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横浜のトライアスロンで、NTTがGPS追跡データの収集・配信実験

2017年06月06日

マラソンやトライアスロンの大会では、シューズやナンバーカード(ゼッケン)にIC(=Integrated Circuit、集積回路)チップを装着し、センサーマットの上を通過することで、情報をパソコンに発信して計測記録データを算出する記録計測システムがよく使われています。
しかし、こうしたシステムでは、選手がチェックポイントを通過した時点のタイムしか計測することができません。この課題を解決するため、GPSと無線LAN通信を活用して競技中の選手データをリアルタイムで収集・配信する「ライブトラッキングシステム」の導入が検討されています。

ツール・ド・フランスへの提供サービスがベース

5月13日に横浜市で開催された2017世界トライアスロンシリーズ横浜大会において、NTTグループ、国際トライアスロン連合(ITU=International Triathlon Union)および公益社団法人日本トライアスロン連合(JTU=Japan Triathlon Union)の3者は、ライブトラッキングシステムの導入検討に向けた実証実験を実施しました。

2017世界トライアスロンシリーズ横浜大会

NTTグループには、日本電信電話株式会社とその関連会社であるディメンションデータ、東日本電信電話株式会社(NTT東日本)、NTTコミュニケーションズ株式会社の4社が加わっています。ライブトラッキングシステムは、このうちディメンションデータが自転車レースのツール・ド・フランスで2015年より提供しているデジタルサービスをベースに開発したもので、選手にGPSを内蔵した専用センサーを装着し、位置情報や速度などを沿道に設置したWi-Fiアンテナを通じて収集しました。これにより無線LANを通じて選手の情報をリアルタイムに収集し、各種媒体にタイムリーに情報発信を行うことができます。

GPS内蔵の装着デバイス15台から情報送信

この実験は、来年度以降のITU世界トライアスロンシリーズの本格導入を見据えて実施されており、大会出場選手、運営者の利便性を高めると共に、観戦体験の魅力度を大幅に高めて、パラトライアスロンを含めたトライアスロン大会のさらなる充実を目指すとしています。

ライブトラッキングシステムのイメージ図

ライブトラッキングシステムのイメージ図

今回の横浜大会では、エリート(トップ)トライアスロン男女選手のバイク(自転車)とラン(ランニング)を対象として、計測データのアップロード時の正確性や、配信時のタイムラグなどを検証しました。15台のGPSを内蔵した装着デバイスを使用し、バイク40km、ラン10kmのコースに沿って計13台の無線LANアクセスポイントを設置しました。装着デバイスから位置情報を送信する間隔は2秒間に1回です。

選手に装着する専用センサー

選手に装着する専用センサー

Wi-Fiアンテナ

Wi-Fiアンテナ

世界大会への導入に向けプロジェクトを推進

ディメンションデータがツール・ド・フランスで提供しているサービスでは、トラッキングした情報を放送事業者や解説者に提供しているほか、一般の顧客にもスマホアプリを通じて提供していますが、技術検証が主な目的となる今回は、関係者以外へのデータ配信は行いませんでした。

なお、NTTによると、大会前に実施した選手向け説明会で、ITUから今回の実証実験について説明したところ、選手の反応が非常に良く、競技活性化につながる施策として好意的に受け入れられたとのことです。
3者は今回の実証実験の結果をもとに、2018年以降の世界トライアスロンシリーズ全9大会での導入に向け連携し、検討・推進していく方針です。今回は実施しなかったスイム(水泳)へのライブトラッキングについても今後、導入を検討していく予定です。

※ヘッダの画像はイメージです。本文画像提供:国際トライアスロン連合(ITU)/公益社団法人日本トライアスロン連合(JTU)/世界トライアスロンシリーズ横浜大会組織委員会/NTTグループ

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