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みちびき活用した道路交通法遵守の可視化サービスを紹介

2019年08月22日

NECネクサソリューションズ株式会社とジェネクスト株式会社は、都内で7月25日、自動車運転に関する安全管理推進者に情報を提供する「企業・団体に求められる自動車運転・安全管理セミナー」を開催しました。同セミナーの開催は、今回で2回目となります。
第1部では、MS&ADインターリスク総研株式会社の安藤令氏が、交通事故が企業に及ぼす影響や、自動車運行に対する安全対策を講演。第2部では、NECソリューションイノベータ株式会社 社会インフラソリューション事業部の神藤英俊氏が、みちびきの技術やサービス概要と、農業分野や道路・交通分野、土木・建設分野、物流分野などの分野における活用事例を紹介しました。

SLASの位置情報をログ解析して違反を検出

続く第3部では、ジェネクスト株式会社の笠原一・代表取締役が登壇し、「みちびきサブメータ級測位活用/道路交通法遵守"見える化"サービス」をテーマに講演しました。

笠原氏

ジェネクストの笠原氏

同社は、みちびきのSLAS(サブメータ級測位補強サービス)に対応したGNSSトラッカーを自動車に搭載し、位置情報のログを記録することで、ログを解析して交通違反を検出するサービスを提供しています。GNSSトラッカーが取得した高精度な位置情報は、モバイル回線を使ってクラウドのサーバーに転送されます。サーバーには地図情報と道路の規制情報や補助標識の情報が入っており、サーバー内で解析することで、走行経路上のどの地点で違反があったかを確認できます。

2018年春のサービス開始以来、さまざまな機能強化が図られ、今年2月にはウェブのダッシュボードにおいて、社員の道路交通法遵守率の推移や遵守率のワーストランキング、速度超過件数の内訳などをグラフ表示できるようになり、メンバー一人一人の道路交通法遵守状況を逐一確認しなくても、全体の状況を把握できるようになりました。グラフは、幹線道路や生活道路など道路の種別ごとに分けて見ることができ、「幹線道路の安全も大事だが、まずは生活道路を優先して交通違反をなくしたい」といった方針の顧客要望にも応えられます。

GNSSトラッカー

新型のGNSSトラッカー

続いて3月には、自動車に搭載するGNSSトラッカーを刷新し、u-blox製チップを使用したものに変更しました。新型の端末はジャイロセンサーと加速度センサーを搭載し、衛星電波の入りにくいトンネル内やビルの谷間などでも位置情報を検出し、交通違反を検出できるようになりました。端末を車のシガーソケットに挿入するだけで簡単に設置でき、導入も容易です。今後は、災害時の車両位置検索が可能となる防災対策の機能も検討する予定です。

現在のところ違反判定の項目は、制限速度超過、右左折禁止、一時停止違反、踏切不停止、進入禁止の5項目ですが、今年秋以降は、携帯電話保持(ながらスマホ)違反、駐停車禁止違反も検出可能となる予定です。このうち、駐停車禁止違反の検出ロジックは、駐停車禁止エリアにおいて、車両が一定時間停止しているかどうかで判断します。みちびきの高精度測位を利用することで、より高い精度で位置情報の照合が可能となります。

可視化で保険料を削減し、交通事故も減少

社員の道路交通法遵守状況の可視化は、交通事故の削減につながります。笠原氏の講演によれば、顧客の中には自動車保険料が年間1~2億円下がったという事例もあり、あるタクシー会社では3割削減できたとの成果例もあるそうです。

交通違反の発生地点をウェブ上に表示

交通違反の発生地点をウェブ上に表示(画像提供:ジェネクスト株式会社)

このサービスでは、端末販売やシステム導入だけでなく、運用サービスも提供しています。ある食品宅配業の会社では、社員の交通事故が多い、クレーム電話が入る、マナーを指導してきたが良くなった実感がないといった課題がありましたが、「18~21時に生活道路での20km以上の速度超過 0件」「幹線道路での速度超過(20km未満含む)0件」といった具体的な目標を設定したところ、教育開始から3カ月半で法令遵守率は8.6%上昇しました。「20km以上の速度超過」は95%削減、「20km未満の速度超過」は73%削減され、期間中の交通事故件数も、昨年の2件から今年は0件となりました。

こうした同社の取り組みは各方面で評価され、今年4月、三菱UFJ銀行が実施する第6回MUFGビジネスサポートプログラム「Rise Up Festa」において、情報・ネットサービス分野の優秀賞を受賞しました。

(取材/文:片岡義明・フリーランスライター)

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