コンテンツです

東京港が、工事用船舶の新たな航行安全対策の運用を開始

2017年04月17日

航法とは、目的地まで正しく航行するため「自分の位置を知る手順」のことで、古来から航海術の一つとして発達してきました。その航法の発展形とも言うべき衛星測位技術は、地上や空だけでなく、現在も海上で重要な役割を担って利用されています。今回は、東京港を出入りする船舶の位置情報を把握する用途として、GPS機器を活用する動きを紹介します。

工事用船舶にGPSを搭載して運航支援

東京港では、2020年までの完成を目指して東京五輪・パラリンピックのボート・カヌー競技会場となる海の森水上競技場や中防内(中央防波堤内側)5号線橋りょうなどの「東西水路周辺工事」、新客船ふ頭整備工事および臨港道路南北線整備工事などの大規模な海上工事が同時期に輻輳(ふくそう)して実施されており、港内を多数の工事用船舶が航行するため、周辺海域では今後、一般船舶との錯綜(さくそう)が予想されます。
港内における船舶航行の安全を確保しつつ、輻輳する海上工事を円滑に進めるため、工事用船舶の航行安全対策を強化する必要があり、東京都はこのほど、東京港の港内における船舶航行の新たな安全対策の運用を開始すると発表しました。このような取り組みは全国初のことで、2017年3月10日から実施されています。

想定航行ルート図

工事用船舶の想定航行ルート(出典:東京都港湾局・東京海上保安部 2017年3月8日付報道発表資料)

ポートラジオ局を活用した運航支援

従来、東京港を出入りする船や港湾関係者に向けて情報を提供するポートラジオ局「とうきょうポートラジオ」を活用した運航支援は、総トン数500トン以上の一般船舶に限られており、工事用船舶は対象外で、工事ごとに独自に運行管理を行っていました。
しかし今回、一般船舶と同じように、東京港におけるとうきょうポートラジオを活用した運航支援を実現するため、工事用船舶にはGPSまたは簡易AIS(Automatic Identification System、船舶自動識別装置)やMCA無線機を搭載し、各安全協議会で情報共有すると共に、工事用船舶の位置情報などに基づいて運航支援を行います。

運航支援イメージ図

とうきょうポートラジオによる船舶の運航支援イメージ(出典:東京都港湾局・東京海上保安部 2017年3月8日付報道発表資料)

このほか、航行安全教本を作成することで、工事用船舶や運搬船の運航ルールおよび運航支援内容の周知徹底を図ったり、船長への安全講習会を実施したりするなど、さまざまな安全対策を強化する予定です。

※ヘッダの画像は、イメージです。本文画像出典:東京都港湾局・東京海上保安部

関連記事