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ドローン産業ビジョンシンポジウムでみちびきの実証事例を紹介

2021年05月31日

無人航空機(ドローン)の社会的受容性を向上させ、産業振興につなげる目的で活動を行う一般社団法人日本ドローンコンソーシアムは5月25日、その最新の活用事例を紹介する「ドローン産業ビジョン シンポジウム」をオンラインにて開催しました。
このシンポジウムは、2022年のレベル4(有人地帯での目視外飛行)実現を見据えてドローン関連の産業促進を目指していくために企画されたイベントで、2018年から定期的に行われています。今回は、物流分野の最新の取り組み状況を紹介すると共に、「準天頂衛星のドローン実証利用」と題したセッションを設け、みちびき及び、みちびきを活用したドローン関連の実証事業を紹介する講演も行われました。

内閣府がみちびきの概要と最新動向を解説

内閣府の杉村技術参与

内閣府の杉村技術参与

みちびき関連のセッションで最初に登壇したのは、内閣府 宇宙開発戦略推進事務局 準天頂衛星システム戦略室の杉村徹 技術参与で、「準天頂衛星システム『みちびき』の概要とドローン分野における活用事例」と題して講演を行いました。みちびきが提供するサービスの概要や対応受信機・アンテナの最新動向を紹介すると共に、みちびきの高精度測位を活用したドローン関連の活用事例についても紹介しました。

熊本県と秋田県での実証の成果を報告

イームズロボティクスの塙氏

イームズロボティクスの塙氏

続いてイームズロボティクス株式会社の塙正典氏(プロジェクトマネージャー)が、「みちびき+LTE-RTK 受信機をドローンにW搭載した飛行 ~みちびきを利用した実証実験から~」のタイトルで講演しました。
同社は熊本県天草市において、センチメータ級測位補強サービス(CLAS)に対応した受信機と、携帯キャリア局の地上局を使ったLTE-RTK受信機の両方をドローンに搭載して、精度の高い方の位置情報を使って飛行させる実証実験を行いました。この実験では、携帯キャリアがカバーしていないエリア等でも、みちびきのCLASへの切り替えが速やかに行え、スムーズな飛行が可能であることが確認できました。また、サブメータ級測位補強サービス(SLAS)に対応した誘導装置を使った着陸試験も行いました。

東光鉄工の鳥潟氏

東光鉄工の鳥潟氏

最後に東光鉄工株式会社の鳥潟與明氏(UAV事業部 技術アドバイザー)が、「みちびきを利用した実証事業報告 ~スマート農業として肥料の精密散布に関する実証実験~」と題して、実証実験の概要を説明しました。
精密農業分野におけるドローンの活用には、これまでRTK方式(Realtime Kinematic、固定点の補正データを移動局に送信してリアルタイムで位置を測定する方法)が利用されてきましたが、基準局設置が必要なことや、受信がFixするまでのタイムラグ、場所や時間による精度変化などの課題がありました。同社は、みちびきのCLASを使うことでこうした課題を改善できるかについて、秋田県大館市で検証し、RTK方式同様、CLASで高精度飛行ができることを実証しました。

(取材/文:片岡義明・フリーランスライター)

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