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東京駅周辺の屋内外シームレス測位実験でトライアル版アプリ

2016年02月17日

国土交通省は、東京駅周辺の地下空間で実施中の「東京駅周辺屋内外シームレス測位サービス実証実験」の一環として、地上と屋内、地下を問わずどこでもナビゲーションを行えるAndroidアプリ「ジャパンスマートナビ(トライアル版)」を、アプリストア「Google Play」から一般ユーザーに無料で提供しています。実証実験の実施期間は3月6日まで。同アプリケーションの提供が始まった2月4日に、東京駅地下街で行われたデモンストレーションの模様をお伝えします。

GNSSやビーコンを活用し、屋内外の測位が可能に

「ジャパンスマートナビ(トライアル版)」

「ジャパンスマートナビ(トライアル版)」は、東京駅周辺の地下街に設置された約300個のBluetoothビーコンを活用して屋内測位を行うと共に、Wi-Fi測位やPDR(Pedestrian Dead Reckoning、歩行者向け自律航法)、GNSSなども活用して、屋内外の地図上に現在地を表示します。また、グルメスポットやトイレ、駅出口、改札などの様々なスポットを検索して目的地として設定し、ナビゲーションする機能も提供します。

対応エリアは東京駅周辺の大手町、丸の内、有楽町、銀座、八重洲の一部で、アプリにはエリア内の屋内空間の地図を1つにつなぎ合わせた屋内地図を収録しています。屋内地図が収録されているビルは、「大手町ファーストスクエア」や「丸の内オアゾ」、「新丸の内ビルディング」、「東京国際フォーラム」など計20ビルです。

▼衛星電波が届かない地下街でも現在地を表示

屋内でも測位が可能

今回整備した地下街マップ

アプリを起動すると、GNSSの衛星電波が届かない屋内や地下街においても、自分の現在地を地図で確認することができます。また、屋外であっても衛星電波がビルなどによってマルチパス(乱反射)を起こすような場合に、屋外に設置されたビーコンの電波を受信することで安定した測位を実現できます。(上左:屋内での現在位置表示、上右:今回の実証実験用に整備された地下街マップ)

▼状況に合わせたルートの使い分けが可能

経路検索の結果

地上から屋内施設への経路を検索することも可能

経路検索で提示されるルートは、1)通常ルート、2)屋根のあるルート、3)段差のないルート、4)屋根があって段差のないルートの4種類が用意されています。雨が降っている日は「屋根のあるルート」、車椅子を使う場合は「段差のないルート」と、状況に応じてルートを使い分けられます。(上左:経路の検索結果、上右:地上から屋内施設への経路も検索可能)

▼測位機器の設置方法も検証

電池駆動のビーコン

ソーラーパネルを搭載したビーコン

使用するビーコンは、電池駆動で作動するもの(上左)のほか、ソーラーパネルを備えたビーコンを内照式看板の中に設置することで、中の照明光により作動させるものもあります。また、屋外で樹木などに取り付けて太陽光で動かしているもの(上右)もあります。

国土交通省は、このアプリを一般ユーザーに使ってもらうことで、屋内外の高精度な測位が可能となった環境をユーザーに体験してもらうことを目指しています。その上で、屋内の各種図面を1つの地図に集約する上で生じる課題や、屋内電子地図として整備するべきスポット情報、測位機器の設置の仕方などの点を検証すると説明しています。

▼民間企業による技術的な検証も開始

「G空間地下街防災システム」

「2.5D地図表示ナビゲーション」

 「かざしてナビ」

 「ぶるなび」

一方、今回の実証実験で整備した測位環境及び地図を活用した民間企業による技術的な検証も始まっています。デモンストレーションでは、スマートフォンとタブレットを使った防災管理システム「G空間地下街防災システム」(上段左)や、地下空間においても直感的な立体表現を行える「2.5D地図表示ナビゲーション」(上段右)、撮影した写真を画像認識技術により解析して現在地を特定できる「かざしてナビ」(下段左)、曲がり角に来ると目的地方向に引っ張られる感覚を伝えてナビゲーションを行う「ぶるなび」(下段右)などを紹介しました。

2018年度にみちびき4機体制の運用が始まるなど、測位衛星の充実・進化により、屋外での測位精度向上が見込まれていますが、ナビゲーションを必要とする場面は屋外だけではありません。複雑に入り組んだ大都市の地下街や商業施設においても、初めて訪れた人が迷わずに行動できるような環境が求められています。今後、今回の実証実験が衛星測位技術と組み合わさり、屋内外のシームレスな測位環境がどのように進化していくのか注目されます。

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