOSMのマッパーによる活動が活発で、地図の情報量が多いことを挙げています。

システム構成

システム構成

今後は、端末の自動起動を可能にして操作を不要にするほか、勤務時間や距離を自動算出する機能も搭載する予定です。予算の少ない自治体でも使えるようにローコストを維持する方針で、蓄積した除雪車の位置情報データを解析し、最適な除雪ルート発見に役立てることなども検討しています。
(後編に続く)

参照サイト

※本文中の「除雪車位置情報把握システム」の説明画像は、株式会社デザイニウム提供