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日立造船、みちびきを利用した農機自動操舵システムを岩見沢市で実演

2023年07月05日

日立造船株式会社は2023年4月27日、みちびきのCLAS(センチメータ級測位補強サービス)を活用した農機自動操舵システムの実演を北海道岩見沢市内にて実施しました。北海道では農業分野の就業人口減少により各農家当たりの作業面積が増加し、効率化、省力化のスマート農機の普及が進んでいます。このシステムはトラクターなどの農機に取り付け、自動操舵機能により農作業の負担の軽減及び効率化を実現するもので、今年3月に同社が行った除雪車ガイダンスシステムの検証と同一の機材を使用しています。農業機械を用いた作業と除雪車を用いた除排雪作業はどちらも稼働する季節が限定されており、農機と除雪車による2つの作業を横断して同一システムを共用することにより、システム導入・運用コストをシェアできるメリットがあります。

CLAS受信機搭載トラクターで自動操舵走行

今回は、農機自動操舵システムを搭載したトラクターにCLAS対応の受信機を設置して自動操舵走行を行いました。また、精度検証の基準用として仮想基準点方式(VRS)のRTK(リアルタイムキネマティック)での測位も同時に行いました。

トラクター外観

実演に使用したトラクター

農機自動操舵システムは、衛星測位により取得した位置情報をもとに規定位置からずれることのないようにハンドルを自動で切る仕組みであり、既存のトラクターに後付けで設置することが可能です。GNSSアンテナはトラクターの運転席上部に設置し、そこからCLAS対応受信機とVRS-RTK対応受信機のそれぞれにケーブルを接続しました。自動操舵にはCLAS測位による位置情報を使用し、運転席に設置されたガイダンス端末のディスプレイで自動操舵走行の状況をリアルタイムに表示することができます。

アンテナとディスプレイ

GNSSアンテナ(左)と運転席のディスプレイ(右)

ガイダンス画面

ディスプレイに表示されたガイダンス

当日は、設定した目標経路に従ってトラクターを自動操舵走行し、CLAS精度検証のためのVRS-RTKの測位も同時に行いましたが、前日の降雨の影響で圃場の状態が悪く、別の場所で実演とデータ取得を行いました。精度検証に当たっては、緯度・経度・高さなどの位置情報に加えて、FIX率、DOP(測位精度劣化係数)、捕捉衛星数などの測位指標や、VRS-RTKの測位結果をトラクターの実際の位置として目標経路とのずれ量についても検証する予定です。

トラクター

走行中の様子

岩見沢市で農業を営む前川俊久氏は、農機自動操舵システムの実演に協力した感想を次のように話してくれました。
「今までRTK補正を使っていましたが、CLASに置き換えてから全くRTKを必要としなくなりました。(トラクターの)測位精度も以前と変わらず、完璧な動きで作業できました。補正情報の配信が無料という点も、燃料費などが高騰する中、コストを抑える上で有難いです。今回は春先の田起こしや大豆の田んぼ作りで使いましたが、大豆の種まきやカルチ(除草作業)でも十分に使えると思います」(前川氏)

前川氏の写真

前川氏

同社は今後も、岩見沢市におけるスマート農業、及び安全な除排雪作業の実施に向け、農機の自動操舵システムと除雪ガイダンスシステムで同一機材を共用することに関して事業化に向けた調査研究を行っていく方針です。

参照サイト

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