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岩国市で災危通報を利用してFM中継局から緊急放送する実証を実施

2024年02月14日

2023年11月23日、岩国市にあるエフエムKRYの錦FM実験局を使って、みちびきの災危通報(災害・危機管理通報サービス)を利用した災害情報を伝達するシステムの実証実験が行われました。災危通報は、防災機関から発表された地震や津波発生時の災害情報などの緊急情報をみちびきを経由して送信するサービスです。
今回はFMラジオ放送ネットワークの一部が災害などで途絶した場合に緊急情報を放送しようという試みで、今年度のみちびきを利用した実証事業に採択された山口放送株式会社、日本通信機株式会社、地方独立行政法人山口県産業技術センターの三者が、山口県と岩国市の後援を得て実施しました。その様子をご紹介します。

チラシ

実証の告知チラシ

日本初のみちびきを使った被災対応FM放送実験

山口放送は2015年からFM中継局の建設を進めており、現在は14の中継局を整備して県内ほぼ全域でエフエムKRYが聴取できるようになっています。同社はこれまでにも日本通信機と協力し、同一周波数で複数局から電波を出すFM同期放送において、GNSSによる時刻同期を活用することで放送波の送出タイミングを精密に調整し、切れ目なく広域をカバーする放送サービスを実現してきました。

今回の実験では、FM送信所(親局)もしくはFM中継局のいずれかが被災し、FM放送波が不通になったことを想定して、みちびきの災危通報を山口放送の錦FM実験局で直接受信して緊急放送の実験を行いました。こうした形でみちびきを使った被災対応FM放送の実験が行われるのは、日本で初めてのことです。

概要図

実証実験の概要

当日はFMラジオで受信した緊急放送を試聴するため、岩国市長を始め、山口県や総務省の関係者、地元市民や市の防災関係者らが会場の錦ふるさとセンター(岩国市錦町)に集まりました。そして午前10時すぎ、みちびきから受信した情報が「この放送は日本の衛星みちびきからのテスト放送です。10時0分、錦川中流域の氾濫警戒情報が発表されました」と山口放送アナウンサーの音声が自動で流れ、災害時にもみちびきを通して情報伝達できることが実験で確認できました。この模様は山口放送ラジオの番組「KRY Morning Up」のコーナーでも公開生中継され、受信した緊急放送がそのまま放送されました。

会場風景

錦ふるさとセンターの会場に集まった住民の方々

災害時の情報の重要性に関する講演会も開催

概要説明

実証の概要説明を聞く来場者

現場から中継

錦FM実験局をKRYラジオの番組生中継で紹介

放送設備とアンテナ

災危通報に対応した放送機器(左)とみちびき対応GNSSアンテナ(右)

PC画面の受信ログ

錦FM実験局の災危通報ログ

会場では実験の概要説明や特別講演も実施

会場では岩国市の福田良彦市長、山口県議会の槙本利光議員、山口県産業労働部の岩本康彦部次長による来賓挨拶に続き、山口放送の林延吉代表取締役社長と日本通信機の岩下裕孝代表取締役も挨拶しました。

来賓挨拶

左から福田市長、槙本議員、岩本部次長

会場での挨拶

山口放送の林代表取締役社長(左)と日本通信機の岩下代表取締役(右)

実験を行う前には、山口放送の惠良勝治技術局長が実証事業の内容を解説しました。また、内閣府宇宙開発戦略推進事務局 準天頂衛星システム戦略室の和田弘人企画官がみちびきに関する説明を行い、錦FM実験局とのインターネット中継では日本通信機の河野憲治取締役技師長が現地の様子を伝えました。実験が終わった後、「岩国市で想定される災害と情報の重要性」と題して山口大学特命教授の三浦房紀氏が特別講演を行いました。

概要説明と特別講演

左から惠良技術局長、和田企画官、三浦特命教授

参照サイト

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