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山梨県警が7月から、スマホで位置情報を送信する救助通報システム

2016年08月01日

山梨県警は、山岳遭難者に、スマートフォンで取得した自分の位置情報のメール送信を助けるシステムの運用を、山開きの7月1日から始めています。

山梨県警察本部の「山岳遭難時の対応」ページ

富士山の世界遺産登録や「山の日」(8月11日)の制定など、山歩きや登山を楽しむ人は増える一方で、滑落・転落・転倒などによる遭難の事案も増えています。山梨県警によると、6月末までの今年上半期における管内の遭難件数は48件(前年同期間比+17件)、遭難人数54人(同+21人)で、死者数9人(同+2人)と増加傾向が続いています。遭難者のうち40歳代以上の中高年が70%以上を占め、さらに90%以上が県外からの来訪者です。

こうした背景から、少しでも救助に役立てようと位置情報の通報システムが導入されました。同様のシステムは、熊本県が昨年、阿蘇山で遭難した登山者が位置情報を通報できる救助システムを立ち上げていますが、今回の取り組みはそれに続くものです。

山梨県警察本部の「遭難時位置情報メール送信システム」ページ

遭難者にはまず110番ないし119番へ通報してもらい、そこで位置が確認できなかった場合、通報システムに誘導されます。昨今、ほとんどのスマートフォンにはGPS機能が搭載されていますが、そこから緯度経度の数値を抽出するには、適切なツールやアプリを使いこなすスキルが必要です。山梨県警が用意したシステムは、その部分をウェブ上の簡易プログラム(JAVAスクリプト)に肩代わりさせています。

ボタン操作で「緯度・経度」情報が埋め込まれる

「位置情報を山梨県警にメールする」ボタンを押すと、スマートフォンがGPS機能で取得した緯度経度の数値が本文に埋め込まれ、さらに宛先「山梨県警」、タイトル「位置情報送信」と記されたメールが自動的に作成されます。そして利用者自身がメール送信ボタンを押すと、そのメールが発信される仕組みです。

「遭難時位置情報メール送信システム」の画面例

「現在の緯度・経度」表示画面への入力例(山梨県警察本部)

山梨県警地域課は、このシステムについて、「遭難者の居場所が特定できずにヘリコプターで長時間、広範囲の捜索を行うと、隊員の安全にも関わります。ピンポイントで遭難地点に向かうために出来ることをやろうというのが、システムを始めたきっかけです」と説明します。

ただ最近は、スマホが便利になり過ぎ、紙の地図やコンパスを持たずに山に入る例も見られます。紙の地図であれば、電池切れもなく、見失ったルートに戻るのも比較的容易です。そのため同課でも、「こうした仕組みはあくまで補助的なもので、もっとも大切なのは事前の入念な準備であることを忘れないようにしてください」と、登山者に呼びかけています。

なお、最近人気が爆発している位置情報を利用したスマホゲームによる道迷いの報告はまだないとのことです。

※ヘッダは、イメージ画像です。

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