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[報告]「みちびきウェビナー2023」を開催しました

2023年12月18日

内閣府宇宙開発戦略推進事務局と準天頂衛星システムサービス株式会社は、2023年11月9日に「みちびきウェビナー ~みちびき利活用最前線 in G空間EXPO 2023~」を開催しました。以下の講演ごとに当日の動画をご覧いただけます。


内閣府宇宙開発戦略推進事務局 準天頂衛星システム戦略室長 三上建治参事官

内閣府の三上参事官は開会挨拶として、今年がGPS誕生から50周年の節目を迎える年であり、この50年の間に測位衛星の技術が進展し、精度が向上してきたことを振り返りました。
── 『当初は軍事に限定されていたGPSですが、ほどなく民間に、国境なく世界に開放されたことにより、我々はG空間という広大なフロンティアを得ることができました。本日は、このみちびきのスペックや機能を最大限に引き出し、活用される各事業者様から素晴らしい取り組みをうかがえます。我々はみちびきに関心のある皆さまが集う場としてコミュニティづくりに取り組んでいますが、今回ご聴講いただいている皆さまにも、活動の仲間として参加いただけますと、みちびきの可能性は今後も一層広がるものと期待しています』


NECソリューションイノベータ株式会社 神藤英俊 主席プロフェッショナル

NECソリューションイノベータの神藤主席プロフェッショナルは、みちびきの概要と利活用活動について紹介しました。
── 『みちびきが2018年11月にサービスを開始してから5年が経過し、6年目に入りました。来年度以降は3機が追加され、衛星が7機体制へ拡張されることが計画されています。みちびきを活用した共同実証では、CLAS(センチメータ級測位補強サービス)対応受信機を、農機による自動運転やドローンのピンポイント着陸などさまざまな分野に活用する取り組みを行っています。また、みちびきの新たな活用を考えている企業や団体を後押しするために、企業や大学などを募集する実証事業公募も行っています』


西松建設株式会社 技術研究所 先端技術グループ 戸田泰彰氏

西松建設の戸田氏は、同社が開発したダムコンクリート運搬のケーブルクレーン自動運転システムについて紹介し、同システムへのCLASの適用とダム現場におけるCLASの有効性について報告しました。
── 『ダム建設現場にすでに導入しているケーブルクレーン自動運転システムを対象に、RTK(リアルタイムキネマティック)からCLASへの置き換えの実現性を検証しました。その結果、急峻な地形が不利となるダム現場においてCLASの有効性が確認できたので、他の土木工事への展開が期待できます。みちびきは、基準局が不要である点や、基準局からの補正情報の常時受信が不要であるだけでなく、国産GNSSであるためサービス提供の継続性・安定性の点からもメリットがあると考えています』


国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所 特別研究主幹 平田宏一氏

海上・港湾・航空技術研究所の平田氏は、小型実験船「神峰」を活用して、船員負荷低減のための運航支援技術及び自動化技術に関する研究・開発を進めており、みちびきや自動化のための計測・制御機器を整備して、自動着桟や遠隔操船などの自動運航システムの実船試験を進めています。
── 『神峰には、操船や自動離桟・着桟、他船検知、自動避航、フル自動運航、遠隔操船などの制御システムを搭載しており、これらのシステムの船体位置の検出には、すべてみちびきを使用しています。自動化システムを多くの船舶に実装することによって、海上輸送分野の課題である船員労務負荷低減やヒューマンエラーによる事故の防止、省エネ・カーボンニュートラルに貢献すると考えています』


合同会社ビスペル 代表社員 馬渡純氏

ビスペルの馬渡氏は、無人制御の油圧ショベルと、ダンプトラックによる残土搬出の協調自動化においてみちびきが利用可能かどうかを実験し、その結果を報告しました。
── 『今回の実証事業では、CLASで取得した位置座標により土砂の自動積込が可能であることが分かりました。RTK方式ではさまざまなコストがかかりますが、みちびきなら無料であり、そこが大きなメリットだと思います。この実証事業を行った2020年は受信機の価格が高かったのですが、近年は低価格の受信機が発売されており、受信機のコストがかかるという課題も解消されたと思います』


