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国交省が位置情報活用サービスを考えるアイデアソン開催

2016年11月18日

国土交通省は11月6日、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、スポーツイベント時の位置情報を活用したサービス創出を考える「アイデアソン」を横浜市の日産スタジアムで開催しました。

これは「高精度測位社会プロジェクト」の一環として行うもので、衛星測位やビーコンなどを組み合わせた高精度な屋内外シームレス測位技術を活用して、日産スタジアムの場内や、同競技場のある新横浜公園、スタジアムへたどり着くまでの駅構内や店舗情報とも組み合わせた新しいサービスを考えることを目指しています。

まずはインスピレーショントークと場内見学

アイデアソン会場

この日は、横浜市および日産スタジアムの関係者のほか、横浜F・マリノスの関係者、位置情報・空間情報ビジネスに関係している人、サッカーおよびスポーツの関係者、大学生・大学院生などが参加し、6チームに分かれました。そして、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(慶應SDM)の准教授・神武直彦氏のファシリテーションにより、ハッカソンまでの全体の流れについての説明が行われ、アイデアソンがスタートしました。

アイデアソンの冒頭には、日産スタジアムに関わりの深い人々による講演(インスピレーショントーク)も行われました。最初に登壇したのは、新横浜公園管理事務所の石川泰利氏(技術監理部 技術監理課長)で、新横浜公園および近隣にある鶴見川多目的遊水池について紹介しました。

新横浜公園管理事務所の渡辺憲二氏

新横浜公園管理事務所の渡辺憲二氏

次に、新横浜公園管理事務所の渡辺憲二氏(事業部 事業課長)が、日産スタジアムのイベント事業において、大規模イベントを開催する場合の運営の流れを紹介しました。このほか、英国人で日産マリノスのサポーターであるStuart Woodward氏も、日本のサッカーイベントやスタジアムで感じたことなどを発表しました。

日産スタジアム

インスピレーショントークの後は、日産スタジアムの場内を見学するフィールドワークが行われました。ここでは、さまざまなサッカーグッズや選手ベンチなどを展示しているホールや、VIP席、選手入場口、選手ロッカー、記者会見ルームなど、普段はなかなか立ち入れないスタジアムの内部を見て回りました。

ベンチなどの展示

ベンチなどの展示

スタジアム場内を巡る

スタジアム場内を巡る

記者会見ルーム

記者会見ルーム

観客席

観客席

選手ロッカー

選手ロッカー

ウォーミングアップルーム

ウォーミングアップルーム

選手入場口

選手入場口

入場口を出たところ

入場口を出たところ

6チームに分かれてブレインストーミング

フィールドワークの後、ランチを食べながらチームごとにアイデアの方向性を話し合いました。

慶應SDMの神武直彦氏

慶應SDMの神武直彦氏

まず、チームで取り組みたいテーマについて、5年後の2021年にそれが実現するための新しいソリューションのアイデアを考えました。参加者一人一人が思いついたアイデアを付箋に多く書き込み、それを大きな紙の上に貼り、それをもとにブレインストーミングを行います。

付箋にアイデアを書き込む

付箋にアイデアを書き込む

2軸図を使ってアイデアを分類

2軸図を使ってアイデアを分類

次に、提案された多くのアイデアを分類します。縦軸を「社会的インパクト」、横軸を「実現可能性」として2軸図をつくり、アイデアが書かれた付箋を分類別に貼っていきました。この作業の後は、メンバーによる投票です。2軸図で分類された付箋の上に、各チームのメンバー各自が、自分がもっと具体的に議論したいと思うアイデアや、ハッカソンで具現化してみたいアイデアを3つ選んでシールを貼ります。さらに、その中から、もっともシールが貼られた数の多いアイデアを1つ選びました。

気になるアイデアに投票

気になるアイデアに投票

カスタマージャーニーマップ

カスタマージャーニーマップ

この投票で決定したアイデアについて、各チームは、ユーザーの感情の動きを時系列にグラフで表す “カスタマージャーニーマップ” という手法などを使って、創出されたサービスやアプリケーションがユーザーにもたらす感動を視覚化しました。

各チームのプレゼンで締めくくり

プレゼン発表

プレゼン発表

こうした作業を経て、チームごとにいろいろなアイデアが生まれました。最後に締めくくりとして、各チームによるプレゼンテーションが行われました。

今回のアイデアソンでは、「個人情報と位置情報をひも付けてバリアフリーを実現するアイデア」や、「AR(拡張現実)技術を活用してスタジアムまでの道中に友人と自然に合流できるアプリ」、「新横浜駅周辺のホテル宿泊者向けに、スポーツ選手監修のトレーニングプログラムでリフレッシュしてもらう情報提供サービス」、「外国人が空港からスタジアムまで迷わず来れるようにする支援サービス」、「観客の感動をSNSで共有して感動を “見える化” するサービス」、「位置情報や屋内地図を活用してスタジアム利用者の人流をスムーズにするアイデア」などが生まれました。

参加者とスタッフ一同

参加者とスタッフ一同

このアイデアソンの後日、ハッカソン参加が不安な人向けに、ハッカソン当日の活動概要を紹介する「プレハッカソン」も11月9日に豊洲センタービル(東京・江東区)で開催しました。このプレハッカソンでは、ハッカソン参加者に提供するデータやソフトウェアの概要説明も行いました。さらに、今回のアイデアソンで生み出した新サービスをアプリケーションとして実装する「日産スタジアム ハッカソン」を11月19・20日に同じ会場で開催します。

(取材/文:片岡義明・フリーランスライター)

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