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日立造船、岩見沢市でみちびき利用の除雪車ガイダンスシステムを検証

2023年03月30日

日立造船株式会社は2023年3月10日、北海道岩見沢市の協力のもと、みちびきのCLAS(センチメータ級測位補強サービス)を活用した除雪車ガイダンスシステムの検証を実施しました。同社によれば、岩見沢市ではRTK方式による測位施設の維持コストに悩みを抱えており、近年CLAS受信機が安価になってきたため、このシステムを岩見沢市に提案可能となり、今回の検証を行う運びになったとのことです。

システム検証

システム検証の様子

2種の除雪車にシステム設置して除雪作業

実証では、同社が開発した農機ガイダンスシステムにCLAS測位機能を加え、縁石や消火栓等の地物情報を含んだGISデータを取り込むことで、RTK基地局や通信環境が無くても除排雪作業に利用可能なシステムの改修を行いました。本システムを、回転式の羽根を用いて道路脇に溜まった雪を飛ばす「ロータリー型」と車輪式トラクターにブラウやブレードを装着した「ドーザー型」の2種類の除雪車に設置して実際の除雪作業を行い、それぞれ除雪作業への適用性を検証すると共に、CLAS対応受信機と仮想基準点(VRS)方式のRTK受信機での測位精度の検証も行いました。

ロータリー型除雪車

ロータリー型除雪車

ドーザー型除雪車

ドーザー型除雪車

モニタ画面

運転席に設置されたガイダンスシステムのモニタ画面(提供:日立造船株式会社)

さらに除雪車に、前方・後方、及び車内を確認できる映像記録・伝送装置を設置し、岩見沢市役所除排雪対策本部内で除雪作業状況をリアルタイムに表示できるかも確認しました。映像データはCLASで測位した位置情報と共にクラウドサーバにアップし、カメラで捉えた車両周囲の状況と正確な現在位置情報 を除排雪対策本部に設置したモニターにリアルタイムに表示することで、関係職員がいつでも作業状況が確認できるようにしました。

モニタ表示

リアルタイム表示された映像とマップ

検証の内容を岩見沢市にも説明

日立造船スタッフから説明を受ける岩見沢市長

日立造船・芹野敬士氏(左)、中村治政氏(中央)の説明を受ける松野哲・岩見沢市長(右)

システム検証終了後に行われたミーティングでは、実証に立ち会った岩見沢市情報政策部の職員から、作業をリアルタイムに確認できるので積雪状況や除雪の進展具合が現場に行かなくても分かるので利便性が高まる点がよいと好評を得られたほか、除雪オペレーターからも、CLASの測位精度はRTK方式に比べて遜色はなく、また比較的経験が浅い除雪オペレーターでも効率よく作業ができるのでは、という感想が寄せられました。

受信アンテナ

運転席の屋根に受信アンテナを設置

受信アンテナ

日立造船 は4月下旬に、本システムを用いた圃場での農機の自動操舵の実証を岩見沢市にて実施する予定です。トラクターなどの農業機械を用いた作業と除雪車を用いた除排雪作業は、どちらも稼動時期となる季節が限定されており、農機と除雪車による2つの作業を横断して同一機械を使用することで、システム導入・運用コストをシェアできるメリットがあります。同社は同一端末による農機自動操舵と除雪車ガイダンスへの活用を通じて、今後、安全な除排雪作業、及びスマート農業の推進と、事業化に向けた調査研究を行っていく方針です。

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