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内閣府主催宇宙シンポジウムを開催

2018年04月11日

内閣府は2018年3月20日、都内で宇宙シンポジウムを開催しました。その一環として行われた第3回宇宙開発利用大賞表彰式では、安倍晋三内閣総理大臣ら主要閣僚が御列席されました。

▽開会挨拶と基調講演

このシンポジウムは、2017年5月に取りまとめられた宇宙産業ビジョン2030を踏まえた前年度の取組を総括するイベントとして行われたもので、内閣府の髙田修三宇宙開発戦略推進事務局長の開会挨拶に続き、宇宙政策委員会宇宙産業振興小委員会座長の高橋進氏(日本総合研究所理事長、経済財政諮問会議議員)が「宇宙産業のパラダイムチェンジ」と題した基調講演を行いました。

髙田事務局長

内閣府の髙田事務局長

高橋氏

宇宙政策委員会の高橋氏

▽パネルディスカッション

続いて、宇宙ベンチャーの創業者や投資家によるパネルディスカッション「宇宙ビジネスの創出・育成に必要なこととは?」が行われました。

左からモデレーターの石田真康氏(A.T.カーニー株式会社 プリンシパル)、パネリストの岡島礼奈氏(株式会社ALE 代表取締役社長)、岡田光信氏(アストロスケール 創業者兼CEO)、袴田武史氏(株式会社ispace 代表取締役&ファウンダー)、松本紋子氏(S-Booster 2017大賞受賞者)、小正瑞季氏(リアルテックファンド 業務執行役グロースマネージャー)

また、S-NET(スペース・ニューエコノミー創造ネットワーク)の活動紹介として「スペース・ニューエコノミー創造ネットワーク ~今年度の取組と来年度の展望~」と題したプレゼンテーションとS-NET発宇宙ビジネスの事例紹介が行われました。

▽第3回宇宙開発利用大賞表彰式

表彰式

続いて行われた第3回宇宙開発利用大賞の表彰式では、内閣総理大臣賞に選ばれた「ほどよしプロジェクトによる超小型衛星産業化・国際連携への貢献」について、東京大学の中須賀真一教授とほどよしプロジェクトチームに、安倍総理から表彰状が授与されました。

表彰者

表彰状を受け取った東京大学の中須賀教授(左)とほどよしプロジェクトチーム(右)

また、安倍総理は総理大臣賞授与後のスピーチにおいて、宇宙ビジネス向けに今後5年間に官民合わせて約1,000億円のリスクマネー供給を可能とすること等を盛り込んだ新たな支援パッケージを発表しました。

今回の宇宙開発利用大賞では、みちびきや衛星測位に直接関連する事例として、株式会社ヤマップが開発した登山アプリ「YAMAP」が、「宇宙の視点から、命を守る~GPSとスマホの山岳地帯での活用~」で内閣府特命担当大臣(宇宙政策)賞を受賞したほか、マゼランシステムズジャパン株式会社が「みちびき対応多周波マルチGNSS高精度受信機及びIMUの開発」で国土交通大臣賞を受賞しました。

表彰者

松山政司内閣府特命担当大臣(宇宙政策)(左)とヤマップの春山慶彦代表取締役社長(右)

表彰者

マゼランシステムズジャパンの岸本信弘代表取締役(左)

▽S-Matching発足式

集合写真

S-Matchingの発足式

世耕大臣

世耕経済産業大臣

第3回宇宙開発利用大賞の表彰式に続けて、宇宙ビジネス投資マッチング・プラットフォーム(S-Matching)の発足式が行われ、S-Matchingの初期メンバーとして、46社・個人の投資家・事業会社が発表されました。本プラットフォームは、新たなビジネスアイデア等を有する個人・ベンチャー企業等と、投資家・事業会社とのマッチングを円滑化するための場として創設するもので、世耕弘成経済産業大臣は挨拶の中で、「宇宙分野のベンチャー企業の育成・創出につなげていただきたい」と述べました。

▽シンポジウムセッション

宇宙シンポジウムの最後には、第3回宇宙開発利用大賞の選考委員らによる「宇宙開発利用の拡大に向けた展望~宇宙開発利用大賞から得られた気付き~」と題したシンポジウムセッションが行われました。

左からモデレーター(選考委員長)の柴崎亮介氏(東京大学空間情報科学研究センター教授)、パネリスト(選考委員)の遠藤典子氏(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任教授)、神武直彦氏(慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科准教授)、篠原ともえ氏(アーティスト・デザイナー)、土田誠行氏(株式会社産業革新機構 専務取締役)、山崎直子氏(宇宙飛行士)

本セッションでは、選考委員が各受賞事例について印象に残った点をコメントしました。
「YAMAPはまず名前が良いです。身近な存在であるスマホで、安心安全に役立てる仕組みをつくれたことが素晴らしい。授賞式で拝見した社長さんが若かったのも印象的で、一層の活躍を期待したいです」(篠原氏)
「(マゼランシステムズジャパンの事例について)宇宙開発利用では宇宙に何を打ち上げるかだけではなく、地上の仕組みも重要。降ってくるデータをインフォメーションに、そしてインテリジェンスに変えるツールとして受信機は大きな役割を担うと思います」(神武氏)

最後に選考委員長の柴崎氏は、内閣総理大臣賞を受賞した東京大学・中須賀教授の「ほどよし工学」が新たな宇宙ビジネスの開発に非常に大きなインパクトを与える成果であったと高く評価した上で、「そもそも宇宙利用はグローバルでスケーラブルなもので、日本で上手くいけば外国でも上手くいくケースが多いはず。意欲とアイデアを持つ人たちをエンカレッジ(奨励)しながら、来年以降、世界に展開するビジネスアイデアに出会えればと思います」と締めくくりました。

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