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東北大が日本海溝に沈み込む太平洋プレート速度の実測に成功

2015年11月21日

東北大学 災害科学国際研究所と、同大学院 理学研究科、国立研究開発法人 海洋研究開発機構(JAMSTEC)の研究グループが、2011年の東北地方太平洋沖地震以降の日本海溝に沈み込む直前の「太平洋プレート速度」の実測に成功しました。

海域での精密測地観測が困難なため、これまで直接計測できず

プレート境界型巨大地震の発生に伴って、沈み込む海洋プレートの剛体運動としての速度が一時的に増大する可能性は以前からも指摘されていましたが、海域での精密測地観測が困難なことから、沈み込むプレート速度の直接計測は実現できていませんでした。

今回、沈み込みを開始する前の太平洋プレート上に測量基準点を設置し、2012~14年にかけてその位置を繰り返し測定した結果、基準点は年間18.0±4.5cmの速度で北西方向に移動していることが明らかになりました。この速度は、従来のモデル(基準点の位置における定常的なプレート速度=年間8.3cm)と比較し約2倍程度大きな値で、2011年の巨大地震発生後のプレートの沈み込みがどのように継続しているかを初めて明らかにする成果です。

太平洋プレート上のG01観測点における変位速度と、グローバルなプレートモデルから期待される定常的なプレート沈み込み速度を示す図

2012~14年の観測データに基づく太平洋プレート上の観測点(=図右側「G01」地点)における変位速度(=赤矢印)と、グローバルなプレートモデルから期待される定常的なプレート沈み込み速度(=黒矢印)。どちらも北米プレートに対する年間当たり変位を示す。なお、図中央の赤色の等値線は2011年の東北地方太平洋沖地震の地震時すべり分布(単位:m)。図左側の黄色四角はGPS解析時の陸上基準点(画像提供:東北大学)

観測には衛星測位の技術を活用

この観測には衛星測位の技術が生かされています。測量船の位置を衛星測位で正確に決定すると同時に、測量船から海底基準点の位置を精密に測り、船の姿勢や水温・塩分濃度なども勘案しながら海底基準点の位置を決定する手法です。海中では電波が届かないため、測量に音波が利用されることから、この手法は「GPS—音響結合方式 海底地殻変動観測」と呼ばれています。

「GPS—音響結合方式」による海底地殻変動観測の方法を示すイラスト図

「GPS—音響結合方式」による海底地殻変動観測の方法(画像提供:東北大学)

今回の成果は宮城県沖の太平洋プレート上の1点の結果であり、北海道から関東地方沖合に至る広い海域には手が付けられていません。研究グループは、観測の空白域となっている広い地域をカバーすることは、プレート境界域におけるひずみ蓄積過程の理解にきわめて重要であるとしています。

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※ヘッダの画像は、イメージです。

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