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国土地理院が3Dマップの整備に向け、G空間EXPOでシンポ開催

2015年12月07日

「G空間EXPO2015」において、国土地理院が2013年から毎年開催しているシンポジウム「3次元地理空間情報の活用の将来展望」が、今年も11月27日、日本科学未来館(東京・江東区)で行われました。

3次元地図の整備には官民の協力体制が不可欠

基調講演「新しい社会インフラとしての3次元地理空間情報」は、東京大学 空間情報科学研究センターの柴崎亮介教授が務めました。

東京大学 空間情報科学研究センターの柴崎亮介教授

柴崎教授は、冒頭、自動車会社が公開している自動運転のCM動画を流し、モニタに映しだされた地図情報から3Dマップに話を展開。内閣府のSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)で検討されている自動走行システムのタイムスケールでは2020年代の後半がマイルストーンになっており、それまでに3次元地図が整備されるべきとしました。

その上で、動くもの、自動的に制御されるものには必然的に地図が要るとして、貨物の積み荷を降ろすコンテナヤードや、ドローン、産業用ロボットなどに目を向け、その地図を2次元マップから3次元マップへ切り替えていく考え方を示しました。

また、身障者にとって必要なアクセシビリティを確保するには、単純に「転ばない」というバリアフリーのレベルをもう少し上回る必要があるのではないかといった具合にさまざまな視点から問題点を提起し、その整備には民間だけでなく、目標別に分担して官民の協力体制が不可欠と述べました。

屋内測位インフラを公共的に使う基盤の整備が大事

東京大学大学院 情報学環の越塚 登 教授

続いて、東京大学大学院 情報学環 越塚 登 教授が「パブリックタグ情報共有基盤/屋内測位のための標準化とプラットフォーム」というタイトルで講演しました。

柴崎教授の基調講演を引き継ぐ形で、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて3次元地理空間情報をつくるという、この日のテーマに対し、屋内測位などの技術はいろいろあるが、大事なのはそれを現実世界につなぐ場所情報の公的基盤だとしました。

測位インフラでは過去に場所を限定した実験が数多く行われてきたが、そこだけでなく日本全国どこでも使えるような仕組みが求められているとして、それを「パブリックタグ」と名付け、屋内の測位インフラを公共的に使うためのタグどんどん付けて、標準化して登録できるようなインフラづくりに取り組むべきとしました。

東京駅プロジェクトや企業の取り組みを紹介

国交省 国土情報課の筒井課長

柴崎教授、塚越教授の問題提起を受けて、今年も東京駅で行われる「高精度測位社会プロジェクト(東京駅プロジェクト)」について、国土交通省 国土政策局の筒井智紀・国土情報課長が解説しました。

これは、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催に向け、日本の玄関口でありビジネスの中核である東京駅周辺において、先行的に空間情報インフラを整備し、それを活用したサービス創出に関する実証実験を行うという試みです。

東日本旅客鉄道株式会社 JR東日本研究開発センター フロンティアサービス研究所の三田哲也 主幹研究員

JR東日本の三田氏

株式会社ゼンリン 第2事業本部 第2事業推進部の竹川道郎 部長

ゼンリンの竹川氏

次いで、企業の取り組みとして、東日本旅客鉄道株式会社 JR東日本研究開発センター フロンティアサービス研究所の三田哲也 主幹研究員が「東京駅ナビアプリ」を紹介。また、株式会社ゼンリン 第2事業本部 第2事業推進部の竹川道郎 部長が自動運転用の地図データベースについて講演を行いました。

技術開発に加えて、位置情報の標準化を進めるのが大切

国土地理院 地理地殻活動研究センターの中島秀敏・地理地殻活動総括研究官

後半は、技術面から国土地理院 地理地殻活動研究センターの中島秀敏・地理地殻活動総括研究官が「3次元空間情報を活用した安全・安心・快適な社会実現のための技術開発」として講演。今後の課題として「衛星測位の適用範囲拡大」、「屋内測位の精度向上」、「屋内外測位のシームレス化」、「社会基盤としての3次元地図の整備・更新」の4つを挙げました。

一般財団法人日本情報経済社会推進協会の坂下哲也 常務理事

また、最後は一般財団法人日本情報経済社会推進協会の坂下哲也 常務理事が「測位情報の信頼性評価に関する取り組み」と題して、位置情報の標準化をどのように進めるべきかについて考え方を示しました。

位置情報に関する技術は進展しており、その技術に尺度を作ることがサービスの価値を上げることにつながるとの前提で、その尺度をどう作れば万人が納得できるのかは、例えば「和牛」の等級を決める際にAランクがいくらと金額を決めるのに似ていると例示。

ハイレベルなものについて何が正しいかをデータ化し、その指標化したデータでお互いの責任分界点を共有できれば標準化が進むと述べ、国際標準化まで持っていくことを目標に検討を進めている状況を説明しました。

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