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タイプエスとヴァイサラが上空気象観測用ドローン「R-SWM」を共同開発

2016年07月22日

ドローン(UAV=Unmanned aerial vehicle、自律型無人飛行機)を使って気象観測を行う取り組みが進んでいますが、ドローンは飛行することで風を受けるため、風速や風向きの観測結果に影響を与えてしまいます。このような課題を、衛星測位による速度・風向き計測によって解決する技術が登場しました。

環境計測機器の販売・点検などを行う有限会社タイプエス(群馬・前橋市)と、フィンランドに本社を置く気象観測機器メーカーのヴァイサラ株式会社は、気象データを観測してリアルタイムで地上に送信できる上空気象観測用ドローン「R-SWM(Realtime-Sky Weather Monitoring)」を共同開発しました。タイプエスは、同製品を10月1日に発売します。

上空気象観測用ドローン「R-SWM」

上空気象観測用ドローン「R-SWM」

気象データを観測してリアルタイムに送信

同製品は、両社が2012年夏に開始した、ドローンに気象機器を搭載するプロジェクトによって生まれた製品です。このプロジェクトは、ロケット打ち上げイベントの上空気象観測などを目的としています。

ドローン機体には、千葉大学の野波研究室が設立したベンチャー企業である株式会社自律制御システム研究所が製作した「ミニサーベイヤーMS-06LA」(標準機体)と「ミニサーベイヤー MS-GEO」(大型機体)を採用しています。気象機器は、気象業務法において観測精度を確保するために定められた「気象庁検定」を取得可能なヴァイサラの超音波風向風速計及び温度湿度計、気圧計、タイプエスの記録装置付き送信装置を搭載しています。

「R-SWM」ソフトの画面イメージ

「R-SWM」ソフトの画面イメージ

これにより、任意の緯度・経度・高度において観測した気象の基本5要素(風向・風速・温度・湿度・気圧)のデータがリアルタイムに地上へ送信され、送信された気象データをリアルタイムにモニタリングして記録することができます。

衛星測位で得た飛行速度に基づき観測データを補正

ドローンの飛行方位や飛行速度に影響を受ける風向風速の観測については、衛星測位で得られた飛行速度と方向を計算し、観測された風向風速の値を補正することにより、真の風向風速を観測することができる技術を搭載しています。これにより、ドローンの機敏な機動性を活かし、ラジオゾンデやドップラーレーダーでは難しかった任意の低層域における気象データを収集できます(同技術は、タイプエスにより特許出願中)。

「R-SWM」は、タイプエスが参画している「千葉市ドローン宅配等分科会」の実証実験に利用される予定です。また、ロケット打ち上げ前のリアルタイムの上空気象データ調査や、風力発電施設の建設計画時の事前調査及び事後検証、ドローン飛行空域の気象データ調査、低層から高層の上空気象観測などでの活用も見込まれています。

この「R-SWM」は、東京・お台場の東京ビッグサイトで開催中の「気象・環境テクノロジー展」(7月20~22日、主催・一般社団法人日本能率協会)のヴァイサラ社ブースで展示されています。

参照サイト

※ヘッダ及び本文画像提供:有限会社タイプエス、ヴァイサラ株式会社

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