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コアが、CLAS対応国産ドローン活用事例を紹介するウェビナー開催

2022年11月11日

株式会社コアは、2022年11月16日(水)~17日(木)に東京・池袋のサンシャインシティ展示ホールにて開催される「建設技術展2022関東 -Construction Xross 2022-」に出展し、みちびきのCLAS(センチメータ級測位補強サービス)に対応したドローンや受信機などを展示します。

今回は、同社がその出展に先立つ9月22日に開催した、みちびきのCLAS対応受信機を搭載した国産ドローンと、このドローンを使ったソリューションの活用事例を紹介するウェビナー(Webセミナー)「みちびきCLAS対応受信機とドローンの業務への活用 ~鉱山、採石業務におけるドローン利用のご紹介~」の概要を紹介します。
これは、コアが2022年4月下旬に発表したみちびきCLAS対応ドローンソリューション「Cohac∞ ChronoSky」の業務への活用方法を、鉱山、採石業務などの実例と共に紹介するもので、当日は同ソリューションを鉱山での採石業務に活かしている秋芳鉱業株式会社の岩下直樹氏が外部講師として登壇しました。岩下氏の特別講演のほか、鉱山の採掘業務におけるドローンの活用事例を説明したコア・GNSSソリューションビジネスセンターの最上谷真二氏の講演の2件を掲載します。

石灰石採掘現場で実施したCLASの実証

岩下氏

秋芳鉱業の岩下氏

秋芳鉱業は石灰石の採掘・販売を行っており、山口県の秋芳鉱山において年間約800万トンの石灰石を採掘しています。2020年9月~2021年4月に実施したみちびき実証事業では、採掘現場における操業管理の課題解決に取り組みました。秋芳鉱業株式会社の岩下直樹氏はこうした経験を踏まえて、みちびきを活用した石灰石の採掘支援や、ドローンを利用した掘削量計測を紹介しました。

秋芳鉱山

採掘現場の秋芳鉱山(画像提供:秋芳鉱業株式会社)

同社は品質管理のために、どの場所でどのような原石が採掘されたのかをタブレット端末に記録しています。端末には、採掘現場の地図上に積込位置の選択肢と、GNSSの位置情報に基づいた重機の現在地が表示され、それをもとに積込位置を選び、運搬先や投入数量を入力してデータベースに記録します。

タブレット端末

タブレット端末で採掘場所を記録(図版提供:秋芳鉱業株式会社)

積込位置を選択する際は、穿孔機で穴を掘った時に出る繰り粉(石灰石の粉末)をサンプリングし、解析を行った化学成分のデータと、サンプリングする際にRTK(リアルタイムキネマティック)測位で得られた位置情報を紐付けることで原石の品質と採掘場所を管理しています。ただ、従来から使用していたRTK測位の機器は高額であること、また、正確な積込位置の選択に手間がかかるという課題がありました。

実証事業に使用したGNSS受信機

実証事業に使用したGNSS受信機(図版提供:秋芳鉱業株式会社)

そのため実証事業では、安価なみちびき対応受信機への代替と、位置情報の精度向上、及び操業記録の自動化について可能性を検証しました。測位精度の検証は、コアとセプテントリオが共同開発したCLAS対応受信機「AsteRX-U CLAS」やコアのCLAS対応受信機「Chronosphere-L6」、同じくコアのSLAS(サブメータ級測位補強サービス)対応受信機「QZNEO」を使用し、既存のRTK受信機と比較しました。

測位精度の実証を行った場所

測位精度の実証を行った場所(図版提供:秋芳鉱業株式会社)

受信機を採掘現場内の5カ所に置いて、各エリアにつき約6m間隔の10ポイントで測位したところ、CLAS及びMADOCAによる測位の結果はRTK測位と遜色なく、実運用で使用可能であると確認され、SLASの測位精度もほぼ仕様どおりの良好な結果となりました。

測位精度の実証結果

測位精度の実証結果(図版提供:秋芳鉱業株式会社)

重機の位置把握の検証では、(バケットに取り付けられないため)運転席付近に取り付けたアンテナの位置をもとにバケット位置を算出する実験を行いました。その結果、角度誤差2度以内、距離誤差12.5cm以下と正確にバケットの位置を算出可能で、ほぼ100%の確率で正確な積込位置を推定できました。

CLAS対応受信機を使ってバケット位置を算出

CLAS対応受信機を使ってバケット位置を算出(図版提供:秋芳鉱業株式会社)

ドローンとCLAS活用基準局の組み合わせ

岩下氏は、ドローンを用いた切羽(採掘現場)測量の事例も紹介しました。秋芳鉱業では採掘量を把握するため、年に2回、約100haの範囲の測量を実施しています。測量範囲が広いため、小型ドローンではバッテリー交換が多発すると共に、対空標識の設置の手間もかかるため、これまでは外注でレーザー測量を実施していましたが、高額の費用がかかるという課題がありました。

固定翼ドローンを使って切羽測量を実施

固定翼ドローンを使って切羽測量を実施(図版提供:秋芳鉱業株式会社)

そこで、コアの提案を受けて、現在は固定翼ドローンを使った測量に切り替えています。この固定翼ドローンは従来からRTK測位に対応しており、CLAS対応受信機を基準局として使用すれば、モバイルネットワーク圏外でもRTKを用いたドローンによる測量が容易にできます。
高精度測位により標定点(GCP=Ground Control Point)の設置が不要で、(マルチコプターとは異なり)揚力を利用して飛行するために長時間飛行が可能です。モーターの振動が少ないため、高速で撮影することもできます。レーザーを使わず写真測量で実施できるようになり、測量のコストを年間で約150万円削減できました。

