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大林組が、土砂崩れの兆候をつかむ「マルチGNSS地盤変位計測システム」

2016年09月17日

大手ゼネコンの株式会社大林組は、GNSS関連機器を提供する古野電気株式会社と共同で、複数の衛星測位システムを利用して地盤の動きを連続的に計測・解析する「マルチGNSS地盤変位計測システム」を開発しました。このシステムを利用することで、突発的な土砂崩れや地すべりなどの兆候をいち早くつかむことができます。大林組は開発の背景として、国土の約70%を山間や丘陵が占める日本では、多くの造成された斜面がある一方、局地的な大雨が増加傾向にあるため予防保全の重要性が高まっていることを上げています。

複数の測位衛星で高精度に地盤変位を解析

運用イメージ

システムの運用イメージ(画像提供:株式会社大林組)

今回開発されたシステムは、みちびきやGPSに加え、GLONASS、Galileoなど複数の測位衛星からの電波を同時に受信することで、山間地や樹木の多い受信しづらい場所でも信号の受信状態を改善し、より高精度に地盤の変位を解析できます。また、従来は60分に1回だった解析頻度を5分に1回に高めて、突発的な事象にも対応します。
さらに今回のシステムでは、既設電柱などに頼らず、ソーラーパネルとバッテリーを用いた独立電源による運用が可能となっており、無線LANを使用することで通信ケーブルも不要になります。また、新規に開発された解析ソフトウェアが危険性を判断するため、これまで監視等でかかっていた人件費も不要となり、約2年間の運用費用は従来の2分の1程度に収まる(同社試算による)としています。
同社ではこのシステムの普及拡大に務め、「施工時の安全性を向上させると共に、その後の維持管理などにも活用し、災害に強い国土づくりに貢献したい」としています。

参照サイト

※ヘッダの画像はイメージです。本文画像提供:株式会社大林組

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