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「測量の日」に国土地理院で功労者感謝状の贈呈式

2016年06月04日

近年は測量分野でも衛星測位を利用した基準点測量が行われており、人工衛星の電波を常に受信する電子基準点が全国約1300地点に設置され、国土の位置を高精度に決定する骨格的な測量の基準点になっています。
6月3日は、1949年のこの日に測量法が交付されたのを記念して、測量の意義や重要性への理解と関心を高める目的で、1989年から測量の日に制定されています。それに合わせて、2016年6月3日に茨城県つくば市の国土地理院本院で功労者感謝状の贈呈式が行われ、越智繁雄・国土地理院長より1個人2団体に感謝状と記念品が贈られました。

記念撮影

贈呈式後の記念撮影

謝辞を述べる院長

越智国土地理院長

越智国土地理院長は、「測量や地図を、国民の安心・安全や社会経済活動に役立てる支えとなるのが、技術・広報・教育の3本柱。これらを丁寧に三位一体で進める上で皆さまは大きな貢献をされた。より一層の充実と発展を祈念しつつ、私たち自身も『測る、描く、守る』を実践していく」と謝辞を述べました。

防災への地図利用の功績が認められた岩井氏

岩井氏

広島工業大学工学部教授/副学長の岩井哲氏

個人として功労者に選ばれたのは、広島工業大学工学部教授で副学長の岩井哲(さとし)氏です。岩井氏は、1995年の阪神・淡路大震災の被害調査をきっかけに木造住宅の耐震性についての研究を手がけ、耐震診断や耐震補強など被害軽減策に関わってきました。
建築工学の研究者としての取り組みを通じ、建物が建っている土地がどのように造成された地盤かが重要な情報であるとの認識から、地方自治体と協力し地理情報システムを活用した「地震被害想定調査」に関わるなど、防災への地図利用の功績が認められました。さらに地理情報システム学会の中国支部長を務め、児童・学生を対象とした「『被爆の痕跡』のデジタル地図作成」などの平和教育プログラムに尽力してきた功績も評価されました。

岩井氏は受賞の喜びを語ると共に「その土地の履歴の情報は非常に貴重な情報。最新のデジタル地図も50年経てば役に立つ古地図になる。しっかりと維持していってほしい」と、国土地理院に対する期待を述べました。

測量技術者の人材育成に尽力した沖縄県測量建設コンサル協会

池村氏

沖縄県測量建設コンサルタンツ協会の池村弘会長

団体として選ばれた一般社団法人沖縄県測量建設コンサルタンツ協会(会員79社、そのうち測量士463名)は、地元の工業高校の生徒などを対象とした測量実技の講習会を開催してきた功績が認められました。2008年より毎年開催され、これまでにのべ300名近い生徒・学生に、社会基盤をつくる上で測量がいかに大事なものであるかを訴え、UAV(自律型無人飛行機)やGNSS受信機などを使った最新の測量技術を紹介しています。

同協会会長の池村弘氏は、「かつてはハブに怯えながら作業し、現在も立ち入れないエリアが多くあるなど、沖縄ならではの測量の特殊事情はあります。実作業も非常に地味なものですが、最近の若者たちは3DスキャナーやUAVなど最新技術にゲーム感覚で興味を示してくれている」と取り組みの手応えを語りました。

番組を通じて地図や地理を普及・啓発した「ブラタモリ」

垣東氏と中村氏

NHK制作局 企画・開発チーフ・プロデューサーの垣東大介氏(左)と中村貴志氏 (右)

さらにNHK「ブラタモリ」制作スタッフも、団体として功労者に選ばれました。同番組は番組スタッフの綿密な調査とタモリ氏の博識とがぶつかり合う地理歴史教養系エンターテインメント番組です。国土地理院やその前身機関が作成した旧版地形図や基盤地図情報が番組で使われ、視聴者が地図や地理に興味を持つきっかけとなった点が評価されました。

番組制作を担当するNHK制作局 企画・開発チーフ・プロデューサーの中村貴志氏は、「地理院さんの地図がなければ成立しない番組で、こちらから感謝状を贈らねばらないところ、恐縮しています。タモリさんを何とか驚かせようと毎回準備をして収録に臨むが、それが視聴者の方に伝わり、ひいては地理院さんにも喜んでもらえているのは、私たちスタッフにとって大変うれしく、励みでもあります」とコメントしました。
番組を共通の話題に、功労者の間でも「首里城の地層の秘密は、われわれも驚きでした」(池村氏)、「広島に来られるのを楽しみにしています」(岩井氏)と会話が弾み、多くの方に関心を持たれていることを伺い知ることができました。

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