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CEATEC JAPAN 2018でみちびきに関する講演

2018年10月24日

ITとエレクトロニクスをテーマとした国際展示会「CEATEC JAPAN 2018」が10月16~19日の4日間、千葉・幕張メッセで開催されました。会期中は「つながる社会、共創する未来」をテーマに、さまざまな産業・業種による共創を基本としたビジネス創出を目指して、幅広い分野の講演が行われました。その中から内閣府 宇宙開発戦略推進事務局 準天頂衛星システム戦略室の飯田洋企画官の講演「準天頂衛星システム『みちびき』のサービス概要と利活用事例」を紹介します。

みちびきは11月から正式にサービス開始

内閣府の飯田企画官

内閣府の飯田企画官

飯田企画官は、「衛星測位システムは米国のGPSのほかにロシアのGLONASSや欧州のGalileo、中国のBeiDouなどさまざまなシステムがありますが、日本のみちびきはセンチメートルオーダーで精度を出せるという他のシステムと違った優位性を持っています」と前置きした上で、2010年にみちびき初号機が打ち上げられた後、昨年(2017年)3機の打ち上げが連続して行われ、計4機体制で本年11月より正式にサービスを開始する予定であると説明しました。

続いて、8の字を描いて日本の真上に長く滞在する特徴を持つみちびき初号機・2号機・4号機や、静止衛星であるみちびき3号機の軌道を解説しました。その上で、みちびきのサービスとして、衛星測位サービス(GPSの補完)、測位補強サービス(GPSの補強)、メッセージサービスの3つがあると紹介しました。
みちびきに対応した受信機の動向については、1)GPS補完(衛星測位サービス)は主要チップメーカーの対応が完了し、市販のスマートフォンへの搭載が進んでいること、2)サブメータ級測位補強サービスは対応受信機、チップの開発が進行中であること、3)センチメータ級測位補強サービスは各社が開発を進めていることを説明しました。

みちびき利活用の具体的な事例を紹介

さらに、みちびきの利活用シーンとして、農業や土木、輸送、福祉などさまざまな分野における事例を挙げました。具体的には、1)センチメータ級測位サービスを活用した農機や自動運転車、オペレーターの運転操作を視覚的にサポートする除雪作業支援システム、2)サブメータ級測位補強サービスを活用した、道路交通法違反を自動判定する交通安全分析サービス、歩行補助システム、ゴルフナビゲーション用の腕時計型ウェアラブル端末、の2つのサービス利用に加え、他にも、車線単位の高精度ルートガイダンスシステム、路面情報検知システムや船舶自動離着桟システム、高精度バスロケーションシステム、マラソンのリアルタイムコーチングなど、さまざまなシステムや機器においてみちびきの高精度測位が活用されていると紹介しました。

飯田企画官は最後に、「みちびきの信号自体は無償でどなたでも使っていただけますし、日本で開発された技術を東南アジアやオーストラリアでも使うことができます。ぜひこの位置情報インフラを使ってさまざまなビジネスを構築していただきたい」と呼びかけました。

CEATEC JAPAN 2018

「CEATEC JAPAN 2018」会場の様子

(取材/文:片岡義明・フリーランスライター)

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