コンテンツです

[報告] メンテナンス・レジリエンスTOKYO 2024でみちびきに関する講演

2024年09月09日

製造業・建設業の生産性向上や持続可能な社会資本整備、レジリエンス(回復力/弾力性)向上などをテーマとした展示会「メンテナンス・レジリエンスTOKYO 2024」(主催:一般社団法人日本能率協会ほか)が2024年7月24~26日の3日間、東京ビッグサイトにて開催されました。同イベントはメンテナンスやレジリエンスに関連した12の専門展示会と3つの特別企画で構成されており、会期3日間の合計で45,817名が会場を訪れました。

会場外観

東京ビッグサイト

パネルディスカッション

「準天頂衛星cm級測位サービスの製造・建設・土木への活用 ~圧倒的な省人化・生産性向上を実現」

ここでは2日目の7月25日に「ものづくり特別講演会」の一つとして行われたパネルディスカッション「準天頂衛星cm級測位サービスの製造・建設・土木への活用 ~圧倒的な省人化・生産性向上を実現」の内容を紹介します。この講演会では、内閣府 宇宙開発戦略推進事務局の吉田邦伸参事官(国土交通省 国土技術政策総合研究所 河川研究部 水防災システム研究官)がファシリテーターとなり、3人のパネリストによる講演とパネルディスカッションが行われました。

会場風景

講演会の会場

パネリスト写真

左から吉田参事官、西村部長、山本センター長、三上参事官

吉田参事官

ファシリテーターを務めた内閣府の吉田参事官

三上参事官

内閣府の三上参事官

内閣府宇宙開発戦略推進事務局の三上建治参事官(準天頂衛星システム戦略室長)がみちびきの概要として、今年度から5~7号機を順次打上げ予定であり、将来の11機体制に向けた検討・開発に着手していることなどを紹介しました。また、CLAS(センチメータ級測位補強サービス)の性能評価の結果や、2024年度からアジア・オセアニア地域での実用サービスを開始したMADOCA-PPP(高精度測位補強サービス)、スプーフィング(測位衛星の信号のなりすまし)への対策となる信号認証サービスについても解説しました。
さらにこれらのサービスを活用した新しいユースケースの創出を目的とした取り組み「みちびきコミュニティ」を紹介し、受信機やアンテナを提供するメーカーやその利用者など様々な人たちが参加しているのでぜひ加わってほしい、と参加を呼びかけました。

山本センター長

コアの山本センター長

続いて株式会社コア GNSSソリューションビジネスセンターの山本享弘センター長が、同社が提供するみちびきのCLASやMADOCA-PPP、信号認証サービスに対応したGNSS受信機や、CLAS対応ドローン「ChronoSky PF2」を活用した点検ソリューションを紹介しました。
CLASに対応しているChronoSky PF2は携帯電話の圏外でも利用可能で、評定点を設置することなく点検対象物に対して正確な飛行が可能であること。さらに、ドローン点検アプリ「ChronoSky Eyes」を利用することで、予備飛行により現地の最新地図を作成して事前に飛行をシミュレーションし、その上で点検飛行を行えるという利点をアピールしました。
同社はこのほかに、撮影画像や3次元データを統合的に管理するシステム「ChronoSly 3D」や、ドローンで撮影した3次元データからスマートグラスを使って仮想空間で点検する「ChronoSky XR」なども開発中です。山本氏はこのほか、気象庁がMADOCA-PPP対応受信機を活用して対流圏遅延両を精密に計測し、線状降水帯の予測に役立てている事例なども紹介しました。

西村部長

KISの西村部長

水道事業関連のシステム開発を手がけるKISの西村泰徳部長(公共・クラウドソリューション事業部 水道ソリューション部)は、みちびきのSLAS(サブメータ級測位補強サービス)を活用して水道メーターの位置情報を収集するサービス「Smart検針」を紹介しました。
同サービスは、SLASに対応した腕時計型デバイスと検針用スマートデバイスを連携させて、検針時に水道メーターの高精度な位置情報を取得し、管理データとして登録するシステムです。
西村氏は、SLASを活用する効果として「高精度な位置情報により水道メーターを探す手間が100分の1に減る」、「受信デバイスが小型・軽量・安価で検針員の負担が少ない」、「通信費がかからず、検針と同時に位置を記録するため、調査費もかからない」の3点を挙げた上で、「紙地図で管理していた水道メーター位置をデジタル化してアクセスを迅速化することにより、災害時の早期復旧にも有益だと考えています」と語りました。

3人の発表後の意見交換では、山本氏がCLASの特長として、CLASを活用することでドローンの自律飛行や3次元地図の高精細化が可能になり、携帯電話回線の圏内・圏外に関わらず使うことができる点を挙げ、ランニングコストが低いこともメリットであると語りました。
一方、西村氏は、「SLASは水道メーターに限らず、消火栓やマンホールなど定期的に点検が必要な用途に向いている」と解説しました。
三上参事官は、みちびきの今後について、水道や電気と同じ“インフラ”であり、どのように使うかは皆さんの想像力によるところが大きく、「ぜひ頭を柔らかくして面白いサービスを考えてください」と締め括りました。

みちびきブースで対応製品やサービスを紹介

展示プース

みちびき展示プース

展示ブースでは、講演で紹介されたコアのCLAS対応ドローン「ChronoSky PF2」やCLAS対応受信機「Cohac∞ Ten++」「Cohac∞ Ten+」、KISの「Smart検針」、CLAS対応のアンテナ・バッテリー一体型GNSS受信デバイス「LRTK Phone 4C 圏外対応」(レフィクシア)、アンテナ一体型のCLAS対応受信機の「RJCLAS-L6」(小峰無線電機)及び「RWX.DC」(ビズステーション)、センチメータ級の高精度測位を多彩な機器で実現できる「NEC高精度衛星測位ソフトウェア」(日本電気)、SLAS対応のGNSS受信デバイストラッカー「FB2003」「FB2020」(フォルテ)、CLAS対応の車両管理システム「miltocca」(エゾウィン)などを展示しました。

展示品-1

左からChronoSky PF2、Cohac∞ Ten++、Cohac∞ Ten+

展示品-2

左からSmart検針、LRTK Phone 4C 圏外対応、RJCLAS-L6

展示品-3

左からRWX.DC、NEC高精度衛星測位ソフトウェア、FB2003とFB2020(フォルテ)

展示品-4

左からmiltocca、CLAcanS(アカサカテック)、Mosaic Go CLAS(セプテントリオ)

展示ブースを訪れた来場者の方々に、みちびき対応の製品やサービスについて知っていただき、みちびきをすでにご存じの方には最新の対応製品に関する情報をご案内しました。講演を聴いてみちびきに興味を持ち、展示ブースを訪れる方も多く、最新事情を知る機会として活用いただきました。

展示ブース

ブースを訪れた多くの来場者

参照サイト

関連記事