固定翼ドローン

固定翼ドローン(画像提供:秋芳鉱業株式会社)

なお、秋芳鉱業と同じ、住友大阪セメントのグループ会社である小倉鉱業では、切羽、及び集積場の経時変化の記録・工程管理にもドローンを活用しています。ドローンで定期的に同一アングルの撮影を行うことで、経時変化をひと目で確認できます。また、斜面地の落石防止柵や残壁の浮石の点検などにもマルチコプターのドローンによる点検を行っています。同社はこのように、グループ全体でドローンを活用し、測量だけでなく幅広く鉱山業の効率化を進めています。

標定点が設置不要の効率的なドローン測量

最上谷氏

コアの最上谷氏

続いてコア・GNSSソリューションビジネスセンターの最上谷真二氏が、鉱山の採掘業務におけるドローンの活用事例について解説しました。
広域測量サービスでは、CLAS対応ドローンによる写真測量で採掘場全体を点群データ化すると共に、オルソ画像を作成している第一石油運輸株式会社などの例があります。点群データを作成することで、さまざまな角度から採掘現場を確認し、作業の進捗状況を確認したり、リスク箇所を探したりすることが可能となります。

場内全体を点群データ化

場内全体を点群データ化(図版提供:株式会社コア)

広域のドローン撮影は、標定点の設置や測量、回収のほか、敷地周辺の人との調整なども必要で、限られた日程でしか実施できません。しかし、CLASを採用して標定点の設置が不要になれば、現場拘束時間を短縮化でき、斜面など危険なエリアへ立ち入る必要もなくなり、標定点の座標値管理も不要です。
秋芳鉱業の約100haの採掘現場では、約2.5時間の撮影で計測できました。100haの範囲に必要な標定点は最低でも56点なので、設置に約1.4時間、標定点の座標測定に約2.6時間の計約4時間かかりますが、CLASによる測量ではこの作業を省いて効率化できます。

標定点をなくして約4時間の効率化を実現

標定点をなくして約4時間の効率化を実現(図版提供:株式会社コア)

なお、撮影時間は、約50haを写真測量する場合、市販の小型マルチコプターだと約150分かかるのに対し、マルチコプターのChronoSky PF2は約100分、固定翼ドローンでは約30分で完了します。
コアは固定翼ドローンによる点群生成の精度検証も行っており、フィールド上に8点の検証点(マーカー)を設置して地上でGNSS測量を行った上で、固定翼ドローンとマルチコプターによる測量を実施して得られた点群データの精度を比較したところ、固定翼ドローンとマルチコプターのいずれも水平誤差が3cm以内、垂直誤差は4cm以内という結果となり、十分な精度であることが確認できたといいます。

CLAS活用して目視外・携帯圏外で点検・監視

最上谷氏は、体積測量サービスの事例としてヤード(資材置き場)に積まれている資材の体積値を算出する事例も紹介しました。体積値を算出する際は、まず基準となる高度を設定した上で、基準高度よりも盛り上がっている部分を資材の体積値とします。測定した体積をヒートマップで可視化することもでき、特定範囲を指定して、その範囲内に限定して体積値を算出することも可能です。
また、生成した点群データをもとに体積値を算出することで、現在の在庫量から販売額を予測することも可能となります。測量によって得られた掘削量と実際の出荷量を比較した結果、誤差率が0.73%と高い精度であることも確認できました。秋芳鉱業では半年ごとにドローン測量を実施して掘削量を計測しており、従来のレーザー測量をドローンによる写真測量に置き換えたことで約30%のコストダウンを実現したそうです。

点群データをもとに体積値を算出

点群データをもとに体積値を算出(図版提供:株式会社コア)

また、点検・監視サービスでは、山中の架空送電線や砂防ダム、河道閉塞などモバイルネットワーク圏外での点検ニーズが拡がっており、過去のデータと比較するため高精度な飛行が求められています。コアのChronoSky PF2に搭載されているCLAS対応受信機「Cohac∞ Ten」は水平精度2.14cm以内、垂直精度5.43cm以内と精度が高く、これは機体制御と観測機器の両方にメリットをもたらします。

ChronoSky PF2

CLAS対応ドローン「ChronoSky PF2」(図版提供:株式会社コア)

道路の橋脚新設工事における状況把握のために点群データを作成した事例では、3次元点群データを使うことで、新設中の橋脚の確認や、運搬用の重機が走行可能かどうかの確認、送電塔とクレーンとの干渉の有無など、目視や従来の方法では正確に確認するのが難しかったことを実現できたといいます。さらにCLASを活用することで、目視外やモバイルネットワーク圏外などの環境にも適用可能となります。

点群データを使うことで、目視外や携帯圏外での使用も可能に

点群データを使うことで、目視外や携帯圏外での使用も可能に(図版提供:株式会社コア)

今回のセミナーは、鉱山、採石業においてドローン利用を検討している人のみならず、これからドローン導入を検討している人や、ドローンのさらなる活用として、山間部、海上などネットワークが不安定な環境でドローン利用を検討されている人も対象としており、実際の具体的な検証事例を紹介することより有意義なものとなりました。

(取材/文:片岡義明・フリーランスライター)

参照サイト

本文中の画像・図版提供:株式会社コア、秋芳鉱業株式会社

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