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横浜市がゼンリンと連携し、Androidタブレットを使った下水道訓練

2016年11月29日

横浜市は11月14日、災害時対応力の強化を目的とした「横浜市下水道BCP(Business Continuity Plan=事業継続計画)実地訓練」を行いました。この訓練は、スマートデバイスを使った施設管理ソリューションを災害時に役立てようという試みの一つで、地震などの大規模災害が発生した場合に、下水道管路をできるだけ早く調査して、すばやい初期対応を行う目的で実施されました。

調査に使用したタブレット

調査に使用したタブレット

アプリで現在地とマンホールの位置関係を把握

近年、スマートフォンやタブレットの衛星測位機能は、個人向けの地図アプリや位置情報ゲームだけでなく、自治体や企業の施設管理ソリューションにも活用されています。衛星測位で現在地を正確に把握できるため、さまざまな施設の管理を効率よく行うことができます。そしてこの訓練でも、Androidタブレットが大きな役割を果たしました。

横浜市は「行政地図情報提供システム」で下水道の情報を公開していますが、現場の下水道調査ではスマートデバイスを使用せず、紙の下水道台帳を使っています。しかし今回の訓練は、調査員が、横浜市と株式会社ゼンリンが共同開発したAndroidアプリをインストールしたタブレットを使用して行いました。このアプリは、タブレットの衛星測位機能を使って、ゼンリンの電子住宅地図上で現在地と調査対象となるマンホールの位置関係を把握し、調査した情報の入力や写真の撮影・登録などを行うことができます。

調査対象をタブレットで確認

調査対象をタブレットで確認

マンホールと現在地が表示される

マンホールと現在地が表示される

土地カンがなくても、アプリでスムーズに調査

訓練に参加したのは、横浜市職員をはじめ、建設コンサルタントなどの民間事業者などで、災害時の統括を担う国土交通省の職員、熊本地震で下水道の確認を行った経験をもつ熊本市職員も加わりました。

横浜市磯子区を調査

横浜市磯子区を調査

大規模な震災が発生すると、住宅や避難所などの排水を確保するためにも、下水道の状態を確認することが必須となります。ところが災害時に現地調査を行うのは、平常時に下水道の調査を行う人たちとは限らず、他都市の自治体から来た応援の職員だったりします。そうした場合でも、調査に電子住宅地図データを使ったアプリを使えば、初めてその街を訪れた人でもスムーズに調査を行うことができます。

過去の訓練で、このシステムを使った場合と紙の下水道台帳を使った場合とでマンホール1回当たりの調査時間を比較したところ、タブレットを使った場合、調査報告時間を50%近く短縮できたというデータも出たそうです。

5班がタブレット、残り4班が紙台帳を使用

今回の訓練は、横浜市磯子区において震度6強の地震が発生したと仮定し、地震発生後に小学校などの地域防災拠点から流れる管路を緊急調査・点検するという想定でした。調査員は9班に分かれて、このうち5班がタブレットを使用し、残りの4班が紙台帳を使って調査しました。

マンホールを開け、異常の有無を確認

マンホールを開け、異常の有無を確認

タブレットのカメラで撮影する

タブレットのカメラで撮影する

調査内容は、マンホールを開けて、異常の有無をチェックし、深さや隆起の状況を計測したほか、マンホールを器具で叩いて、別のマンホールから音が聞こえるかを調べました。さらに写真撮影も行いました。紙台帳の場合は、撮影した写真がどのマンホールの写真なのか判別するため、マンホールの台帳番号などを記述したボードを撮影する必要がありますが、タブレットでは写真に付加された位置情報に基づき登録されるため、調査後に報告書をつくるのも簡単です。

このアプリは住宅地図データをタブレットのローカルストレージに保存するため、インターネットに接続する必要がなくオフラインで使用できます。これにより、災害時にインターネット回線が使えなくても利用は可能です。

終了後はミーティングを実施

終了後はミーティングを実施

調査後の成果発表では、紙台帳と比べたタブレットのメリットとして、「現在地を把握しやすく、目的地にたどり着きやすい」「写真入りの報告書をすばやく作成できる」「雨天でも扱いやすい」といった感想が聞かれました。

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