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軌道修正した「Galileo」5・6号機が試験信号の配信を開始へ

2016年08月18日

欧州宇宙機関(ESA、European Space Agency)によれば、2年前の2014年8月に打ち上げた際に所定軌道への投入に失敗し、その後、試験運用が可能な軌道まで軌道変更を重ねていた欧州の測位衛星「Galileo」5・6号機が、試験信号の配信を開始する準備を整えました。今後、この2機がGalileoシステムのサービス運用に加わるかどうかは、欧州連合(EU、European Union)が決定します。

打ち上げ時に軌道投入に失敗

Galileo FOC

Galileo FOC(Copyright:ESA-P. Carril)

これらの衛星は、測位システム運用に必要十分な性能を備えるFOC(Full Operational Capability)として最初の衛星で、2014年8月22日に仏領ギアナにあるギアナ宇宙センターからソユーズロケットで打ち上げられました。

計画された軌道は、高度2万3222km、軌道傾斜角56度の円軌道でしたが、ロケット上段の不具合により計画された軌道への投入に失敗したものの、再突入は避けられ、遠地点高度2万5900km 、近地点高度1万3713kmの楕円軌道(=下図の赤線)を周回していたものです。

新たな軌道を設定し、高度を徐々に修正

もともと衛星に搭載されていた軌道変換用の推進薬の量では、当初計画の軌道(=緑色の線。長楕円の緑は別平面)まで高度を上げることは物理的に不可能でしたが、新たな軌道が検討され、徐々に軌道高度を上げ、試験運用が可能となる軌道(=青色の線)に衛星を投入することができたものです。

ESAでは、衛星搭載機器の機能は健全であり、試験信号を受信機の検証・開発に役立ててほしいとしています。また、これらの衛星に搭載された原子時計を使って、「重力の大きさで時間の進み方が変わる」というアインシュタインの一般相対性理論の厳密な検証実験も実施するとしています。

※ヘッダ、本文画像提供:欧州宇宙機関(ESA)

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