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[報告] 今年2回目のみちびきウェビナーを開催しました

2021年12月24日

内閣府宇宙開発戦略推進事務局は2021年12月10日、今年2回目となる「みちびき(準天頂衛星システム)ウェビナー ~みちびき利活用最前線 in G空間EXPO 2021~」を実施しました。
みちびきの活用事例として、地下埋設物の可視化やドローン、ARを活用した体験コンテンツ、視覚障がい者向けナビゲーションなど多彩な取り組みを紹介すると共に、「高精度な位置と時間が作る未来」をテーマとして、みちびきを活用したサービスアイディアを検討する「みちびきコミュニティ」のエバンジェリストによるパネルディスカッションも行われました。
以下の各講演ごとに当日の動画をご覧いただけます。

 

内閣府宇宙開発戦略推進事務局 参事官/準天頂衛星システム戦略室長 上野麻子

内閣府の上野参事官

内閣府の上野参事官が、2021年10月26日に打ち上げが行われた初号機後継機などを紹介すると共に、今年2回目となるウェビナーの趣旨と概要を説明しました。

今年10月に初号機後継機を打ち上げたことは、準天頂衛星が社会インフラとして世の中に根づいた証左です。みちびきが提供する高精度な位置・時刻情報は基盤インフラであるとの自負を持って取り組んでいます。2018年の実用サービス開始以来、みちびきを利用した新しい製品、サービスが市場に登場してきました。さらに今後、社会ニーズや企業の皆さまの創意工夫によって、新しい製品、サービスの可能性が無限大に広がっていくと思っています。

株式会社マイスター 常務取締役 野澤宇一郎氏

マイスター野澤氏の講演

株式会社マイスター、袋井市、株式会社コア、日本マイクロソフト株式会社の4者が共同で検討している地下埋設物の可視化の取り組みについて、みちびきコミュニティのエバンジェリストを務めるマイスターの野澤氏が紹介しました。

オープンデータとして公開されている高精度3DデータとxR技術を用いて地下埋設物を可視化することにより、インフラメンテナンスの効率化を目指します。従来はQRコードなどのマーカーを使用していたMRグラスの位置合わせを、みちびきの高精度測位を使うことで機械化し、内蔵センサーやカメラを使って自己位置推定を行って自動的に位置を補正します。

ドローン・ジャパン株式会社 取締役会長 春原久徳氏

ドローン・ジャパン春原氏の講演

ドローン・ジャパンの春原氏が、ドローンの自律移動の可能性について解説しました。

自律移動のプロセスは「自己位置推定」「周辺環境の地図構築」「経路計画」「経路追従」の4つの要素で成り立っており、これらのプロセスの自動化にはフライトコントローラーと呼ばれる装置が必要です。このような制御装置を搭載した自律移動体は、空だけでなく陸上や水上へと利活用の場が広がっています。海中での自律移動を可能にするための「海中GPS」の実現に向けて、琉球大学工学部の和田知久教授と共に、海上にGNSS受信機を浮かべて音響無線通信により海中へ位置情報を配信する「海中音響測位システム」の開発に取り組んでいます。

株式会社amulapo 代表取締役 田中克明氏

amulapo田中氏の講演

宇宙関連のベンチャー企業であるamulapoの田中氏が、鳥取砂丘での月面都市AR体験など、自社で制作した体験コンテンツを紹介しました。

屋外におけるARグラスの課題には、自己位置推定を補助するための光源がカメラから外れるとシステムが不安定になること、特徴面がつかめずに平面の認識ができなくなり、起伏のある砂丘では高低差により3Dモデルが浮いて表示されてしまうこと、などがあります。みちびきのCLAS(センチメータ級測位補強サービス)を利用してARグラスを装着した体験者の位置情報を取得することで、こうした課題を解決し、没入感の高い体験を実現できます。みちびきの3次元の位置情報を利用したAR観光案内アプリを作ることで、多くの地域やクリエイター、観光客に利用してもらえるプラットフォームを目指す方針です。

株式会社Ashirase 代表取締役 CEO 千野歩氏

Ashirase千野氏の講演

Ashiraseの千野氏が、靴に装着する振動デバイスとスマートフォンアプリを連動させて、視覚障がい者へ誘導情報を提供する歩行ナビシステム「あしらせ」を紹介しました。

システム開発当初、初期の目標として、視覚障がい者の歩行支援において「ここを歩けば安全」という展示ブロックのような役割を設定しました。そのためには高精度な衛星測位が必要であると考え、高精度測位を実現するためにデッドレコニング(自律航法)などの精度補正技術を開発すると共に、実証事業としてSLAS(サブメータ級測位補強サービス)やCLASなどの精度検証を行いました。

『高精度な位置と時間が作る未来 ~6cmの位置と10億分の1秒が変えるデジタル社会の姿~』

モデレータ:一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)常務理事 坂下哲也氏/パネリスト:佐藤将史氏、嶋田敬一郎氏、畑田康二郎氏
坂下氏、畑田氏、佐藤氏、嶋田氏の画像

坂下氏(左上)、畑田氏(右上)、佐藤氏(左下)、嶋田氏(右下)

後半は、一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)の坂下哲也氏(常務理事)がモデレータは務めて、「みちびきコミュニティ」エバンジェリストである佐藤将史氏(一般社団法人SPACETIDE 共同設立者/理事兼COO)、嶋田敬一郎氏(R/GA東京 マネージング・ディレクター/代表取締役)、畑田康二郎氏(株式会社デジタルハーツホールディングス 代表取締役)によるパネルディスカッションを行いました。

冒頭、パネリスト三氏による自己紹介と、自身と宇宙との関わりについて、それぞれが説明しました。佐藤氏は経営コンサルタントとして宇宙ビジネスに関わると共に、宇宙ビジネスを拡大するための取り組みを行うSPACETIDEを立ち上げて、ビジネスカンファレンスを開催したり、宇宙ビジネスの動向をまとめるレポートを作ったりと、さまざまな活動を行っており、「みちびきコミュニティ」の立ち上げにも携わりました。

イノベーションのコンサルティングなどを手がけるR/GA東京の代表取締役を務める嶋田氏は、これまで40カ国で約200件のテックカンファレンスに登壇し、みちびきを始めとした日本の最先端技術を海外に伝える取り組みを行っています。また、アクセラレーター/ベンチャーキャピタルのPlug and Play Japanの公式ピッチメンターなどを務めるほか、インタビュアーなど多彩な活動を行っています。

2004年に経済産業省に入省し、2015年に内閣府に出向して宇宙戦略室(2016年より宇宙開発戦略推進事務局)にて宇宙2法、宇宙産業ビジョン2030、宇宙ビジネスアイデアコンテスト「S-Booster」などを立ち上げた畑田氏は、現在、デジタルハーツホールディングスの子会社であり、障害者雇用を推進する株式会社デジタルハーツプラスの代表取締役を務めながら、「みちびきコミュニティ」のエバンジェリストとして、さまざまな宇宙関連のスタートアップの支援に取り組んでいます。

坂下氏は、利活用のアーリーアダプター(新しいサービスや商品を早い時期に利用する層)の育成を目的とした「みちびきコミュニティ」の位置付けを説明した上で、「みちびきコミュニティ」に参加して良かったことや今後の課題、コミュニティ活動によるユースケース創出に必要なことなど、さまざまな議題を挙げて、パネリストと活発な意見交換を行いました。

準天頂衛星システムサービス株式会社 代表取締役社長 鎌形亨

準天頂衛星システムサービスの鎌形社長

準天頂衛星システムサービスの鎌形社長が閉会の挨拶を行い、ウェビナーを終了しました。

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