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パナソニックが業界初の災危通報に対応したETC2.0車載器を発売

2021年10月07日

パナソニック株式会社は10月7日、みちびきの災害・危機管理通報サービス「災危通報」に対応したETC2.0車載器の発売を発表しました。ETC2.0車載器においてみちびきの災危通報に対応した製品が発売されるのは、業界初のことです。パナソニック株式会社 オートモーティブ社で製品の企画を担当した那部充洋氏(車載システムズ事業部 安全・安心システムズビジネスユニット PM二部 PM二課 課長)と、開発を担当した宿澤紀之氏(車載システムズ事業部 安全・安心システムズビジネスユニット 第二商品開発部 開発四課 課長)に発売に至る経緯を聞きました。

那部氏画像

パナソニックの那部氏(左)と宿澤氏(右)

宿澤氏画像

20年前から利用されているETC

高速道路などの料金所において車両を停止することなく通行料金を支払えるETC(自動料金収受システム)は、今から20年前の2001年11月に一般利用がスタートし、現在、高速道路では約9割の利用率となっています(国土交通省調べ)。このETCの次世代版として、従来の通行料金の支払いに加えて、渋滞回避や安全運転、経路情報の支援などを追加した新サービス「ETC2.0」が普及しつつあります。

ETC2.0では、車載器が道路側のアンテナであるITSスポットと双方向通信を行うことで、路車協調システムによる運転支援サービスを受けられます。遠方の渋滞情報を受信してリアルタイムで渋滞回避できるルートを選択したり、見通しの悪い合流地点を知らせて事前の注意喚起を行ったりと、さまざまな機能があります。
また、圏央道(首都圏中央連絡自動車道)や新湘南バイパスなど一部の区間においてETC2.0限定割引が適用されるほか、高速道路のインターチェンジから一時的に一般道に退出して周辺の「道の駅」に立ち寄った場合に、一時退出の追加料金なしで再び高速道路に戻れるといったサービスも受けられます。

ETC2.0の仕組み

災危通報で車載器の付加価値を向上させる

一方で、ETC2.0車載器は従来のETC車載器に比べると高価で、新規セットアップの比率は32.5%と、従来のETC車載器を追い越すには至っていません。こうした中でパナソニックは、ETC2.0車載器の付加価値としてみちびきの災危通報に注目しました。
那部氏は、災危通報の受信機能を搭載しようと考えた理由を次のように説明します。
「ETCやETC2.0は高速道路で使う機能であり、一般道を多く使う利用者への商品訴求力の弱さが課題でした。高速道路でも、ETC2.0の料金割引は東京周辺の一部区間に限られ、地方の利用者が値段の高いETC2.0車載器を選ぶ理由がありませんでした。そこで、みちびきの災危通報に対応して高速道路と一般道を問わず災害情報を受け取れるようにして、利用者への訴求力を高めようと考えました」(那部氏)

那部氏は、運転中のスマートフォン使用への厳罰化が進んでいることや、携帯電話網のカバー率も理由に挙げ、「災危通報を使えば、携帯電波が入らない地域でも受信可能で、地震などで携帯電話網が利用できなくなった場合でも情報を受け取れます」とアピールします。

みちびきの受信状況を音声で告知

今回発売する災危通報への対応製品は、CY-ET2620GD(一般向け)とCY-ET5020GD(業務用)の2モデルです。いずれもカーナビゲーションと連携しないスタンドアローンのETC2.0車載器で、自車位置を知るためにみちびきとGPSに対応した受信アンテナを搭載しています。そして、音声により災危通報を案内します。

CY-ET2620GD

CY-ET2620GD(左)とCY-ET5020GD(右)

CY-ET5020GD

「カーナビとETC2.0車載器を一緒に購入すると、その分コストがかかります。そこで今回は、スタンドアローンの製品に災危通報の受信機能を搭載しました」(那部氏)
本体とアンテナのサイズは同じですが、業務用は「特車ゴールド制度」に対応し、特殊車両通行許可申請を簡素化でき、デジタルタコグラフ(運行管理システム)との連動も可能です。

ETCカードなしでも災危通報を受信可能

このETC2.0車載器では「緊急地震速報」「津波警報」「気象情報」の3種類の情報を受け取れます。気象情報は、大雨(土砂災害・浸水害)、大雪、暴風、暴風雪、波浪、高潮などの特別警報や、記録的短時間大雨情報、土砂災害警戒情報、竜巻注意情報などです。災危通報を受信した場合に、自車が該当される地域およびその周辺にいると判断した時に災害情報を発話でドライバーに知らせます。

<ETC2.0車載器から案内される災危通報の音声の例>

音声の発話は設定でON/OFFを切り替えられますが、みちびきの災危通報は、緊急事態とみなして設定に関係なく音声が発話されます。また、ETC車載器は本来、ETCカードを挿入しないと各種機能を使えませんが、今回発売する車載器は、ETCカードなしでも災危通報を受信した場合は発話する仕様になっています。
「昨今は日本各地でさまざまな災害が発生しており、災害情報をドライバーにどう伝えるかが大きな課題となっています。テレビやラジオを視聴していれば情報が入りますが、運転中の人にはどうしても災害情報を伝えにくい。ETC車載器に災危通報の受信機能を搭載すれば、迅速に注意を促し、避難行動につなげることができます」(那部氏)

将来的にはSLASへの対応も検討する

本製品はみちびきのL1S信号を受信できますが、災危通報だけに対応し、同じL1S信号を使うサブメータ級測位補強サービス(SLAS)には対応していません。これはカーナビ連動型でなくスタンドアローンのETC2.0車載器のため、内蔵メモリが少ないという理由によるものです。
「SLASには対応していませんが、みちびきのGPS補完機能には対応しており、ビル街などでの精度は高くなっております。たとえば経路案内でETC2.0を活用する際は、自車位置の精度向上も必要となりますので、将来的に車載器のスペックが向上した場合は、SLASへの対応も検討します」(宿澤氏)

現在、全国の高速道路で料金所の無人化が推進されており、今後、ETC車載器やETC2.0車載器の需要は高まると予想されます。それと同時に、高速道路を使う頻度が少ないドライバーにとっては、一般道においても役立つ災危通報への対応に、よりメリットを感じてもらえるのではないかと考えました。
「災危通報に対応したETC2.0車載器は業界初であり、この機能が利用者の購買意欲を喚起させる起爆剤になればと期待しています」(那部氏)

(取材/文:片岡義明・フリーランスライター)

参照サイト

※ヘッダの画像はイメージです。本文中の画像提供:パナソニック株式会社(出典記載のあるものを除く)

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