エアロダインジャパン株式会社 代表取締役CEO 鹿谷幸史氏

エアロダインジャパンの鹿谷氏は、CLAS対応ドローンを活用した洋上風力発電所の点検事業について紹介しました。
── 『海岸沿いの風力発電所を洋上風力発電所に見立てて、CLASとRTKの両システムを搭載したドローンを飛行させて測位精度を比較すると共に、点検用カメラで撮影した画像で実際に損傷を確認できるかを検証しました。その結果、CLASの測位精度はRTKと比較して実用上まったく遜色がなく、点検画像によって損傷を調べられることも確認できました。現在、RGBカメラでは捉えられない落雷痕を捉えるため赤外線カメラを用いた点検手法を開発しています。洋上風力発電所の点検以外にも、ドローン物流や東南アジアにおける泥炭火災の消火活動にもみちびきを活用できると思います』


一般財団法人先端ロボティクス財団 理事長 野波健蔵氏

先端ロボティクス財団の野波理事長は、CLAS対応のVTOLカイトプレーンによる東京湾縦断飛行の実証事業について紹介しました。
── 『千葉市と横浜市を結ぶ東京湾上空において、垂直離着陸が可能なVTOLカイトプレーンを使って歯科技工物を配送する実験を行いました。従来のGNSSとCLASの測位精度を比較したところ、CLASを使うことでGNSSのみの測位に比べて誤差が3分の1に抑えられることが確認できました。また、ドローンステーションへの高精度着陸や編隊飛行の検証も行い、CLASの測位精度が高いことを確認しています。現在、ドローンが自動的にワイヤレス給電パッドに高精度着陸して充電を行うシステムを開発中で、これにもCLASを使うことを検討しています』


国土交通省北海道開発局 事業振興部 機械課 機械施工専門官 小野寺敬太氏

国土交通省北海道開発局の小野寺氏は、CLASを活用した除雪自動化の取り組みを紹介しました。
── 『みちびきのCLAS、高精度3D道路データを活用した運転支援ガイダンスシステム、除雪作業装置の自動化に必要な助手の作業装置操作情報(操作ログ)の3つを組み合わせて、オペレータ1人で運転し、過去に助手が操作した位置へ到達すると装置が自動で動くシステムを開発しました。2023年度は深川・留萌自動車道と国道334号の知床峠に追加配備を行っており、今後はさらに複数の現場に実働配備を行い、自動化機械の標準仕様を作っていきたいと考えています』


株式会社エイトノット 代表取締役CEO 木村裕人氏

エイトノットの木村氏は、CLAS対応受信機を搭載した自律航行EV船「エイトノットワン」の実証事業を紹介しました。
── 『みちびきのCLASは安全な自律航行の実現に欠かせないものであり、システムの屋台骨であると考えています。自律航行システムの開発当初はRTKを使用していましたが、CLASの方が基準局が不要のため自由度が高く、通信環境にも左右されることなく常に高精度位置情報を取得できます。我々は自律航行技術を使って海から新しい経済圏を起こしていくプロジェクトを進めていますが、そのために一番重要なのは安全性の向上であり、それを下支えしてくれるのがCLASによる高精度位置情報だと考えています』


準天頂衛星システムサービス株式会社 石橋海 代表取締役社長

準天頂衛星システムサービスの石橋社長が閉会挨拶をして、ウェビナーは終了しました。
── 『今回のウェビナーが利活用の輪を広げ、みちびきがさらに皆さまのお役に立つことを期待しています。私どもも引き続き利用の拡大に向けて尽力してまいります。本講演会は今後も実施させていただく予定です。次回もぜひご参加いただくよう、よろしくお願いします』

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