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府中市郷土の森博物館でみちびきに関する特別講演会を開催

2025年07月04日
入場前の来場者

府中市郷土の森博物館(東京都府中市)にて2025年6月22日、プラネタリウムで話を聞ける特別講演会「NEC府中事業場の宇宙事業と準天頂衛星『みちびき』の開発~府中から宇宙へ~」が開催されました。
講演会の講師は、日本電気株式会社(NEC)の松村瑞秀氏(エアロスペース事業部門 スペースプロダクト統括部 第四宇宙システムグループ マネージャー)が務め、みちびきの概要や開発時のエピソード、そして同社の宇宙事業と府中市との関わりなどについて、スライドや映像を使いながら約1時間にわたって紹介しました。事前申込みは完売となり、当日会場には大人から子どもまで幅広い年齢層の約200名が来場、満員の盛況となりました。

講師写真

講師の松村氏(左)、会場に設置された案内板(右)

みちびきの役割や宇宙と府中の関わりを解説

講演風景-1

講演では、まず人工衛星の歴史をひも解きつつ、衛星の組み立てや試験を行っているNEC府中事業場の衛星インテグレーションセンターを始め、同社が取り組んでいる宇宙事業について紹介しました。続いて、人工衛星を使って地上のユーザーへ位置情報を提供する「衛星測位」の原理から、みちびきが果たす役割や、みちびきにより得られた位置情報が社会にどう役立つか、具体的な実証や実用例について説明しました。
プラネタリウムの円形スクリーンにはみちびきの機体が投映され、上空を8の字に移動する様子も映し出されました。それを受けて質疑応答では、「(みちびきは地球の周りを)どうやって8の字に飛ぶのですか?」との質問が会場から寄せられ、松村氏が自分を地球に見立てて回りつつ、みちびきの軌道が地球から8の字に見えるよう身振りを交えて回答するひと幕もありました。

講演風景-2

みちびきに搭載する測位ミッションペイロードのシステムマネージャーを務める松村氏は、ペイロードの組み立てや熱真空試験の様子なども紹介し、今後もみちびきの開発を進めていき、7機、さらには11機へと整備されていくことで、「ドローンによる配達や無人バスの自動運転、自動農業、災害時の迅速な人命救助など、安全・安心でスマートな社会を創造していきたい」との思いを語り、講演を締め括りました。

館内でみちびきのジオラマ展示も

建物外観

博物館本館

府中市郷土の森博物館は、府中市の南辺を流れる多摩川沿いに位置する、自然豊かな約14ヘクタールの広大な敷地を持つ総合博物館です。その中心となるのが博物館本館で、府中の歴史・文化・自然をテーマにした常設展示室のほか、最新鋭の投映機を備えたプラネタリウムや天文展示コーナーがあります。天文展示コーナーでは、みちびきのジオラマ展示やみちびき紹介映像の上映も行われており、こちらも賑わいをみせていました。
(※みちびきのジオラマ展示と紹介映像は2025年7月6日(日)まで)

展示品

みちびきのジオラマ(左、中央)、NEC府中事業場の紹介パネル(右)

(取材/文:片岡義明・フリーランスライター)

参照サイト

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