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[報告] 内閣府と欧州委員会が第4回日欧GNSS官民ラウンドテーブルを開催

2019年04月15日

内閣府と欧州委員会との共同開催による第4回日欧GNSS官民ラウンドテーブルが3月14日、東京都港区の三田共用会議所にて開催されました。
衛星測位の利活用について日本と欧州が連携する日欧GNSS官民ラウンドテーブルは、2016年6月にオランダのハーグで開催されたのが始まりです。続いて2017年3月には東京で第2回が開催され、この時、内閣府と欧州委員会は、衛星測位を活用した重点産業分野の特定と新事業・サービスの創出、そして日欧間の政策協力の強化に向けて協力取り決めを締結しました。さらに2018年3月にはドイツのミュンヘンで第3回の会合が開催され、内閣府宇宙開発戦略推進事務局が率いる使節団が現地を訪れました。

会場風景

4回目となる今回もまた、欧州から20名を超える参加者が来日し、日欧双方のみちびきやガリレオに関わる政府関係者や企業などが一堂に会し、さまざまな成果報告、及び参加者同士の交流が行われました。

日欧協力により両国の産業に大きなメリット

冒頭、内閣府宇宙開発戦略推進事務局の髙田修三事務局長と欧州委員会成長総局のピエール・デルソー副総局長が登壇して開会の辞を述べました。内閣府の髙田事務局長は、衛星測位における日欧の連携は2016年に始まり、すでにさまざまな成果が上がっているとした上で、「この連携により、みちびき及びガリレオのサービスの実利用に関する知見が蓄積されて、両国の産業に大きなメリットがあると信じています。このラウンドテーブルにおいて、みちびきとガリレオのサービス活用の観点から日欧の産業界の皆さまが意見交換することは、日欧共同のビジネスが始まるきっかけとなります。日欧協力を通じて、お互いの国際競争力強化に結びつくことを願っています」と挨拶しました。

内閣府の髙田事務局長

欧州委員会のデルソー副総局長

午前中には、みちびきやガリレオの最新情報を日欧双方で発表したほか、オーストラリアで実施されたみちびきの災害・危機管理通報サービスの実証実験や、みちびきの実験用信号を用いた2周波SBASの実証実験など、みちびきとガリレオの連携の成果に関する発表が行われました。
なお、災害・危機管理通報サービスの実証実験は、内閣府宇宙開発戦略推進事務局準天頂衛星システム戦略室の川津泰彦参事官補佐と、欧州委員会成長総局ガリレオ・EGNOS - アプリケーション、ポリシーオフィサーのフレデリック・ドンプス氏の共同で発表が行われました。

内閣府の川津参事官補佐（左）と欧州委員会のドンプス氏（右）

※講演資料

準天頂衛星システムみちびきの最新情報／内閣府宇宙開発戦略推進事務局準天頂衛星システム戦略室長滝澤豪参事官（講演資料[英文]）（PDF形式：3,514KB）
GALILEO及び EGNOSプログラムの最新情報／欧州委員会成長総局ガリレオ・EGNOS - アプリケーション、セキュティ、国際関係課課長補佐クリストフ・カウツ氏
災害・危機管理通報サービスについて／内閣府宇宙開発戦略推進事務局準天頂衛星システム戦略室川津泰彦参事官補佐・欧州委員会成長総局ガリレオ・EGNOS - アプリケーション、ポリシーオフィサーフレデリック・ドンプス氏（講演資料[英文]）（PDF形式：1,111KB）
DFMC SBAS: Reception of QZSS L5 SBAS Signal in Europe／国立研究開発法人海上・港湾航空技術研究所坂井丈泰（講演資料[英文]）（PDF形式：1,779KB）

自動車、農業、GNSS技術（ドローン）のセッション

午後には、自動車、農業、GNSS技術（ドローン）の3分野について、日本と欧州それぞれの企業や研究機関によるセッションが行われました。「自動車セッション」では、自動運転システムに各社がさまざまな方法でみちびきやガリレオの高精度測位を役立てている事例が数多く発表されました。「スマート農業セッション」では、高精度な衛星測位技術を使って農機の自動制御や遠隔操作などに役立てる取り組みや研究の成果が紹介されました。最後の「GNSS技術（ドローン）セッション」では、高精度衛星測位をドローンの安全飛行や測量、保守、運搬などに役立てる取り組みや実験の成果などが発表されました。
登壇者は大手企業からベンチャーまで幅広く、各セッションの最後には質疑応答も行われ、登壇者と聴講者の間で活発な意見交換が行われました。

※講演資料
＜自動車セッション＞（7件）

SIP（戦略的イノベーション創造プログラム）自動運転の取り組み　SIP 自動運転サブプログラムダイレクター　日産オートモーティブテクノロジーエンジニアリングサービス部 ITS 技術顧問福島正夫氏（PDF形式：2,137KB）
Martin Grzebellus, CEO, NavCert
Mr. Yasuo Komoto, Customer Project Manager, CONTINENTAL AUTOMOTIVE（PDF形式：1,320KB）
Mr. Pedro Moreno-Lahore, Manager - Driving Assistance Research, VALEO
Mr. Robin Streiter, Chief Strategy Officer, NAVENTIK
Ms. Oihana Otaegui, Director ITS & Engineering, VICOMTECH
Mr. Yuji Motohashi, Marketing Manager, ST MICROELECTRONICS （PDF形式：1,442KB）

＜農業セッション＞（3件）

＜GNSS技術（ドローン）セッション＞（4件）

ドローンが飛び交う社会を目指してDrones and Robots for Ecologically Sustainable Societies project 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構（NEDO）ロボット・AI 部プロジェクトマネージャー宮本和彦氏（PDF形式：1,726KB）
Mr. Ismael Colomina, Chief Executive Officer, GEONUMERICS
Mr. Jan De Turck, Sales Manager, SEPTENTRIO （PDF形式：3,012KB）
Mr. Josep Maria Salanova Grau, Senior Researcher, CENTER FOR RESEARCH AND TECHNOLOGY HELLAS (CERTH)

GNSSを使って生活をより良くする重要な機会

閉会の挨拶では内閣府宇宙開発戦略推進事務局準天頂衛星システム戦略室長の滝澤豪参事官と、欧州委員会成長総局のクリストフ・カウツ氏が登壇しました。内閣府の滝澤参事官は、日欧の協力によりGNSSを使って生活をより良くしていくことが可能になるとして、「この会合はそのような素晴らしいことを成し遂げるための重要な機会です。今後、皆さんと一緒にそれを実現していきたい」との思いを伝え、会合を締めくくりました。

内閣府の滝澤参事官

欧州委員会のカウツ氏

展示コーナーで活発な交流も

このほか、当日は別室に展示コーナーも開設され、各企業がみちびきやガリレオに対応したGNSS機器を出展しました。最新の受信機やGNSSモジュール、GNSSトラッカー、GNSSウォッチなどを見て多くの参加者が足を止めて、各ブースのスタッフの説明に耳を傾けていました。セッション後にはネットワーキングレセプションも開催され、参加者同士で活発な交流が行われました。