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日本の正確な位置を決定する、石岡測地観測局が本格運用を開始

2016年05月09日

国土地理院は、世界最高水準の精度で地球上の正確な位置を決定する最先端の観測施設「石岡測地観測局」(茨城県石岡市)の本格運用を2016年5月1日から開始しました。
この観測局では、直径13mのパラボラアンテナを使ったVLBI観測(=遠方の天体からの電波を地球上の複数地点で同時に受信し、その精密な時間差を測ることで数千km隔てた大陸間の距離をミリメートルの精度で導き出す観測手法)を行うと共に、重力測定やGNSS観測などを組み合わせ、「地球上における日本の正確な位置」を1mmの精度で定め測量の基盤とします。

位置だけでなく「暦」の基準の役割も

石岡測地観測局

世界各国で連携して行われるVLBI共同観測により、日本の地球上での正確な位置(緯度・経度)が決定され、これが日本の全ての位置の測定の基準となります。これまではつくば市の32mアンテナが担っていた役割を、石岡の13mアンテナが代替することになります。宇宙を基準にして観測することから、地球そのものの動きの変化、たとえば次第に遅くなっている地球の自転なども精密に捉えることができます。

地図

世界のVLBI観測局が捉えた地球の動き

こうした観測データは「うるう秒」をいつ挿入するかの検討に供されるなど、位置だけでなく世界の暦の基準となる役割も担います。

グラフ

VLBIで測った地球の自転の変化とうるう秒

ジオイドの決定にも活用

石岡測地観測局にはGNSS連続観測点も併設されています。VLBIで決定した日本の位置の基準に基づいてこのGNSS連続観測点の位置が定まり、さらに同等の設備で運用されている全国約1,300カ所の電子基準点の正確な位置が定められます。

GNSS観測点

GNSS観測点

筑波山麓の安定した地盤に位置するため、安定した重力測定が行えます。施設内には地球の重力加速度を測定する「重力測定室」も設けられています。ここでは、真空中で物体を落下させ、レーザー光の干渉により落下距離を、原子時計により経過時間を精密に測定する「FG5絶対重力計」(米国 Micro-g-LaCoste社製)が使用されます。この成果は標高の基準面となる「ジオイド」の決定などに役立てられます。

重力測定室

重力測定室

重力計(FG5絶対重力計)

重力計(FG5絶対重力計)

参照サイト

※記事中の画像提供:国土地理院

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