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ロボットカーコンテスト2014:電気通信大 ロボメカ工房インタビュー(3)

2014年11月11日

電気通信大学 ロボメカ工房 第3回(2014年11月5日取材)

3人それぞれがこだわりを持って挑んだロボットカーコンテスト

電気通信大学 ロボメカ工房からは3台のロボットカーがコンテストに出場しました。参加者の山東優基さん(知能機械工学科・4年)、早出貴司さん(知能機械工学科・3年)、谷井健太郎さん(先端工学基礎課程・3年)に、大会後の感想と準天頂衛星「みちびき」への期待を伺いました。

左から山東さん、谷井さん、早出さん

左から山東さん、谷井さん、早出さん

─ 10月18日(土)に開催されたGPS・QZSSロボットカーコンテスト2014に出場されました。結果と感想をお聞かせください。

山東さん

山東さん

山東さん
当日の競技では残念ながらロボットカーが走りませんでした。自作二輪車の機体作りはうまくいっていたのですが、ソフトウェア開発がうまくいかなかったためです。

GarlicToast機体内部

GarlicToast機体内部

今回はQZPOD(準天頂衛星「みちびき」のL1-SAIF信号を受信できる小型受信機)を含む各種センサーからのデータ処理にRaspberry Pi(ラズベリーパイ)というマイコンボードを使いました。Raspberry Piは各種センサーからのデータを並列処理できます。並列処理は直列処理よりもプログラムが単純になりますし、問題が発生したときの原因の特定がしやすくなり、ソフトウェア開発が効率化されます。

GarlicToast機体外見

GarlicToast機体外見

しかし、自作二輪車の機体作りに時間がかかってしまい、ソフトウェア開発に十分な時間が取れませんでした。結局QZPODからのデータを処理する部分が作りこめず、コンテスト当日は準天頂衛星「みちびき」からの災危通報を受けてもロボットカーが走り出しませんでした。

11月15日(土)に日本科学未来館で開催されるG空間EXPOのデモ走行に出場の機会をいただきましたので、それまでにソフトウェアをしっかりと作りこみたいと思います。

早出さん

早出さん

早出さん
山東さんのご紹介で「GPS・QZSSロボットカーコンテスト2014」に出場しました。本当は飛行制御に興味があるのですが、衛星測位の技術と回路技術を磨こうと思い出場を決めました。

Polaris[0]機体外見

Polaris[0]機体外見

機体は3D CADを使い自分で設計して、筐体の部品はアルミの削り出しで作り、回路もなるべく自作しました。GPSモジュールは準天頂衛星「みちびき」の信号に対応しているものを使いました(GlobalTop社GMS-G9)。このモジュールはカスタマイズ性が高いので、今回のコンテストの使い方に合わせて出力されるデータを絞るなど設定を変更しました。

Polaris[0]駆動部

Polaris[0]駆動部

しかし、コンテストでは出走できませんでした。構造的な走行性能の問題、回路の接触不良、GPSモジュールからのデータ処理の不具合などが発生してしまったためです。筐体、回路、ソフトウェアの3つのことを1度に挑戦したのが失敗でした。技術的にクリアできたことがはっきりしないまま本番を迎えてしまいました。

出走はできませんでしたが、コンテストには幅広い年代の人が参加していて、チャレンジ精神のある人がいっぱいいることが分かり、とても刺激を受けました。

谷井さん

谷井さん

谷井さん
電気通信大学ロボメカ工房は今年の8月に行われたロケットのコンテストで優勝しました。その時の制御システムを流用できるため「GPS・QZSSロボットカーコンテスト2014」に出場しました。ロボットカーは、ロケットに比べ風などの外的要因の影響を受けにくく、衛星測位を使った走行制御の正確さを確認しやすいのも魅力でした。

準天頂衛星「みちびき」対応のGPSモジュール

準天頂衛星「みちびき」対応のGPSモジュール

出場を決めてからコンテスト当日まで1カ月もありませんでしたので、手っ取り早く、かつ、確実に結果を出せる選択をしました。制御システムは先ほど述べた別のコンテストで優勝実績のあるものを使い、機体は自作せず芝生でも走れる市販のラジコンカーを改造しました。GPSモジュールは早出さんと同じ準天頂衛星「みちびき」の信号に対応しているものです(GlobalTop社GMS-G9)。GPSモジュールからの測位結果は、出力されるデータの安定性と、ロボットカーの走行速度を確認しながら決め、5Hz(1秒間に5回)で出力されるように設定しました。

Luchs機体外見

Luchs機体外見

コンテストでは、精度の高い測位データが得られ、走行制御も比較的うまくいき、ダブルパイロンレースで準優勝することができました。

プログラム上は4つの目標ポイントを設け、その目標ポイントを順次目指すようにしてあります。開発期間の関係で今回は目標ポイントを4つにしましたが、より細かく目標ポイントを設定すれば、よりスムーズな走りができたと思います。

─ 準天頂衛星「みちびき」に期待することはありますか。

山東さん
早く4機体制になり、24時間信号を受けられるようになってほしいです。ロボットカーのテストは夜に誰もいないところでやりたいですから(笑)

早出さん
今回のコンテストを通じて、準天頂衛星「みちびき」の災危通報を知りました。宇宙からメッセージを送れるのはすごい。わくわくすることができるという可能性を感じました。

谷井さん
準天頂衛星「みちびき」の信号を受信できるモジュールがもっとたくさん出てきてほしいです。処理が非力で入出力が限られているマイコンボードでも使いやすいモジュールが良いですね。

ロボメカ工房の部室にて

ロボメカ工房の部室にて

電気通信大学 ロボメカ工房

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